「んっ、あっ、うぅっ、…!」
今日も俺は仮初の声を出す
ほんとは気持ちくもないし、声も出したくない
でもこうしないと生きていけない
もうこんなこと始めてどのくらいたったんだろうか
キラキラした町を歩いていたはずだったのに、
気づけば薄汚い穢れた町へと俺は踏み出していた
「くっ、でるよっ、世一くんっ、、!!」
「きてぇ、、!ぱぱのいっぱいちょーだいっ、!!」
「……ふぅ〜、やっぱり世一くんは1番いいよ」
「ほんとにー?ありがとうぱぱ♡!!」
俺は気持ちくも何ともねーよばーか
「今日は倍にしておくね!!」
「え〜!!ぱぱだーいすきっ!!」
「俺もだよ♡!!」
「そろそろ出ようか!タクシー見つけないとだしね」
「うん!!いこっ!!」
そう言ってぱぱと腕を組み、汗まみれのラブホを抜け出すと、
「………世一、?」
「………え、カイザー、」
1番会いたくなかった男が現れた
「…?お友達かい?世一くん」
「……あっ、ううん!人違い人違い!」
「そうかい?タクシー予約できたから行こうか」
「………うんっ、、!」
そう言って、カイザーとは反対方向へと俺は歩き出した
世一、!!と呼ばれたが振り向かなかった
いや、振り向けなかった
家へ帰り、ベッドへと入る
あぁ、最悪だ
カイザーは俺の元恋人
数年前まで付き合っていたが、俺がこういうことを始めて、
カイザーと付き合っているのが後ろめたい気持ちになってしまい好きな人が出来たと告げて連絡先を消してしまった
何度も電話がかかってきたりしたが、俺は一度も出たことがなかった
出たら、この気持ちが揺らいでしまうから
せっかく決めたこと
カイザーには幸せになって欲しかった
俺みたいになって欲しくなかった
優しくて、かっこいいカイザーのことはいやでも今も脳裏に焼き付いている
幸せな時を汚したのは自分なのに、苦しかった
「かいざー、生きてたんだな、」
久しぶりに会ったカイザーは別世界のような、綺麗な人間だった
青薔薇の紋章は変わらずに煌めいていた
…… ᴛᴏ ʙᴇ ᴄᴏɴᴛɪɴᴜᴇᴅ
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