テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
50
721
3,937
朝。
楽屋に入った青は、いつものように部屋を見回した。
青「……桃くん?」
返事はない。
赤「青ちゃん、おはよ!」
青「あ、おはよう赤くん。」
黄「青ちゃん、桃なら朝から別のお仕事だよ。」
青「……え。」
黄「午後には戻ってくるって。」
青は「そっか」と笑った。
でも、その笑顔はどこかぎこちなかった。
⸻
収録が始まる。
赤がボケて、黄が笑って、橙がツッコんで、紫も楽しそうに話している。
でも青だけは、どこか上の空だった。
赤「青ちゃん?」
青「えっ?」
赤「今日、静かじゃない?」
青「あはは……ちょっと眠くて。」
橙「ほんと?」
青「うん!」
そう笑ったものの、またドアへ視線が向く。
(まだかな……。)
(桃くん……。)
⸻
休憩時間。
青は一人で廊下へ出た。
スマホを開く。
“桃くん”
その名前を押そうとして、指が止まる。
(忙しいよね……。)
(迷惑かな……。)
結局、画面を閉じた。
その時だった。
紫「青ちゃん。」
青はびくっと肩を震わせる。
青「あ、紫くん。」
紫「ずっと我慢してるだろ。」
青「してないよ。」
紫「してる。」
青は笑おうとした。
でも、笑えなかった。
青「……。」
紫「寂しい?」
その一言で。
張っていた糸が切れた。
青「……っ。」
ぽろっ。
涙がこぼれる。
青「あ……。」
慌ててぬぐう。
でも次から次へと涙があふれて止まらない。
青「ご、ごめん……。」
「泣くつもりじゃ……なかったのに……。」
赤と黄と橙も駆け寄ってくる。
赤「青ちゃん!」
黄「大丈夫、大丈夫。」
橙「無理しなくていい。」
青は首を横に振る。
青「違うの……。」
「桃くんがいないだけなのに……。」
「なんでこんなに寂しいのか、自分でも分かんなくて……。」
声が震える。
涙も止まらない。
赤は何も言わず青の背中をさする。
黄はティッシュを差し出す。
橙は青の手をぎゅっと握った。
その時。
ガチャ。
桃「青。」
聞き慣れた声。
青は勢いよく振り向く。
青「……桃くん。」
桃は青の赤くなった目を見て、すぐ状況を察した。
桃「泣いたのか。」
青は小さくうなずく。
桃の顔を見た瞬間、安心したようにまた涙があふれる。
青「桃くん……。」
桃は青の前まで歩いてくる。
青は何も考えず、桃の服をぎゅっとつかんだ。
青「……会いたかった。」
桃は驚かなかった。
ゆっくりと青の頭をなでる。
桃「青。」
青「……。」
桃「そんなに我慢してたのか。」
青「……桃くんがいないと、落ち着かなくて。」
「仕事だって分かってるのに……。」
「帰ってこないんじゃないかって、ずっと考えちゃって……。」
桃は少しだけ困ったように笑う。
桃「青。」
青「……?」
桃「俺はちゃんと帰ってくる。」
青は涙をぬぐいながら桃を見上げる。
桃「だから、一人で泣くな。」
青「……でも。」
桃「寂しくなったら連絡しろ。」
青「いいの?」
桃「あぁ。」
「何回でも出る。」
青は少しだけ笑った。
青「……ありがとう、桃くん。」
桃はもう一度、優しく頭をなでる。
桃「帰ってきたら、一番最初に会いに行く。」
青は涙をぬぐって、小さくうなずいた。
青「……約束だからね。」
桃「あぁ。」
「約束。」
コメント
1件
うわっ、これめっちゃ刺さった……! 青ちゃんの「桃くんがいないだけでこんなに寂しくなる自分が分からない」って心情、すごくリアルで胸が締め付けられたよ。紫くんの「寂しい?」で一気に涙が溢れる場面、描写が繊細で泣けたわ。桃くんが戻ってきて「何回でも出る」「一番最初に会いに行く」って言うのも優しすぎるし、男前すぎる……! 2人の関係性、もっと知りたい。続きが気になるー!🔥