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『どうしてこうなった?』
縦型カプセルの中でボーイは一人考える。なぜこんなところにいるのか、なぜガラスの向こうで【あいつ】は笑っているのか、
隣に自分と同じような状態のバクダンがいるのか________
しかしふとすべてを思い出す。
『そうだ、俺はヒカリのために________』
そうして彼は過去を振り返る________
彼はとても強かった。でんせつアルバイターであり、XP4000台の強豪選手。
しかしあるとき、一切バトルをしなくなった。アイツラと戦うために。一つでも悲しみを消すために。
だが、妹があるとき消えた。悲しみ、苦しんだがそれでもなお戦っていた。
あるとき、【あいつ】に出会った。
「君の妹は私達がさらった。返してほしくば_______」
此方側についてもらおう。君達は邪魔なんだよ。
それを彼は苦悩の果、承諾した。当時の相棒には言えなかった。そうして彼はジン体改造を受けることになり、今ここにいる。
妹が解放されればそれでいい、そう考えて______________________________
「おめでとう、これで君も私達のなかまだ。リュウ...いや、No.100【キバ】」
妹の為なら…これで…
時を遡ること数カ月前、バンカラ街がより活気づいて来た頃だった。
「うわーー✨️お兄!すごいね!あ!モノレール!」
ミツアミの少女は大はしゃぎで兄に話し掛ける。いや、最早叫んでいるというのが正解なのかもしれない。
「おい、はしゃぎすぎだ、【ヒカリ】」
コーンロウの兄は落ち着いて妹__ヒカリに言葉を返す。ヒカリと違い自分__【リュウ】は何度か来ているようで全くはしゃいではいない。そんな兄の態度に
「お兄は何回も来てるからでしょ!私は初めて来たんだよ!」
と頬を膨らませて不満を表現するが
「いや、引っ越してきたから明日から何度でも見れるだろ。」
などと軽くあしらわれる。ならばと話題を変えて
「でもなんで引っ越しなの?お兄、仕事は電車で行ってたじゃん」
と前々からの疑問をぶつける。このごろリュウに違和感を覚えていた。急にXマッチをやめたと思えば毎日のようにバイトに行くようになった。プロへの勧誘も全て蹴っており、ヒカリからすればおかしくて仕方なかったのだ。
すると
「なら田舎に帰るか?バンカラ街が嫌ならそうしろ。」
そんなことを言われて
「いや!戻らないよ!お兄のバカ!」
と返してしまう。
「ならいいだろ?」
と結局はぐらかされて新居に向かうことになった。