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#再会
#一途な思い
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「じゃあ……スイちゃんがいいな……」
「了解。僕は……そうだな、ロミオくんにしようかな。ちょうど今の感じ、ロミオとジュリエットっぽくない?」
そう言われたが、萌音は目を瞬き、首を傾げた。
「……そうなの? よくわからない」
「あはは! スイちゃんは素直だなぁ。まぁいいや。ここは君の別荘なの?」
「うん、両親の。年に何回か来てる。あなたは? 地元の人?」
「んー、旅行で来てるんだ。でも弟がもう寝ちゃったから暇でさ。散歩してたら、この別荘の明かりがついていたから偵察に来たんだ」
「偵察?」
「こんな大きな別荘だし、どんな人が住んでいるのかなぁって気になってさ。そうしたら君が空を眺めているのが見えたから、気になって声をかけたんだよね」
なんて軽やかな話ぶりかしら──萌音は思わず感心する。今のところ、不快な気分になることは全くなかった。
「でも、こんな時間に出歩いたりして、ご両親は心配したりしない?」
「大丈夫。近くを散歩するって言ってあるし。これでも中三だしね。スイちゃんは? 見た目はすごく大人っぽいよね」
萌音は急に恥ずかしくなる。そうか、こちらからは影になって見えないけど、向こうからはしっかり見えている。しかも三つも年上だとは思わなかった。
いや、わからないわ……もしかしたら中三だって口にしているだけの三十歳かもしれないじゃない! やっぱりそんな簡単に信用しちゃダメよ……! ──萌音は唇をぎゅっと閉ざす。
「な、内緒です……」
「じゃあ僕の予想、ズバリ小学六年生!」
ピンポイントで当てられたものだから、萌音は驚きを隠せず口をぱくぱくさせる。
「な、何で……!」
「ああ、やっぱり。カマかけたのもあるけど、なんかそんな気がしたんだ」
「い、意味がわかりません……何の根拠もないのに……」
「その反応。中学生にしてはちょっと幼い気がしただけ」
「……あなた本当に中三?」
「疑うの? まぁ別にいいけど。ねぇ、さっきって空見てたの?」
さっきと言われ、萌音は声をかけられた瞬間のことを思い出す。それから思い出したように空を見上げた。変わらず多くの星々が頭上から明るい光を降らせていた。
「星が好きなの?」
そう問いかけられ、萌音は首を縦に振る。
「キラキラしたものが好きなの。だから星も好き。だってこんな星空、東京じゃ見られないもの」
「うん、確かにね。僕もここの星空が大好きなんだ。東京にいたら見ることの出来ないものが、ここならこんなに美しくて輝いていて、手が届くような気がする」
「わかる! その気持ち! 私もそう思ってたの!」
突然萌音が大きな声を出したため、少年はくすくす笑いだす。その瞬間ら萌音は恥ずかしくなって両手で口を押さえた。
「ごめんごめん! 違うんだ。なんだか僕たち似たもの同士だなぁって思ったらさ、楽しくなってきただけ」
「……本当にそれだけ?」
「もちろん。スイちゃんは星座の話とか知ってる?」
「あまり良くは知らない」
「スイちゃん、何座?」
「……秘密」
徹底的に自分のことを隠そうとする萌音に、少年は笑い声を上げるだけで、それ以上追求しようとはせず、スッと空を指差した。