テラーノベル
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リビングに横たわるコイツ。
デカい、というより長い。
ラグからはみ出てんじゃねぇか。
同じ局でそれぞれの仕事をしていて、たまたま終わりが被って廊下で会った。その時のコイツの顔を見てびっくりしたんだ。
これはまずいと思った。抵抗されないことをいい事に引っ張って、タクシーに押し込んで、うちまで連れ帰ってきた。
んで今この状況。ひとまずなんか食わせねぇと。
昨日がオフだったから買いだめができていて、食材は充実している。
今コイツに必要なのは…肉と米かな。
米は早炊きで炊飯器さん頼みますわ。
ごとん、灰釉の平皿をキッチンに出してそこにもやしをたっぷり2袋分。
冷蔵庫から薄切りの牛肉を出してもやしが見えなくなるまでこちらもたっぷり乗せていく。
肉には塩コショウを少々。
ふんわりラップをかけたらレンジでまず3分。
一回じゃ無理なんだよなぁ。
一度取り出してこれまた冷蔵庫にあった焼肉のタレをぐるっと一周かける。
ラップをかけ直して今度はレンジで4分。
どうかな?肉に熱が入ればもう完成。
簡単牛もやし蒸しの出来上がり。今日は包丁すら使ってねぇよ。
ピーピーと米が炊けた音が響いた。いいタイミングじゃん。
「舜太ー…?」
ちょいちょいと横たわっているコイツをつついてみる。
「…うん…」
「飯、食おうぜ。」
「…食べる…」
のそりと起き上がったからダイニングテーブルにつくよう促す。
皿にマックスまでもやし乗せたから縁まであっちい。布巾で手を守りながら運んでたら、
「…あ、手伝う?」
なんて気を使ってきたから、
「いいんだよ、座ってろ。」
って言ってやる。お前のやることは今からしっかり飯を食うことだけだ。
取り皿と炊きたてご飯も用意して、2人向かい合って
「「いただきます。」」
35
ご主人
241
222
ふー…、ふー…
ばく…
…ごくん…
「…なんでしんどくてもご飯はうまいんやろなぁ…」
ふにゃっていつもみたいに笑うのに、今にも泣きそうな顔。
「大事なことだろ。」
その表情に気付かないふりしていつものトーンで返す。
「だいじかぁ…」
「うん…、そうやね。だいじよなぁ…」
「俺楽屋で軽く食べちゃってるから、あとこんだけでいいわ。お前たくさん食えよ。」
そう言いながら皿をコイツの前に寄せる。
「…仁ちゃん、ありがとぉな…」
「ん。ほら、食え食え。」
バライティやらクイズ番組やら俳優やら、色々な自分を使い分ける仕事は本当に心も身体も消耗する。
年齢的な経験の少なさから辛い思いをすることもあるんだろう。何がいけなかったのか頭がいいコイツは必要以上に考えてしまうんだろう。
でもちゃんと飯食って、しっかり寝れば明日はまた楽しくやれるよ。お前にはそのパワーがあるから。
今日もお疲れさん。俺たちのかわいくてかしこい末っ子。
コメント
2件
リーダーの優しい言葉が泣けてくる
おいしいもん食べてもっと成長してくれ末っ子!! 毎回お話がおいしそうすぎます