テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
バカ久々に書きます
ずっと他のアプリにハマってた。
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「ごめんね、こさめそろそろ帰らないと」
「おけ でも雨まだ降ってるぞ」
「こさめ 雨好きなんで!」
「そういうことじゃないだろ
風引くなよ 傘持ってるか?」
「持ってない〜!」
軽く手を振って笑ったこさめは、
濡れた廊下に足音を残して
走り去っていった。
ドアが閉まる音と同時に、
保健室にはまた雨の音だけが戻ってくる。
「……ほんと、自由なやつだな」
いるまが小さく呟く。
なつは窓の外を見ながら、
静かに笑った。
「でも、ちょっと羨ましいよ。
あんなふうに笑えるの」
LANがカーテンの縁をいじりながら、
「こさめって“雨の日の太陽”っぽいよな〜」
なんてふざけて言う。
「意味わかんねぇ」
いるまは苦笑して、額のタオルを外した。
その表情は少しだけ柔らかかった。
外では、雨脚がまだ静かに続いていた。
でも、どこか遠くで雲の切れ間から
光が滲んでいるような気もした。
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(雨好きとは言ったけど…、結構降ってる
風引いちゃうかもな〜、…)
ま、いっか――そう小さく笑って
傘のないまま歩き出した。
校門を出たあたりで、
ふと後ろから声がした。
「あれ、? こさめちゃん?」
振り返ると、すちが部活バッグを
肩にかけて立っていた。
髪の先が少しだけ濡れていて、
雨の中でもなんか様になってた。
「あ、すちくん!
部活終わったところ?」
「まぁ〜そんなとこ。
雨でなくなっちゃったから早いんだよね」
「? すちくんデザイン部じゃないの?
室内でもできるくない?」
「いや…実は俺、野球部入ったんだよね」
「え! そうだったんだ!」
驚いて目を丸くするこさめに、
すちは ちょっとだけ照れくさそうに
笑った。
「こさめちゃん傘ない感じ?」
「うん、こさめ雨好きだし嬉しい」
「そういう問題じゃないよ
風邪引いちゃうよ?」
「大丈夫! こさめ結構体強いから」
「でもこっからバス停の距離って
結構あるよね?」
「うん まぁ大丈夫! じゃあ」
そう言って小走りに行こうとした瞬間
――腕を掴まれた。
「バス停まで送ってくよ。入りな?」
「いいの、?」
「うん。いくらなんでも風邪
引いちゃうと 思って」
雨音の中で、すちの声だけがやけに近く
聞こえた。
傘の下に入った瞬間、こさめの肩に
落ちていた雨粒がすっと消える。
「ありがと! すちくん!//」
思わず笑うこさめの頬は、
雨よりも少し赤かった。
すちは何も言わずに前を向いて歩く。
その横顔を見上げながら、
こさめは小さく息を呑んだ。
傘の下、二人の足音だけが
雨に溶けていく。
肩がほんの少し触れるたび、
こさめは息を止めた。
(すちくんの傘、ちょっと小さいな……)
そんなことを思いながらも、心臓の音ばかりがうるさい。
沈黙が少し続いたあと、
こさめはゆっくりと顔を上げて、
小さく呟いた。
「ねぇ……すちくん」
「ん?」
「こさめも、すちくんのこと
“すっちー”って呼んでいい?」
雨の音が一瞬だけ遠のいたように感じた。
こさめの声はかすかに震えていて、
目線はすちの腕のあたりに落ちたまま。
すちは数秒だけ考えるように黙り、
やがて少しだけ笑って答えた。
「……別にいいけど」
その声は静かで優しくて、
けどどこか照れ隠しみたいな
響きがあった。
「ほんとに!? じゃあ、すっちー!」
「いきなり呼ぶんかい」
思わず笑ってそう言ったすちの表情を、
こさめは初めて“少しだけ近く”で見た。
傘の内側、二人だけの世界で。
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バス停の屋根の下、
こさめの髪から雨粒がぽたぽたと
落ちていく。
「ありがとね、すっちー!」
いつもの明るい声で言いながらも、
どこか名残惜しそうに傘の端を
握っていた。
「いいって。風邪引くなよ」
「うん!でもさ、傘貸してもらったお礼、
ちゃんとするから」
「お礼とか、別にいいよ」
「だめ。こさめ、そういうのちゃんと
したいタイプなの」
ふっと笑うすち。
雨音にまぎれて、その小さな笑い声が
耳に残る。
バスが近づく音がして、
こさめは慌てて顔を上げた。
「じゃあね、すっちー!」
手を振るその仕草は、
いつもの“みんなの前のこさめ”
じゃなくて、
少し照れた“俺のままのこさめ”だった。
「……また明日ね」
バスが走り出しても、
すちはしばらくその方向を見つめていた。
濡れた肩を気にせず、
なんとなく胸の奥がくすぐったいまま。
(…やっぱ変な子だな)
そう呟きながら、
それでも自然と笑みがこぼれていた。
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部屋に帰りついたこさめは、
濡れた靴を玄関に放り出して
そのまま脱衣所へ直行。
髪をタオルで拭きながら、
鏡の中の自分と目が合った。
「……すっちー、かぁ」
口に出してみると、思っていた以上に
その響きが胸の奥に響いた。
頬がじんわり熱くなる。
「なに照れてんだよ俺……」
そう言いながらも、鏡の中の
自分は笑っていた。
シャワーを終えてベッドに倒れ込む。
髪はまだ少し湿っていて、
外の雨音がかすかに残っている。
枕に顔を埋めて、
「すっちー」「すっちー」って何度も
口の中で転がす。
言葉を噛みしめるみたいに、
声のトーンを変えながら小さく繰り返す。
(……やば、ほんとに好きかも)
その瞬間、身体が勝手に動いた。
ベッドの上で足をぱたぱたさせながら、
顔を隠すように両手で覆って、
声にならない笑いが漏れる。
「うわー、やばいやばいやばい……っ」
雨の音が少し強くなって、
部屋の中に響く。
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コメント
4件
大好きです…緑水をありがとう、2人共可愛いがすぎます! 緑さん対応ちょっと変わった感じする…雨だったからほっとけなかったとかだったらいいな!!
ほわぁぁっ こんかいのも好きです‥ 水様風引かなかったらいいなぁ、 あ、でも風引いたらそれはそれで緑様が看病来てほしい((