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「はいどうもみなさんこんにちは!サンシャインチャンネルのカイセイです!今回はですね―――」
俺はこいつが撮った動画を編集しPeTube(ピーチューブ)という動画を投稿したりするサイトに上げている。おかげで登録者は最近20万を超えた。俺達は主に心霊スポットで動画を撮り霊などが写っていないかまでを動画にしている。だが最近、カイセイがゾンビウイルスに興味津々なのだ。俺等は心霊スポットを中心に動画を撮っている。それで視聴者を集め結果登録者20万を超えた。そんな視聴者を裏切るような他の分野をやるのはどうなんだと俺は思っている。だがカイセイはやる気満々。その動画を撮りたくて心霊スポットそっちのけ。
そんな時だった。ゾンビウイルス研究をしている研究所で事件が起きたという。詳細としては◯月◯日。〇〇研究所にてゾンビウイルスの実験中、ゾンビウイルスに感染したネズミが檻から脱走し一人の女性研究者が噛まれゾンビウイルスに感染。そのままその場にいた成田彰研究者がその女性を殺した。成田氏はゾンビを殺害したとして罪には問われなかった。しかし、その後自宅へ帰宅し自宅のキッチンにあったナイフで自身の妻・子供を殺害。成田はその場から逃走し全国手配されている。どうやらその研究所は現在ゾンビウイルスが蔓延している可能性があると使用不可になっている。
ある日のことだった。俺はカイセイと次のネタの打ち合わせをする日だったためカイセイの家へと足を運んだ。ピーンポーンとインターホンを鳴らすと真っ先にドアが開いた。そして俺はリビングのちゃぶ台の近くに腰を下ろした。
「へえ〜今日もアチいな〜。ささ!ネタ会議!」カイセイは嬉しげに顔を歪めそう話す。
「ああ。だな。それじゃあ」と俺もそれに乗っかった。
「お前はなんかあるか?ネタ?」
「そうそう。N県に死者と会えるっていう橋がある噂があるらしい。そこ行ってみないか?」俺は自信満々にカイセイに資料を渡した。
するとカイセイは先ほどとは打って変わって別世界に踏み込んでしまったような表情で俺が渡した資料を睨んでいた。
「あ〜死者と会えるな〜…」
「なんかダメ?」俺はそう訊いてみた。
「俺、ゾンビウイルスを消したいんだよね〜。それでさ思ったんだけどその菌を燃やしちまえばいいわけじゃないかって。どう?」カイセイはそう興奮気味に話した。きっと彼はゾンビウイルスのことしか考えていないのだろう。
「…でもさ〜心霊スポットを売りに出して俺等は稼いでるわけ。だから視聴者さんがどう思うか…」俺は俺なりの気持ちをカイセイにぶつけた。
「じゃあわかった。研究所に行こう。それを心霊スポット風にする。お前の編集でどうにかなるだろ?」カイセイっぽい考えだった。カイセイはいつも俺の編集を信じてくれた。そんな奴を裏切るわけにはいかなかった。
「なるほどな…まあそれだったらいいんじゃないか?でも研究所はどうやって…?」不意に思った疑問。研究所は確か今は入れなかったはず。ではどうやって…?
「俺の兄貴をつてにどうにかする」そういえば。俺は思った。こいつの兄は蔵島達哉。その研究所で働いていた。カイセイの本名は蔵島晴哉(はるや)だ。
「まあ頑張ってくれ」
「おう!これで再生回数も登録者もバク上がりだ!」カイセイはそう嬉しそうに叫んだ。
俺はその後カイセイの住んでいるマンションを出て自宅へ向かった。すでに空は橙色に輝いていた。時間が経つのは早いものだ。特に最近なんかはつくづく思う。そう空を眺めているととある声が聞こえてきた。
「うう…どうすれば…」俺は視線を空から地に戻し声がする方を向いた。そこには40代ほどの男性が頭を抱え先程の言葉をずうっと呪文のように唱えていた。俺はその人に声を掛けるか迷ったが困っているのならと俺はその人の近くへと駆け寄った。
「大丈夫ですか?」そう声をかけた。すると男性は俺の方に飛びつき目を見開いて声を発した。
「ああ。ああ。君はカイセイの友人。あいつを正気に戻せ。じゃないとオイラが死ぬ」なぜ俺があいつの友人ということを知っているのか…。そんなことはともかく正気に戻せとは?俺は質問した。
「ちょっと待ってください。正気に戻せとはどういうことですか?」すると男性は突然表情を変え俺に向かって話した。
「彼はカイセイなんかいう素敵な人じゃない!成田彰の化身だ!」