しばらく音楽部で演奏を続けた。度々前田さんも見にきてくれた。それから前田さんも「入ってみたくなった」と音楽部に入った。
それから数週間後、もう少しで定期演奏会という季節までやってきた。幸い、なんとか今日までに部員が数名入ってきてくれ、演奏会はできる状態だった。
もう後3日で演奏会となった日の部活終わり、前田さんにある相談をされた。前田さんはバイオリンを担当しており、初めての演奏会で、不安だと相談してきた。私は、何をいうか迷ったが、あの日、私が言われて人生を変えられた、あの言葉を今度は前田さんに言うことにした。
「前田さんの演奏は上手いよ。もっと自信をもった方がいい。前田さんは、もっと傲慢に、我儘になった方がいい。前田さんの演奏は、他の人なんか非にならない、すごい演奏だよ」。
それを聞いて、前田さんは驚いたような表情を浮かべたあと、すぐに、「ありがとう」と言ってくれた。
当日、私は舞台に立った。もう、不安はない。雲一つない。だって、私は傲慢で、自分の演奏は一番だと思っている。あの時、気づかせてくれた冴先生にも、それは感謝しなければいけない。
もう少しで演奏が始まる。
私は、ピアノに足を向けた
完
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