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好きな人ができた。
男なのに男を好きになるなんて、気持ち悪いかもしれない。
でも、俺はそいつが好きだ。
俺が好きだと気づいたのは1ヶ月もまえのこと。
夏休み真っ最中、急に宮殿にやって来た。なんの用だ。誰だ。
ケータだ。
「エンマ~!ごめんね、忙しいのに…」
「急なんだけど…エンマって駄菓子とか、りんご飴とか好きでしょ?だから一緒に夏祭り行かない?!」
急な誘いだ。仕事で忙しい、仕事をしないとぬらりに怒られるからいつもなら仕事を優先するのに…。なぜかケータを優先した。俺の体がケータを優先した。
「いいぞ。」
「本当?!じゃあ、土曜日、俺の家に迎えに来てね!」
そういって去っていった。それだけか。これだけを伝えるためにここまで来たのか。
俺は、大王だから、友達扱いされることなんか全くない。むしろ怖がってる奴が多い。なのに、ケータだけは俺を”友達”として仲良くしてくれる。俺と居るとき、ケータはずっと笑顔だ。その笑顔が、…かわいかった。俺に笑顔を見せる者など、そんな居ない。俺自身、仕事で疲れ果てていても、ケータが居ると笑顔になる。自然と。フツーの小学生5年生のはずなのに、俺には全くフツーには見えなかった。
当日
ウィスパーとジバニャンはいない。やはり、俺が怖いのか。
ケータが着物を着てきた。俺も黒と黄色で統一された着物をきている。
「着物、似合うな。」
「本当?!今日お母さんにやってもらったの!」
「エンマもにあってる!かっこいい!」
なぜかケータから言われた”かっこいい”はそこら辺の女妖怪に言われるのとは違った。嬉しかった。今までで一番嬉しかった。こんな気持ちになったのは初めてだった。俺はもしかしたら…”ケータのことが好きなのかもしれない。”
自分がケータを優先したのも、ケータと居ると笑顔になるのも、かわいいと思ったことも、ケータにかっこいいといわれて嬉しかったのも、フツーだと思えなかったのも、
全部、ケータのことが好きだったからかもしれない。
…
「エンマ大丈夫?耳赤いよ?」
「っぁ…大丈夫だ…!」
「そう…それならいいんだけど…無理しないでね…?」
ケータにバレたらさすがに気持ち悪いと思われる。それだけはイヤ。男が男を好きになるなんて…。それも妖怪と人間だ。好きってことがバレたら距離をおかれるに決まってる。絶対、隠すぞ…。
そんなことを思っていたら、もう屋台はほとんど全部回り終わっていて、ケータと俺の手にはヨーヨーがかかっている。あと数分したら打ち上げ花火が始まる。
打ち上げ花火が始まるアナウンス。アナウンスが流れ終わった直後に、ケータが自分の着物をふんずけて、バランスを崩し、コケそうになったその時。俺の体が考えるより先に動いた。
ケータがぽすっと俺のお腹に顔を埋めている。
「大丈夫か…?」
「っ…ごめんっ!エンマは大丈夫、?」
「俺の心配より自分の心配をしろ。怪我、ないか?」
自分で言って自分で恥ずかしくなった。視線がどこかわからない方へ向いている。視線をケータに戻すと…ケータも耳が赤かった。…なぜだ。あついのか。たくさん歩いたからか…。期待はしない。ケータが俺のことなんか…。
「ありがと。」
花火の音であまりよく聞こえないはずだが、俺にははっきりと聞こえた。ありがとうといわれた。すごく嬉しかった。
そのまま夏祭りは終わった。
これが、俺の恋の始まりだった。
夏祭りが終わって一週間。あれきりケータには合っていない。ただ、仕事の山が目の前にあるだけ。最近はつまんない。捨てずにとってはあるヨーヨーのいろが濃くなり、しぼんでいる。
「大王様、お届け物がございます。」
ケータからの手紙だった。
『一番つよいエンマへ
この前、夏祭り一緒に行ってくれてありがとう!めっちゃ楽しかったよ!エンマが美味しそうにりんご飴食べてるのみて、俺もりんご飴食べたくなった!エンマの一番好きなのはりんご飴なの?また今度会ったら教えて!次はエンマといろんなところに行きたいな!ずっと友達だよ!!
ケータ』
手紙について思った事はたくさんあった。りんご飴が一番。いろんな所に行きたい。ずっと友達。でも一番気になったのが…手紙だったことだ。嬉しいけれど、直接伝えればいいこと。気になってケータにばれないようにケータのいえに行ってみた。寝込んでる。なんだ。いつもあんなに元気なケータが、寝込んでる。黙って見てるわけにはいかなかった。
「ケータ!」
明らかに熱。一週間、外に出てはいけないらしい。それだから、あいに来なかったんだ。好きな人が一週間だけ会いに来ないだけで、こんな心配になるんだなと思った。とりあえず、生きてて良かった。
また一週間。
また一週間と、時が流れ、1ヶ月が経った。一応ぬらりにはバレて、話せと言われてケータが好きということを言った。ぬらりは引いていただろう。
まだ本人には言えないままだ…。
「ケータは、俺の事、どう思ってるんだろうな。」
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