テラーノベル
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ご主人
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コメント
3件

今ちょっと感動しております…… 素晴らしい神作家さんに出会えました🙏✨ ぜひフォローさせて頂きます!

はじめまして(^^) すごくあったかい気持ちになりました、こういうお話好きです🍵また読みたいです✨️フォローさせていただきまふ_(._.)_
この作品もっといろんな人に見てもらいたい。
さて、何を食わせようか…
野菜全般そんなに好きじゃないんだよなぁ。
だからといってこんな時間にうちに来たコイツに出すものが飲み物だけとか市販の菓子でいいわけがない。
これはコイツのほんの小さなSOSだから。
がぱん、と冷蔵庫を開ける。いいものを発見した。今朝の自分にイイねをするとしよう。
自然と口角が上がるのを感じながら、ゆっくりとタッパーを取り出す。
丁寧に育てている鉄のフライパンをコンロへ。
入れるだけでカットされるという非常に効率のよいバターケースからバターをひとかけ…。いや、おまけのもうひとかけ。
カチ、コンロに火をつける。
フライパンのなかでキラキラしながら溶けていくバターを見送ったら、タッパーから半分にカットしている食パンを2枚。これで通常の1枚分。
量は少ないけどこんな時間に腹いっぱい、はしないに限る。ニキビできるって気にしそうだしな。
卵、牛乳、砂糖でひたひたに浸かっているこれは、なんとなく食いたいなーって思って朝に仕込んでおいたんだよね。俺、偉すぎる。
ダイニングを見るとテーブルに突っ伏している人影。寝ている理由じゃないのにほとんど動かない。
今日はバライティ2本撮りだったか?共演する人も多いし気も頭も使う。
天真爛漫に見えて、実はめちゃくちゃ考えて動くコイツの事だ。
気持ちも体力も限界のくせに、うまくいかなかった内容を思い出してはモヤモヤして、ゆっくり消化してんだろうな。
鼓膜破る気かってくらい大音量の声も、眩しいほどの笑顔も今はない。
いつも通りと言えばファンから初期装備って言われる服装だけで。
ごく少数しか見ることのないコイツの一面。
頃合いを見て食パンをひっくり返す。
じゅわって小気味のよい音が鳴ると同時に、甘くて優しい香りが部屋中に広がった。
「…ええニオイ…」
いつもの何分の一の声量よ?ってツッコみたくなる小さな声が聞こえた。
でも俺にはちゃんと届いて、ふっと笑みがこぼれる。
良かった。美味しそうな匂いを感じて言葉にできるなら。
ほら、反省は終わりにして出来立てを食おうぜ。
周りをカリッと焼き上げたフレンチトーストに、ハチミツをかけるだけ。オシャレなカフェみたいにホイップもフルーツもましてや粉砂糖なんてものもないからシンプルにね。
はい、これで簡単フレンチトーストの出来上がり。
「太智。」
カチャ、とフォークも一緒に乗せた皿を突っ伏しているコイツの前に置く。
ゆっくり顔上げたコイツの瞳はまだ虚ろで、ぼーっとしてる。
「疲れたときは甘いもん。」
俺も多くは言わない。でもちゃんとお前のこと考えてるよって気持ちは込めて。
「うまそう…」
「ん、召し上がれ?」
「…いただきます…」
カチャ…
はぐっ…
…ごくっ
「…うまいわぁ…」
太智の瞳にちょっと光が戻った気がする。
「そいつはよかった。」
「もうちょいハチミツかけてもえぇ?」
「もちろん。」
最初の一口は小さかったのに、今は頬が膨らむくらい口いっぱい食べてる。
コイツは先の先まで考えれるやつだから。復活したらまた持ち前の明るさと行動力で俺たちのことを盛り上げてくれるだろ?
今日もお疲れさん。俺たちのムードメーカー。