コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
とてもショックだった。
信じられない。
警察によると、すぐに犯人が逮捕され、簡単に自供したらしい。
菜々子先輩が、お兄さんに、同じ会社の朋也さんにフラれたことを話し…
怒りに任せて言った『私をフルなんて許せない』という言葉に逆上して犯行に及んだと…
お兄さんには前科もあったらしい。
カメラの男と前科者のデータベースの顔が一致して、スピード逮捕に至った。
菜々子先輩も取り調べを受けてるそうだ。
朋也さん、やっぱり、菜々子先輩に告白されたんだ…
そして…あんな綺麗な人をふったんだね…
私のこと本当に想ってくれてるんだって、改めてわかった。
すごく嬉しい…けど、こんな事件になったのは、私の責任なんだと思い知らされた。
ごめんなさい、朋也さん…
警察も帰って行き、私は朋也さんに少し休むように言って、部屋を出た。
一弥先輩は、帰らずに私を待っていてくれた。
『恭香ちゃん、大丈夫?』
『いろいろありがとうございました。一弥先輩がいなかったら、私は…きっとオロオロしてるだけで、何も出来なかったと思います』
『…良かったよ、少しでも役に立てて。本宮君良かったね、無事で』
『…一弥先輩、本当にごめんなさい』
『いいよ、大丈夫。言わなくていいよ。僕は…恭香ちゃんにフラれたんだから、ちゃんと受け止めるよ。仕事頑張りながら、恭香ちゃんへの想いを断ち切れるように…しないとね』
私は、頭を深く深く下げた。
『だけど、しばらくは…無理かな。大好きな恭香ちゃんへの想いは、そう簡単に消えないだろうし。じゃあ、先に帰るよ。仕事戻るね。本宮君によろしく…ね』
一弥先輩は、手を挙げて行ってしまった。
私は、先輩を見送ってから朋也さんの部屋に戻った。
『朋也さん、大丈夫?傷は痛む?』
『大丈夫だよ、痛み止め効いてる。一弥君は?』
『仕事に戻るから朋也さんによろしくって』
『そっか…本当に2人には申し訳ないことした』
朋也さんの声、やっぱり元気がない。
『もう謝らなくていいから。仕事も大丈夫。社長がいろいろ考えてくれてるから。何も心配しないでね』
『恭香…ありがとう』
私は、首を横に振った。
『私、朋也さんに謝らないと。私のせいで朋也さんが…』
『馬鹿だな、そんなこと絶対に考えるな。お前は何も悪くない。ただ、俺がもっと大人の対応してれば…そこまで憎ませることも無かったんだ。こんなにおおごとにしたのは自分自身のせいだ』
朋也さん、一生懸命話してくれてる。
苦しい気持ちを隠して。
そうやって、いつも私を守ってくれるんだね…
『朋也さんは優しい…今は朋也さんが生きていてくれたことに…ただ感謝するね』
朋也さんがまた微笑んだ。
こんなカッコよくて優しい笑顔見たら、もっと、もっと…好きになっちゃうよ。
本当に…
目を覚ましてくれて…
生きててくれて、ありがとう。
朋也さん。