この作品はいかがでしたか?
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「おい、やべえ、どうする? 橋が壊れてる!」
「闘魚が破壊したのか? 向こう側まで数十メートル、霧も深いし……」
「正面から闘魚が来るぞ!」
「くそっ、これ以上壊されてたまるか!」
「嵐脚『がい――」
俺が技を出そうとした時、闘魚は何者かの攻撃を受け、そして投網のようなものに捕らえられた。
一体誰が……と思っていると、俺たちの耳に声が聞こえてくる。
「捕れた捕れた!」
「よーし、引け~!」
「今日は決戦! 闘魚シチューで力をつけるぞ~!」
「「お~っ!」」
声の主は見えない。島の住人? だがグリーンビットは無人島のはずだ。ウソップが声をかけると、闘魚とは橋の向こう側に消えていってしまう。馴れ合いが嫌いなタイプなんだろうか。
「とにかく今は先を急ぐぞ」
「お前ら! いい加減にしろよ! ゼエ、ゼエ……」
「シーザー」
「え?」
「島まで運べ」
「はああ!?」
「おー、ナイスアイディア」
シーザーはさいざん文句を言うが、心臓は文字通り俺たちに握られている。
「ふざけんな! 人4人浮かすのにどれほどのガスエネルギーを要すると思ってやがる!」
「なら俺は月歩で移動するから3人浮かしてくれ」
俺は宙を蹴り、橋から離れる。残りの3人はシーザーに運んでもらうことになる。
闘魚を引き摺ったあとを辿っていくのだが、橋を渡ったところでそれは途切れてしまっていた。
「まだ誰も来てないみたいね」
「さっきのはなんだったんだ?」
「海は闘魚にやられたであろう船の残骸ばっかだな」
そんな会話をしていると、徐々に霧が晴れて、島の全貌が明らかになる。野生丸出しの森だ。巨大な植物群、やはり無人島らしく人はいなさそうで動物や虫の気配しかない。
「おーい、ジョーカー! 俺だ! 引き取ってくれー!」
シーザーが叫ぶと、すぐさまローが鬼哭の柄でシーザーを制した。約束の南東のビーチは俺たちが渡ってきた橋から少し離れている。15時にシーザーを放り出す予定だ。
「逆の海岸見てみろ!」
「ん?」
「あれ、海軍の軍艦だろ。島に突っ込んでるぞ! 岸に乗り込んだってレベルじゃねえ、どうやったらああなるんだ?」
「……植物の傷がまだ新しい」
望遠鏡で軍艦の方を見たロビンが呟いた。つまりそれは、あの軍艦はついさっきここに来たということで……海兵がここに来るのは時間の問題ということにもなる。
「ロー、これってマズい状況か…? いやでもローは七武海だし…………ロー?」
「悪い顔してるわよ?」
「偶然だ。なぜおれが海軍を動かせる?」
ローがそう俺たちに言うと、シーザーがここでの取引は不当だ、中止にしろと騒ぐ。そ~んなこと言っても海軍が敵なのは俺たちも同じだしな、ローはルフィと手を組んでいるわけだし。
「あと15分だ。お前ら、狙撃と諜報でおれの援護を頼む。誰が潜んでるかわからねえ。森を調べてきてくれ。異常があったらすぐに連絡を」
「ええ、わかったわ」
「ちょっと待て! 海軍がいるなんて予定外だあ~!」
「諦めろ~ウソップ。あんまり歯向かうとローは文字通りお前のことバラすかもしれんぞ」
ロビンとウソップは森の中に入っていく。俺はローの近くで一緒に見張りだ。
2人が森に入って大体10分ちょっとが経ったとき、ローの持っている電伝虫が鳴った。かけてきたのはサンジだ。
『おいロー! こちらサンジ!』
「黒足屋か、工場は見つかったか?」
『それどころじゃねえ!』
「なんだ?」
「緊急事態か?」
『よく聞け! すぐにそこを離れるんだ!』
「ど、どういうことだよサンジ。離れろって?」
『ドフラミンゴは七武海をやめてなんかいねえ! シーザーを返しても、何の取引も成立しやしねえんだ!』
「嘘だろ…」
「……理屈が分からねえ。一体……」
『俺たちは完全にハメられた! 分かったな! すぐにその島から逃げろ!』
そこで通話は切れた。ローの顔を見ると眉間にシワを寄せている。俺は自分の手が震えるのを感じた。
俺たちは、騙されていたのか? いや、でも、確かに今朝の朝刊でドフラミンゴは七武海をやめたって書いてあったのに。
「どうしろってんだ!」
「ッ……は、ロビン、さん?」
俺が振り返ると、そこにはロビンさんの上半身があった。
「これは私の分身よ。今の連絡聞いたわ。サンジからね」
「ロビンさんの本体は? それとウソップも、森に行ったっきり……今どこにいるんです?」
「黒足屋の話が事実なら、ドフラミンゴとの交渉は不成立だ!」
「んっ? 不成立!? なら俺の引き渡しはどうなる!?」
「やるわけがないだろう」
「そんなぁ~…」
「ニコ屋、今すぐ鼻屋を呼べ! この島からすぐに脱出するぞ!」
「それが…私たち今、このグリーンビットの地下にいるの」
「地下?」
どうやら2人は2人で、思わぬトラブルに巻き込まれているらしい。脱出するのなら先に行ってくれと、それを伝えに分身を寄越したらしい。
「そうか、わかっ――」
ローの言葉が止まる。その理由はすぐに分かった。海軍が俺たちの前に現れたのだ。
「ジェディ」
「わかってる」
俺はシーザーを後ろ手に回し、海軍を見据える。ああくそ、海軍と真っ向から立ち向かうなんざ、今度は拳骨一発じゃ済まなさそうだな。
「トラファルガー・ローさんですね」
「新大将……藤虎か」
「ロー! ドフラミンゴだ!」
「武運を!」
「おめえらもな」
「ロビンさんたちも」
ロビンの言葉に、俺とローがそれぞれ返した。
一人の男がグリーンビットに降り立つ。
「ジョーカー!!」
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