テラーノベル
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これは僕の、少し前のお話。
mtk side
僕は昔から、
自分が「Sub寄りの気質」を持っていることを
理解していた。
人に強く言われると逆らえない。
主導権を握られると、思考が止まる。
それを必死で隠していた。
知られたら、壊される気がしていたから。
けれど中学時代、僕は一度、それを見抜かれた。
??「おい。お前。」
支配的な人間たちに囲まれ、
言葉と態度で追い詰められた。
きっと、Glareもかなり出していた。
重圧で押し潰されそうだった。
「…?どうしましたか?」
『Kneel(跪け)』
その瞬間、今まで感じたことない何かを感じて
脳内で危険信号が走る。
必死に抵抗した。
でも、立場の弱いSubには何も出来なかった。
ただ、相手の欲望のまま貪られるだけだった。
〜
その後の詳細は覚えていない。
ただ、体が動かなくなり、意識が遠のき、
気づいた時には病院だった。
医師は「極度のストレス反応」だと言った。
かなり危ない状態だったらしい。
後になって知った言葉が、サブドロップだった。
〜
その出来事を境に、僕は学校へ行けなくなった。
行くとしても、音楽室か屋上で歌うくらいだ。
人の声が怖くなり、
支配的な態度に過剰反応するようになった。
若井と出会ったのは、その頃だった。
同じ中学だったが、クラスも違い、
ほとんど接点はなかった。
ある日、音楽室で一人で歌っていたら、
若井に声をかけられた。
無理に踏み込まず、命令もせず、
ただ「上手いな」と言っただけ。
それだけで、救われた気がした。
しかし後になって、
若井がDomだと知った瞬間、
僕の中で過去が一気に蘇った。
それ以来、僕は若井を避けるようになった。
近づけば壊される____
根拠のない恐怖が、理性を上回っていた。
〜
高校、そしてその後。
音楽を続ける中で出会ったのが涼ちゃんだった。
涼ちゃんは最初から、
僕の「揺らぎ」に気づいていたらしい。
踏み込みすぎず、離れすぎず、
僕の隣にいるのが自然だった。
ある夜、僕は初めて過去のことを誰かに話した。
支配されることへの恐怖、
倒れた経験、
病院の白い天井。
涼ちゃんは何も否定せず、ただ言った。
「今は、僕がここにいる」
それ以来、僕は涼ちゃんに
寄り添うように生活するようになった。
コメント
2件
めっちゃ好きです!