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魔王それは…人間の国を混沌に貶め闇に染める存在。人間達は魔王を倒すために勇者を用意し魔王討伐を目標にした。魔法協会からは賢者の魔法使いを…協会からは女神の聖女を…騎士団からは国の盾である剣士を…そして、勇者の剣に選ばれた勇者を…この最強のメンバーで勇者一行は旅に出た。旅は強い魔物との瀕死の戦い…絶景の景色や宴による楽しい時間…そんな苦楽を共に過ごしてきた。
ついに、勇者一行は5年の年月をかけ魔王を討ち滅ぼした。人間の軍は魔族共を根絶やしにしていった。勇者には褒美として爵位と魔王の領地半分を渡した。残った魔王城や半分の魔王の領地は闇が強くそのままになった。
勇者は長年寄り添った聖女と結婚をした。剣士は王族騎士団騎士団長へとなり、魔法使いは国の魔法技術向上へと導いた魔法協会のトップへとなった。人間達は喜びお祭り騒ぎ…魔王のことなど忘れたに等しかった。
勇者には子供が二人もできて仲睦まじい家族であった。それから…子供達は結婚し孫が三人もでき幸せのまま勇者は長い眠りについたとさ…
めでたしめでたし…
平和の時代とも言われる今では勇者は肩書きの一つとなり…勇者の業績は忘れ去られていた今…俺の物語は終わりかけていた。
「まじで…ここどこだよ」
目が覚めると目の前には黒い結界が張られた場所にいた。周りは荒れた土地…
手は縄で結ばれて服もボロボロ…靴も履いていない状態…
「えっ…嘘だろ…まじか…」
俺…追放された。
「なんで…こんなことに…」
なったんだろうね。
勇者の三孫の一人長男ヴェリタ 現在12歳
黒目の瞳に赤茶色ぽい髪色をしている。次期当主兼次期勇者だ。
俺は…なんと転生者だ。高校の帰り道最近ハマっているゲームでイベントがある為急いで帰っていた。…ら普通に階段で足を滑って転んで打ち所が悪かったらしく死んだ。何という悲しい死にかた…
我ながらダサすぎる…
そんなこんなで目が覚めれば…なんということでしょう勇者の子孫として名高い家系の長男として生まれた。憧れの異世界生活だったが…厳しい世の中だった…
魔王を倒したことにより勇者は爵位を貰い、辺境伯へとなった。俺は次期辺境伯当主となるべく、勇者の血を受け継ぐべく…などとめっちゃ幼い頃から多くの課題を出されほぼ領内で過ごしてきた。時には、堅苦しい勉強や領地管理、時には幼い子なのに勇者の子孫だからといってダンジョンに一人で行かせるのなど苦労しかない生活を過ごしてきた。ようこそ、楽しい異世界へ…などでは無かった。逆にそんな縛りがない弟と妹は自由気ままな生活をしてきた。両親も笑顔で領地の事や俺の事を任せてばっかりだった。8歳の子に領地運営を任せるぐらいだ。イカれてやがる。
そんな、国の王様には二人の子供がいる。そのうちの一人わがまま王子がいた。王子のお誕生日会へと招待された俺は平穏に過ごすはずが何か王子の機嫌を損ねてしまい一発目から俺の印象は災厄となった。
まぁそれから…何度もバカ王子は因縁を付けては何かぐだぐだと文句を言い、周りからは『偽物勇者』呼ばわりだ。気がつけば買収された弟に嵌められこの年で罪に問われた。牢屋に入れられ、裁判まで起こされ追放の刑を言われた。王様も我が子に甘く…
『勇者の子孫だから…処刑ではなく国外追放にしてやる。まぁがんばれ』
王子からは
『バァカ二度と来んじゃねぇぞギャハハハ』
と嘲笑う。
家に帰らされたので家族にこの事を伝えた。
家族は…
『刑なら仕方がないわね』
と母は味方をしてくれず
『次期後継ぎは弟にしよう』
と父は後継ぎは変えられ
『勇者に旅は付きものだよ』
と嵌めた弟は言い
『お兄様がんばってください』
とまだ幼い妹は状況が分からずとりあえず応援はしてくれた。
いや…家族なら止めろよ。おかしいと思えよ。そう思ったが縛られたままこの身一つですぐさま追放された。
眠っている間に変なとこに置いていかれた今現在の状況…
せめてさ…縄は解こうよ。食べ物ぐらいちょうだいよ…
そんな風に嘆いていたら…
グワッ…グワッ…
巨大なカエルがやってきた。人を丸のみするぐらいデカい…
「嘆く時間ぐらいちょうだい…」
俺は急いで走り逃げるがカエルの跳力が上回るのですぐに追いつかれる。
カエルは腹部の皮が薄く弱点だ。何か刺すもの…刺すもの…
「あった…」
走っていたら奥に枯れ木があった。そこに走り木の真ん中へと行く。カエルの跳ねるタイミング降りるタイミングを計算し…ちょうどそこにカエルが降りてくるようにする。カエルが降りてくるタイミングギリギリで木から離れる。
「死ね…クソガエル」
ドシャ…ブシャ…ゲゴ…
木に真っ直ぐに刺さったことでカエルは臓物を通貫して死んだ。今のうちに、慎重に手首を動かして縄を緩くする。緩くなったすき間を見つけたらそこに噛みつき縄をちぎる。
イメージでは簡単に出来たが…
「ふっ…ふずい」
足で手を押さえつけながら噛みつき引っ張る。それをずっと繰り返していたら…やっと縄が切れた。
たぶん…一時間ぐらいたったと思う。
これからどうしよう…このままここに居ても魔物に殺されてしまう。というか国に戻っても…あいつらに殺されてしまう。
「行ってみるか…」
この謎の黒い結界の中へと…中は暗くて何があるのかわからない。石を投げても普通に通過する。縄を入れても、入れた部分が溶けたとかならなかった。
ここにいて死ぬくらいなら…冒険してみるか。せっかく異世界転生したんだし…
いざ、冒険へ…
俺は結界の中に入った。