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(私……もうちょっと体力とか付けるために運動とかしたほうがいいかも?)
「シズクとやりたいことリストを作って見たのですが、やりたいことがたくさんありすぎて手帳一冊分ではたりなそうなのです」
「一冊分!? いつの間に……」
「シズクと再会してから書きためていたのですが、日が経つごとに増えています」
分厚い手帳に一体何を書いたのか気になってちらっと見せて貰った。「シズクとお揃いのマグカップを買いに行く」とか「シズクとダンスをする」など日常的な細かなことがたくさん書かれていた。お揃いのティーカップは買ったので、花丸印がついている。
「これから一つ一つ叶えていくので、二冊目は半分以上叶えてからで良いのではないですか?」
「全部叶う。……それはとても素敵ですね。とてもとても素敵です」
ルティはウットリとしながら、私を見つめ返す。
ルティが怖がらないように、たくさんの思い出を重ねよう。この人を二度と置いて逝かないように、手を離さない。命を投げ出さないでいようと心に誓うも、それを口にするのはまだ少し覚悟が必要だった。
***
数日後、私たちは古い墓を訪れた。
三百年以上経っている古い王家の墓は、苔が生えて長い年月が経っていることを思い知らされる。そこにブリジットの名前もあった。
西の森とペルニーア小国の国境付近にあり、ルティが禁足地に指定した場所らしい。空気が澄んでいて、エメラルドグリーンに包まれた美しい森は誰かが管理しているようだった。
「ルティ、墓参りに同行してくれてありがとうございます」
「……シズクはペルニーア小国に残りたいですか?」
「いえまったく」
「え」
私の返答が予想外だったのか、心底驚いていた。ずっとそわそわしていた本当の理由はこれだったのだろう。なんとなく理由がわかってホッとしてしまう。
「カシミロ様がブリジットの……クレパルティ王家の子孫でも、残りたいとは思いませんよ」
「シズク……」
「そういえば、ブリジットがなくなった日に祖国で火事があったと思うのですが、ルティは何かご存じですか?」
「ん? ああ……内乱があったと聞いた。恐らくあの女の仕込みだったのだろう」
「(やっぱりあの幼馴染が……)そうだったのですね」
ルティは笑みに陰りを見せつつ、問うた。
「私がクレパルティ大国を終わらせたことを……怨んでいないのですか?」
「え?」
「世界情勢を安定させる御題目があったとはいえ、私が君の祖国を滅ぼしたことに間違いはないのですから……」
どこまでもこの人は私のために心を砕いて、寄り添ってくれる。
そのことが嬉しい。それに──。
「ルティという名前、ずっと気になっていたのですけれど、クレパルティの、『ルティ』を取って付けたのでしょう」
「……ええ」
「ブリジットの祖国語で『祝福』という意味を継いでくださったのでしょう。忘れないように、その気持ちだけで嬉しいです。それにペルニーア小国は祖国だった面影もありますが、今の私は春夏秋冬雫ですから。ルティと出会った温泉都市リディスに、ルティとの家に帰りたいと思っていますよ」
ルティは泣きそうな顔で、私に向き直って頬にキスをする。くすぐったいけれど、私もキスを返す。モフモフの尾が私の腰に巻き付く。すっかりこれが癖になってしまったようだ。モフモフ最高なので私も嬉しい限りだけれど。
「シズク。……ここで、誓ってほしい。病める時も、健やかな時も、呪いも、死すら私たちの愛の前では無意味であり、喜びに満ちた時も、深い悲しみにある時も共に過ごしてほしい」
「……えっと、とても良いシーンなのですが、『死すら私たちの愛の前では無意味であり』って?」
「人の結婚では『死が二人を分かつまで』という近いがあると聞いたのですが……」
「たしかにありますね。人族には逆らうことのできない『死以外には夫婦でなくなることを認めない』という意味ですが……」
「死ごときが私とシズクの仲を裂くなど許せなかったので、私なりにアレンジを入れてみた。……シズク、誓ってほしいのです……。駄目ですか?」
「うっ……」
ここで小首を傾げるのは、反則だと思う。
時々ルティの冗談ではないガチの愛情の深さに慄くも、それがルティなのだと受け入れている自分も大概だと思う。静かな小鳥たちが見守る中で私は「誓います」と答えた。
ここまで長い道のりだったと思いながらも、今この瞬間の幸福に思う存分溺れよう。今は私を《呪われた片翼》だと言う者はいないのだから。
四大種族でありながら短命な《高魔力保持者》に神々は、対となる《比翼連理の片翼》──伴侶を人族から得るように祝福をかけた。
それは人族の持つ運命を打ち破る思いの強さが《高魔力保持者》の孤独と苦悩を癒すと期待していたのかもしない。
「(共存共栄……。そうね、お互いのことを理解し合わなければ無理だわ。だからこそ今世では──)ルティ様、末永くお傍にいさせてくださいね」
「こちらこそ」
どちらともなく誓いのキスをする。
それは甘くて、とても幸福な味がした。
完結
コメント
1件
うわあああ最終話、、、!!😭💕💕 ルティの「死すら愛の前では無意味」に全力で萌えたんだけどどうしよう!!ガチな愛情の重さにシズクが慄きつつも受け入れてるのがもう尊すぎて涙出たよ、、😢✨ モフモフの尾が腰に巻き付くのめっちゃ可愛いし、お揃いマグカップに花丸ついてる細かい描写にも胸キュン!!二人の幸せな未来がしっかり見えて、読後感が最高にあったかい…!! 本当にお疲れさま、あさぎかなさん!!素敵な物語をありがとうございました🌸🎀
#恋愛
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