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新しい居場所
「それでは、椿彩。君を新しい鬼殺隊の一員として歓迎するよ。柱のみんな、彼女に自己紹介をしてあげておくれ」
お館様の言葉に、並んだ柱の人たちが1人ずつ1歩前に出る。
まずはお坊さん。
「岩柱の悲鳴嶼行冥だ」
次に派手な人。
「音柱・宇髄天元だ」
あ、派手柱じゃないんだ。
続いて鮮やかな髪色の人。
「炎柱・煉獄杏寿郎という者だ!」
明るくてよく通る声だなあ。
そして甘露寺さん。
「恋柱の甘露寺蜜璃です!」
かわいい〜!
次に傷だらけの人。
「風柱・不死川実弥だ」
まだ話したことない、柄が半分ずつの羽織の寡黙なお兄さん。
「…水柱・冨岡義勇」
あ、伊黒さん。
「蛇柱・伊黒小芭内だ」
いつ見ても綺麗なオッドアイ。
続いてしのぶさん。
「蟲柱・胡蝶しのぶです」
ほんとに美人だなあ。優しい声。
最後に私より年下くらいの男の子。
「……霞柱・時透無一郎」
すごいなあ。こんな幼くして柱になるなんて。
「椿彩。以上が鬼殺隊を支える柱だよ。みんな、ありがとう。椿彩を頼むね」
『よろしくお願いいたします!』
お館様とお嬢さんたちが退室して、柱の皆さんと私が残る。
「ところで、夏目は誰が引き取って面倒見るんだ?」
「あ!それなら、つばさちゃん、私のお家に来ていいよ!」
不死川さんの問いかけに、すぐに反応してくれた甘露寺さん。
嬉しい!甘露寺さんのお家楽しそう。
「甘露寺と暮らしたら、毎日大量の飯食わされて夏目が真ん丸になっちまうんじゃねえか?俺が面倒見てやってもいいぞ!嫁3人も喜びそうだし」
冗談っぽく笑う宇随さん。
え、お嫁さん3人もいるの???
「…伊黒さんが連れてきたなら、伊黒さんが面倒見ればいいんじゃないの?」
ぼんやりと遠くの空を見ながら、時透さんが言う。
えっ!伊黒さんの家に!?
なんか緊張しちゃうなあ。
「断る。確かにこいつを連れてきたのは俺だが、女を家に上げる気はない。そもそも俺は女が苦手なんだ。1人を除いてな」
う…そんなはっきり言わなくても。
1人の女を除いて??
「だったら俺の家に来るといい!継子にしてあげよう! 」
煉獄さん。面倒見がいいんだなあ。
「いけません。たとえ柱であっても男性の家には預けられません。…椿彩さん、蝶屋敷に来てくださいね。同じ年頃の女の子もいますから、あの子たちも喜ぶと思います」
しのぶさんの言葉に内心ほっとする。
「では、夏目の住居は蝶屋敷ということで良いな?そこから他の柱の屋敷に出向いて、稽古をつけてもらうといい。」
『はい』
「賛成だ」
こうして無事に私の住処が決まった。
しのぶさん、ありがとうございます…!
「弓の稽古も必要だが、刀も扱えると尚よい。皆から指導を受けて、足捌きや型がある程度さまになってきたら、日輪刀を打ってもらうといい。」
『はい、ありがとうございます悲鳴嶼さん』
「つばさちゃんの日輪刀、何色になるのかしらね!楽しみだわ」
解散した後。
「さあ、帰りましょうか。あなたはこれから蝶屋敷の一員です。他の子たちと同様に、あなたも私の大切な妹ですから、みんなで仲良くしましょうね、“つばさ”」
『!はい…!』
嬉しい。姉妹ができたなんて。
「つばさちゃん!暮らすのはしのぶちゃんちだけど、我が家にも遊びに来てね!絶対だよ!」
『はい!ぜひ!ありがとうございます、甘露寺さん』
「…その……私もしのぶちゃんみたいに名前で呼んでほしいなあ…」
『あっ、はい!…えっと、“みつりさん”』
「きゃーっ!どうしよう可愛いよお〜!!」
甘露寺さんに力いっぱい抱き締められる。
すごい。豊かなバストに顔が埋まる。
しのぶさんもにこにこしながら私たちを見ていた。
蝶屋敷に帰ってきたしのぶさんと私を、 まだ見たことない女の子が出迎える。
わあ…可愛い…。
サイドテールにした長い髪に、しのぶさんや他の子たちと同じく蝶の飾りを着けている。
「師範、おかえりなさい。…あ、もしかしてその人が……」
「ただいま。ああ、カナヲはまだ会っていませんでしたね。私たちの新しい家族に加わった“つばさ”です。カナヲより1つ歳が上です」
『はっ、初めまして!夏目椿彩です。えっと…カナヲさん、よろしくお願いします』
「栗花落カナヲです。…あの、敬語じゃなくて、大丈夫……」
しのぶさんを見ると、にっこり微笑んで頷いた。
『ありがとう。それじゃ、カナヲちゃん、よろしくね』
「うん。よろしく、つばさちゃん」
アオイちゃんや、なほちゃん、きよちゃん、すみちゃんのいる台所へ手伝いに行く。
「あっ、つばささんおかえりなさい!」
『ただいま。アオイちゃん何か手伝うよ』
「ありがとうございます!そしたら、私は患者さんたちの体温を計ってくるので、このおかずをよそってもらっててもいいですか?」
『うん、わかった』
夕飯が済んで、後片付けが終わる頃。
しのぶさんが声を掛けてきた。
「椿彩。ちょっとこちらへ」
『?はい』
後をついていくと、行き着いたのはしのぶさんのお部屋だった。
「これを、あなたにプレゼントします」
『あ!これ……』
「あなたも蝶屋敷の一員ですからね。着ける着けないは自由ですが、私はあなたを実の妹のように大切に想っていますよ」
『わあ…ありがとうございます!』
しのぶさんから手渡されたのは、屋敷の女の子たちが着けているものと同じ、蝶の形の髪飾りだった。
私のは、エメラルドグリーンから淡い水色にグラデーションがかかっていた。
早速、ポニーテールに結んだ髪に着ける。
「あら、すぐに着けてくれるなんて。よく似合っていますよ」
『ありがとうございます!大事にします』
私がそう言うと、しのぶさんも嬉しそうに微笑んだ。
つづく
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