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奨は、夢を見ていたのだと思った。
目覚めると、見慣れない部屋の天井。
壁には、自分と見覚えのある人たちの写真が飾られている。
そして、ベッドの横には、見慣れない私服で眠る蓮の姿があった。
蓮は、あの日からずっと、自分の隣にいた。
デビューして、何年も経って。
自分はグループのリーダーとして、蓮はパフォーマンスリーダーとして、互いに支え合ってきた。
それなのに、目の前にいる蓮は、どこか幼く、少しあどけない顔で眠っていた。
「……蓮?」
思わず声をかけると、蓮がゆっくりと目を開けた。
「奨くん…?どうしたの?」
蓮の声は、昔のように少しだけ低く、眠そうだった。
奨は、自分のスマートフォンを手に取った。
日付は、2019年9月。
あのオーディション番組が始まったばかりの頃だった。
なぜ、こんなことになったのか。
夢を見ているのか? いや、あまりにも鮮明だ。
未来の記憶が、頭の中に詰まっている。
これから何が起こるのか。 誰がデビューするのか。
そして、自分と蓮が、どんな関係になっていくのかも、すべて。
奨は、何も知らない顔で眠る蓮を見て、心の中で葛藤した。
この記憶は、誰にも言えない秘密だ。
そして、この秘密は、二人の運命を、大きく変えてしまうかもしれない。