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#僕のヒーローアカデミア
「おう、お疲れ様」
「無事に終わったようですな」
ザハン国商業都市・スタット―――
そこの富裕層地区にあるロックウェル家の
お屋敷。
そこでアラフォーに見えるグレーの短髪に
白髪が混じる、筋肉質の男と、
屋敷の主人である、眉もヒゲも真っ白な老人が
私たちを出迎える。
「何ちゅーか、あっさり終わったで」
「これも、ルクレセント様の御威光による
ものかと」
切れ長の目をした、ロングの銀髪の女性に、
犬耳と巻きシッポの獣人族の少年が一礼しながら
語り、
「みんないるー?」
「先に書状で顛末は送ってあるが」
アジアンチックな童顔の妻と、対照的に
欧米モデルのような顔立ちのドラゴンの方の
妻が片手を挙げ、
「お、帰って来たッスか」
「お疲れ様です」
褐色肌の青年と、その妻であるタヌキ顔に
丸眼鏡の女性もやって来て、
「とにかく詳細は中で話しましょう」
「着いて早々ですが、よろしくお願いする」
私の言葉に、いかにもな戦士の風貌の顔をした、
人間の姿をしたワイバーンが答え、
改めて屋敷に入り、モトリプカでの交渉の詳細を
説明する事となった。
「なるほどなるほど……
でもまぁ、魔法を封じられているんじゃ、
ゴネる余裕も無いだろうよ」
元マフィアの女主人―――
赤毛の、恰幅のいい女性が腕組をしながら
うなずき、
「フェンリル様を前にしちゃあ、
余裕もなくなるでしょうよ」
「ですがこれでようやく、一段落した
わけですな」
チンピラ風の痩せ細った男と、それよりさらに
痩身の男性が同調し、
誰もがやっと平和になったと胸をなでおろして
いる時、
「…………」
なぜかライさんだけが両腕を組んだまま、
両目を閉じていた。
「ライオット様?」
「どうかされましたか?」
彼の秘書的な存在―――
腰まで伸びた金髪の童顔の女性と、
黒髪ミドルショートの眼鏡の女性が、
ライさんを背後からのぞき込むと、
「いや、まあ……
ちとやられたかな、と思ってな」
「と言われると?」
「何か気になる事でも」
短い茶髪で、細マッチョという感じの青年・
魔族のノイクリフさんと、
同じく魔族である、横に細い眼鏡をかけた
青い短髪の青年・グラキノスさんが彼に
聞き返すと、
「う~ん」
そう言って彼は視線をアルテリーゼに向け、
「確か―――
『それがフェンリル様の意向であると言えば、
無理難題は言うまいよ』
と言ったんだっけか?」
「うむ? 我か?
確かにそう言ったが……」
ドラゴンの方の妻がそう答えると、
「何かまずかった?」
次いで、心配そうにメルが聞き返す。
「何つーかなあ―――
これまでこうまで反発してくれたクセに、
急にしおらしくなったんだろ?
それが弱気まで見せたのが気になってなあ」
そういえばそうだ。
ある意味、散々ゴネ倒してくれたものだが、
あの時は妙に低姿勢というか何というか。
『い、いや。
これからの事を思いますと頭が痛くて』
『今後、フェンリル様のご不興を買わずに
行動するとなりますと……
今回の内戦だけでなく、これまで占領して来た
地域まで対応しなければ』
それでさきほどの、アルテリーゼの言葉に
つながったんだけど―――
「……あ」
そこで私はようやくある事に気付き、思わず
声が出る。
「どうしたッスか?」
「何かありましたか、シンさん」
レイド君とミリアさんが私に顔を向けると、
私はライさんの方へ向き直って、
「もしかして、言質を取られたという
事ですか?」
「!」
「ああ、そういう」
私の後に、女性魔族2人―――
やや外ハネしたミディアムボブの、パープルの
髪をしたイスティールさんと、
ロングの白髪と、対照的な褐色よりも
黒い肌を持つオルディラさんが……
理解したようにうなずき合う。
「そうだ。
これまでの占領地域の対応に頭を悩ませて
いたのは事実だろうが―――
それに対し、フェンリル様のご意向だと
交渉材料に使うかも知れん」
それを聞いた室内のメンバーが『あ~……』と
同意するようにうなり、
「何と、なかなか抜け目ないですな」
「油断出来んやつらだ」
ベルマイヤさんとハヤテさんが、納得したような
表情になり、
「あ~、そりゃちと確かに失敗したかも。
話し合いもほぼ終わった時だったし。
ウチも気が緩んでいたか」
「で、ですが―――
内戦が収まったというのに、また新たな
争いが起きても困りますし。
フェンリル様の御名をお出ししても、
安定出来ればそれでいいのでは」
ルクレセントさんが非を認めた後、
ティーダ君がフォローに回る。
「そりゃそうなんだがよ……」
ライさんがガシガシと頭をかいていると、
背後のサシャさんとジェレミエルさんが、
「『今まで散々手こずらせてくれたクセに、
戦後処理で楽しようとするんじゃねえ
コンチクショー』」
「『ちったあこっちがしたくらいの
苦労をしやがれってんだ』」
そう言う2人に彼は振り返り、
「誰が本心を翻訳しろって言ったよ」
「え? 誰が翻訳って言いました?」
「本心とも言ってないですよねー」
サシャさんとジェレミエルさんにからかうように
返され―――
フラーゴル大陸・メナスミフ自由商圏同盟での
争乱は、ひとまず幕を閉じた。
「おお、これが桜というものか!」
「すごいもんだねぇ。
こりゃ、酒も飲みたくなるってもんよ」
公都『ヤマト』で……
六十代くらいの老人と、真っ赤な長髪の
アラサーの女性が、満開の桜を見上げ、
「何という―――
ここから精霊様たちは来られたという
事ですが」
「精霊様だけではなく、あらゆる種族が
ここでは争う事なく共存しております。
多種族が平和に暮らす事は……
現実に可能なのですね」
二十歳前後に見える、中性的な顔立ちの
青年と、
その隣りで青い髪を後ろで三つ編みにした
女性が、その光景に見入る。
「我がランドルフ帝国でも桜は導入して
おるが、ここが本場だからのう」
好々爺に見える老人が、そのヒゲをなでながら
満足そうに語る。
実は彼らはクアートル大陸四大国の
トップであり、
大ライラック国・軍王ガスパード
ドラセナ連邦・女帝イヴレット
モンステラ聖皇国・メルビナ大教皇
そしてランドルフ帝国・皇帝マームードが、
公都『ヤマト』の花見に一堂に会していた。
もちろんお忍びで、『ゲート』を使って、
だけど。
「おじい様ー!
わらわ、ラッチちゃんとレムちゃんと一緒に
向こうに行って来ますわー!」
「あ、あまり走らないように」
金髪縦ロールのお嬢様、軍王ガスパード様の
孫娘、アンニーナ様が―――
パープルの長髪に、前髪を眉毛の上で揃えた
女性……
皇帝マームードの娘であるティエラ王女様が、
保護者のようについていく。
「そういえば、メルビナ大教皇様は、
この辺境大陸は初めてでしたよね?
ティーネさんも」
私が声をかけると、一組の男女はこちらに
向き直り、
「はい。
まるで夢の中にいるようです」
「大精霊様の目指す世界を実現した地が、
こうしてこの世にあるなんて」
宗教家らしく2人は語るも、
「だがこうしてあるのだ。
そしてそれは、クアートル大陸でも
不可能ではあるまい」
「とはいえ余も、初めて来た時は驚いた
ものだがのう」
マームード様とガスパード様がしみじみと話す。
皇帝マームード様はすでに何度もここを
訪れているし、
軍王ガスパード様も、孫娘のアンニーナ様と共に
今年の年越しに来ており、
また女帝イヴレット様もそこで晴れ着を着て、
記念撮影しているので、
(■299話 はじめての しゃしん参照)
公都初体験は今回、メルビナ大教皇様と
ティーネさんだけとなっていた。
「ホラホラ食べて食べてー。
そして飲んでー」
「それが花見の醍醐味だからのう」
メルとアルテリーゼも、接待役に徹しながら、
四大国のトップの間を回り、
「おお、シン殿の息子たちか―――
久しぶりじゃのう」
「小さい手じゃ。
アンニーナが産まれた時の事を思い出すわい」
そう言って老人2人が、妻たちが抱いている
シンイチとリュウイチに構ってくれ、
「おう、今年も来たか」
「今回は大所帯ですのう。
新顔の方も見える」
そこに現れたのは……
アラフィフの筋肉質のギルド長、ジャンさんと、
白髪の短髪と同じ色のヒゲをたくわえた老人、
元公都長代理のクーロウさんで、
「おお、クーロウ殿か!
今年も来ましたぞ」
「我らは海の向こうから来たのだが―――
ここの桜は一見の価値アリと聞いておったの
でなあ」
マームード陛下と軍王ガスパード様が、
旧来の友人のようにあいさつし、
「いやあコレ、ウチにも持って行きたいよ!
あ、でも海沿いは厳しいかな?」
「土精霊様に頼めば、成長した状態に
してくださると聞いておりますが、
確かにこれは、持ち帰りたい
美しさです……!」
女帝イヴレット様に続き、メルビナ大教皇様が
本国にも桜を植えたい宣言をする。
「あー、まあそれは後で担当者を通してくれ。
それで今日は泊まっていくんだろ?」
「は、はい。
一応そうですけど―――」
大教皇様の付き人のティーネさんが、
きょとんとしてジャンさんに答えると、
「ここの夜桜は見物ですぞ?
夜になったら、あちこちで魔導具の照明で
照らし出されますから……
是非とも見て行ってくだされ」
「ほーん?
それなら、夜を楽しみにしてるわ♪」
クーロウ元公都長代理の言葉に―――
ドラセナ連邦の女帝がそう返し、
それぞれが夜を待つ事となった。
「おう、スマンスマン!
どうだ、4人は大人しくしているか?」
「そりゃまあ騒ぎは起こしませんけど……
国のトップが4人ともなると、さすがに
緊張しますよ」
冒険者ギルド支部に戻った私たちを待って
いたのは、
冒険者ギルド本部長にして、前国王の兄、
ライさんであった。
「無茶ぶりはまあいつもの事だが、今回は
ちょっと急過ぎだぜ」
「悪い!
俺もこうなるとは思っていなくて―――
この埋め合わせはちゃんとやるから」
彼は拝むようにして、戻った私や妻たち、
そしてジャンさんに謝り倒す。
実はメナスミフ自由商圏同盟の内戦が、
落ち着いたとの報告を……
辺境大陸の同盟各国に魔力通信機を通して
伝えたのだが、
ティエラさんも『ゲート』を使って、その時の
多国間会談に参加し、
その後、また『ゲート』を通してライさんも
一緒にランドルフ帝国へと戻ったのだが、
この時にはすでにクアートル大陸でも、
魔力通信機を使っての国家間会談は可能と
なっており、
また大ライラック国やモンステラ聖皇国にも
『ゲート』は設置済みで、
急遽、四大国に今回の事態が落ち着いた事を
伝えたところ―――
マームード陛下がふと、『では、今年も花見に
行けるな?』とライオネル様に話してしまい、
『何だそれは?』『何、花見って』と、
他のトップも食いついてしまい、
ライさんが説明した結果……
喫緊の事態が収束したのならばと、
一度その花見に行ってみたいという事となり、
四大国のトップの訪問が突然決まって
しまったのであった。
「これは―――
とてもこの世のものとは思えません」
「夜という世界を、こうまで神秘的に
映し出すとは……」
そうして日が暮れたあと―――
魔導具の照明でライトアップされた夜桜を見て、
メルビナ大教皇様とティーネさんが、感嘆の声を
上げる。
「見事、と言う他ないな」
「余は夜桜は二度目だが……
この年で心を動かすものがまだまだあると
思い知らされる」
軍王と皇帝が互いにうなずき合い、
「そしてこの時間―――
お子様のいない大人の時間!
ってワケで大っぴらに飲めるぜ!」
ニホンシュを片手に女帝がそれを高々と掲げ、
「はっはっは!」
「では飲むとしようか」
2人の老人がそれを見て笑い合う。
メルとアルテリーゼはそれぞれの息子の世話で、
ラッチは寝る時間なので夜桜には参加せず、
アンニーナ様もそれは同様で、
「おう、そういやコレ飲んだ事あるかい?」
代わりに参加していたジャンさんが、
馬乳酒を持って来ていて、
「何ですかそれは?」
「匂いがかなりキツいもののようですが……」
大教皇様と付き人の女性が、恐る恐る
視線を向けると、
「多分馴染みが無いだろうが―――
馬の乳を発酵させて作った酒だよ。
他にも羊や山羊の乳を使ったものもあるぜ。
あとこれが、それらを発酵させたチーズだ」
そう言ってギルド長がツマミのチーズを
一緒に取り出す。
ちなみに、私がこの世界で当初、カッテージ
チーズを流通させてしまったため……
チーズ=柑橘系の果汁と牛乳で作った、
いわゆるチーズもどきが普通のチーズとなって
しまっている。
そして出されたそれを各自が口に運ぶと、
「ほう、これは!」
「普段口にしているチーズよりも濃厚じゃのう」
「アタシは好きだね、コレ。
めっちゃうまいじゃん」
「大地の恵みが感じられる味です」
と、四大国のトップ全員が味を賞賛し―――
「発酵させなければなりませんが、
そこは魔族の得意分野ですから。
間もなく輸出用も大量に出来るかと
思います。
もし気に入ったら、お土産にお持ち帰り
ください」
「マジマジー!?
じゃあアタシ、部下の分も含めて持って
帰っていいー?」
と、やたら食いつきがいいのがイヴレット様で、
「酒飲みにゃたまらんだろう、コレは。
しかも保存も利いて栄養価も高い。
船乗りに向いているかもな」
そうジャンさんが説明を付け加えてくれて、
「まあともかく食おう食おう、ははは」
「そうじゃな、しかし本当に酒に合う!」
「お酒もこれも両方とも、動物の乳から出来て
いるのですか……
面白いものですね」
そう各国のトップが酒を酌み交わす中、
「そういえばティエラさんの姿が見えませんね。
ライさんもですが」
ふと私がこの場にいない2人の事を口にすると、
「アイツもフラーゴル大陸から帰って来たばかり
だからなあ。
少し疲れが出たのか寝ている。
それをティエラさんが看病している感じか」
あー、そういう事か。
この4人の訪問も急に決まったって話だし、
手配とかいろいろあったんだろうな。
そんな事を考えながら、夜桜の花見は
過ぎていった。
「ふぅ」
宴会の後、それぞれが各自の部屋へと戻り、
就寝する頃―――
メルビナ大教皇は、付き人のティーネと共に
窓からライトアップされた桜を見つめていた。
「あの桜の木……
シン殿の話によれば、天人族様の里からの
頂きものだと聞きました。
やはり、大精霊様のお導きがあったの
でしょう」
(■207話
はじめての てんじんぞくのさと参照)
「食事も、施設も―――
驚く事の連続でございましたが、
やはり特筆すべきは、各種族や魔物まで
友好的に暮らしている、という事でしょうか」
付き人の女性の言葉に彼は同意してうなずく。
「魔狼と結婚する者、獣人と酒を酌み交わす者、
ハニー・ホーネットやラミア族と遊ぶ
子供たち……
そして空は、ドラゴンやワイバーン、
ハーピーたちが飛び交う。
あの場にいたギルド長も、各種族の子供たちに
とても慕われているように感じました。
我がモンステラ聖皇国が目指した世界が、
こうして目の前に―――」
「私も方々で話を聞きましたが……
どうも各種族は、シン殿を中心、または
仲介役として交流を深めたようです」
そこで彼女はクスリと笑い、
「どうかしたのですか、ティーネ」
「あ、いえ―――
ただシン殿の評価が、どの種族の子供たちも、
『おいしい物を作るけど、時々ヘンな物も
作る人ー』
だったのがおかしくて、つい」
その答えに大教皇も口元をほころばせ、
「それだけ親しみやすい方なのでしょう。
アウリス様も、彼とすぐ友好的な関係を
持つ事が出来たと聞いておりますし……
そしてアウリス様がシン殿と出会って
なければ、あのレオゾ枢機卿の監禁から
救い出される事もありませんでした。
そう考えると今までの事は―――
やはり大精霊様のお導きに間違いありません」
「メルビナ大教皇様……」
そこで彼は少しの間目を閉じた後、
「桜を持ち帰らせて頂きましょう。
今日の記念に。
そして―――
理想は実現出来るのだという証に。
……そうです!
今、四大国が共同開発している、大陸中央の
開拓地にして、大精霊様の森―――
そこにも、あの桜を植えるのです!
各国共同で」
この夜桜の花見の後、四大国の指導者は
『ゲート』で帰還していったが、
後にクアートル大陸での各国間会談において、
メルビナ大教皇が大陸中央の森に、桜を植樹
させる事を提案。
すでに街ほどの規模になっていた開拓地に、
新たな風物詩が生まれる事となる……
「ふぅ、やっと終わったようだ」
ところ変わってフラーゴル大陸・ザハン国―――
商業都市・スタット。
ロックウェル家の屋敷で、その主人が一通の
書状を見て、一息ついていた。
「という事は……
話がまとまったのかい?」
同室にいたブロウが聞き返す。
彼女を始め、『見えない部隊』のメンバーは、
内戦終結後の動向を見定めるため、未だに
ザハン国に留まっていた。
「うむ。
今回、敗北同然の諸国はモトリプカ側に
土地の返還代金を支払い、
元の境界線に落ち着いたとの事。
これで事実上の終戦だ」
「お金で決着出来たのかい。
何か、あちらの事だからもっとゴネると
思ったんだけど」
ベルマイヤの言葉に、元マフィアの女主人は
そう答えるが、
「新魔導塔あっての戦略だったのだろう。
それが今後、『適切』に運用出来ないと
なると―――
土地に執着する意味も無くなる。
逆に管理に手間のかかる土地を国ごと
もらっても、損害の方が大きいと判断
したのであろうな」
ふむふむ、とブロウはうなずき、
「奴隷についてはどうなったのさ」
「旧魔導塔で隷属化していたのも含めて、
期限式の契約に切り替えたようだ。
クアートル大陸の四大国や、辺境大陸の方針を
そのまま取り入れたらしい。
あとこれは……
メナスミフ自由商圏同盟、全てで実施される」
暗に、今後はそちら側と歩調を合わせると
ベルマイヤは告げる。
「ふーん。
という事は、もうこの大陸は落ち着いたって
事でいいのかい?」
すると老人は片方の眉をつり上げ、
「どうかのう。
何より問題は、今回の件で『解放』された、
モトリプカ側がこれまで侵攻・占領してきた
地域であろうな。
フェンリル様の言質を取ったとの事だが、
果たしてそれがどれだけ通用するか」
「ま、多少の小競り合いは仕方が無い
だろうねぇ。
そのために、ジャーヴやユールに今、
探らせている最中だから」
彼女の言う通り、名前の出て来た2人は―――
モトリプカ側が今まで従属させて来た土地を、
潜入・調査に出掛けていた。
「ちなみに、何かやらかしそうなところって、
情報はあるのかい?」
「ロックウェル家でもあれ以上は。
まあ、あの2人が帰って来るのを
待ちましょうぞ」
そうベルマイヤが言うと、ブロウは老夫婦の
ように席に座り直し、飲み物に口をつけた。