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寺育ちのK
「恋という奴は一度失敗してみるのもいいかも知れぬ、
そこで初めて味がつくような気がするね。」
- 若山 牧水
「お前、今日時間ある?」特に大事な予定が思い当たらなかった莞爾は首を振る。
「今日の放課後よぉ…前ちょっと話したろ、C組の木村気になるって…今日よぉ、木村に告白しにいくわ…」
告白。学生にとっては一つの一大イベントであり、特に女っ気の見当たらない京蔵からそんな話題が出ることに莞爾は驚きを隠せないと同時に面白そうという感情が芽生えたことにも驚いた。
「そうかぁ…お前とうとうその段階まで来たのかぁ」
「彼女なしの野郎が何気取ってんだよ」
莞爾はなんだかんだで嬉しい反面、今後彼女を優先するであろう京蔵と遊んだり、登下校する頻度が減るだろうと思うと、正直つまらない気持ちも溢れる。
「まぁ、とにかくだ。俺の勇姿を見届けろよ?」
「俺引き立て役?それでも友達かよ!」
いつもの京蔵にしては自信に満ち溢れている姿を見ながら、いつも通り授業を退屈そうに聞く。
(一つ心配って程じゃないけど…京蔵って自分をよく見せようとして、ちょっとインテリ風に喋ることあるからなぁ…あれ割とウゼェからどうにかならなきゃいいけど、)
最後の時間のチャイムが鳴り、早速 友の勇姿を見てやろうと思った時、
「あの…轟さん、部活のことなんだけど…
今時間いいかな…?」
「ん?あぁ〜…ちょっと待ってね」
どうやら神は友の勇姿より 学校を優先しろというらしい。
「あぁーいいわ莞爾。俺はどのみちすぐ片せれるからな、」
怪しい、自信のありようが怪しすぎる。こいつはなんでこんなにも勝ち誇った顔をしているんだ…と言いたかったがぐっと飲み込み、部活の話をするため席を外した。
1時間もしていないだろうか、そろそろ京蔵の自信に溢れた告白は終わっただろうと、教室の窓を覗いたが、中には誰もいなかった。告白が成功したのだろう、きっと今頃2人で下校をしている。
「…………」
あっけないものだ、友とはどちらかが恋に進めばあっという間に交流はなくなる。相手が告白を承諾するところを見なくて済むという点では部活の会議に行ってよかったと思う。
「…っあぁ、疲れたぁー。帰るか」
ガタッ
「…?」
物音と共に啜り泣く声が聞こえる。
「………京蔵?」