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ある日の合宿後。
藍はちょっとだけ不機嫌だった。
「……なんか、今日ずっと西くんと話してたね」
「ん? まぁ、たまたま隣だったし」
「でもさ……俺、すぐ傍にいたのに、呼んでくれなかった」
小さくて、意地を張るような声。
「……もしかして、拗ねてる?」
「拗ねてない。……けど、今日くらいは独占させてほしい」
素直に言えないから、ほんの少しだけ甘えが混ざる。
石川は苦笑して、そっと手を伸ばす。
「わかった。今日の夜は、お前だけの俺になるから」
「ほんとに?」
「ほんと」
「じゃあ、ぎゅーして。あと、ちゅーも」
「わがまま」
「俺、祐希さんにしかわがまま言わないよ?」
「知ってる」
たまにくる、こんな“俺だけに見せる子どもっぽさ”がたまらなくて。
だから石川は、何度だって甘やかす。