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「ここまで時間かかっちゃってごめん。でもホントはオレも不安で仕方なかった」
「不安って・・?」
「こんなに待たせて透子に愛想尽かされても仕方ないなって思ってたから。でも透子がオレ好きじゃなくなって離れていっちゃうかもしれないって考えると気が狂いそうだった」
「そんなことあるはずないじゃん。樹のことどうやったって忘れられないし諦められないし、それどころか好きな気持ち逆に大きくなっちゃうし、ホント大変だった」
「・・・それすげぇ嬉しい」
透子からまさかそんなストレートな気持ちを聞くのは初めてで、オレの胸も素直に高鳴り反応する。
オレばっか好きだと思ってた。
だけど、離れたこの時間で、透子も同じようにオレを想ってくれていた。
そして今までは決して言ってはくれなかった、素直な気持ちを伝えてくれるのが、何より嬉しい。
「樹は・・? まだ好きでいてくれるの?」
何、その不安そうに聞いて来る可愛い表情。
こんな素直に甘えてくる透子とか今まで見たことなくて、また心臓が大きく高鳴る。
「いや、当たり前でしょ。オレ絶対透子に比べモンにならないくらい透子のことヤバいくらい好きだから。そんなの出会ってから今まで一回もブレたことないし」
「よかった・・」
そんな当たり前のこと確認してくる透子が可愛すぎて。
そして不安になって確認してくれるとこも、オレの気持ちを聞いて安心しているとこも、すべてが愛しくて。
「オレだって今の方がもっと透子のこと好きで仕方ない」
「樹・・・」
離れてまた知った新たな透子の魅力。
離れてまた強く自覚した透子への想い。
透子を好きでいる以上、オレはどんどん好きになる一方で。
時間を重ねるごとに、日々を重ねるごとに、オレは透子をその度にまた今以上好きになっていく。
「だから透子ももっとオレを好きになって。壊れるくらいオレを好きになって」
だからもっと透子の気持ちが欲しい。
オレが好きなくらい、透子ももっとオレを好きになってほしい。
オレは透子がいてもいなくても、壊れそうなくらい透子が好きすぎるから。
「もうこんなに樹が好き過ぎて壊れて困ってる。ここまで好きにさせたんだから、ちゃんと責任取ってよね」
そして透子から嬉しい言葉が返って来る。
「もちろん。喜んで」
だからオレはとびきりの笑顔でとびきりの愛を込めて、透子の唇に想いを返す。
そして透子もオレの首に手を回して、この唇で、この腕で、透子すべてでオレを求めてくれる。
抱き締め合うこの腕も、重なるこの唇も、今こうしていられることが、透子をオレのすべてで感じられていることが幸せすぎて、いつまでもこの幸せに浸っていたくなる。
こんなにも理由なく、すべてが愛しくて、すべてが欲しくて。
どれだけ時間を重ねても、どれだけ触れても、この想いは尽きることはない。
もう二度と放したりはしないから。
これからはずっと傍で透子を大切にするから・・。
いつも以上に想いが溢れて、今までの離れていた分も感じたくて、いつまででもその唇を求め続ける。
だけど、さすがにその時間が長すぎたのか、透子が少し苦しそうにし始めたのを感じて、ようやく唇を解放する。
そして照れくさそうにしながらオレを見つめる透子と微笑み合う。
「透子。どうしてここまで待たせちゃったか言い訳してもいい?」
そしてオレはずっと気になっていたことを切り出す。
「もういいよ。樹がまたこうやって戻ってくれてるだけでもう幸せだから」
「でもそれだとオレが納得いかないから。ここまで透子に悲しい想いさせたこと謝らせてほしい。ちゃんと言い訳させて?」
透子と離れた時間にすべて意味があったこと、ちゃんと伝えたい。
それだけ辛い想いをした理由はなぜかということを、透子にはちゃんと知っておいてほしい。
「わかった。じゃあ、話聞かせて?」
「了解」
そして受け入れてくれた透子に返事をして、ソファーに正面向いて座り直す。
「何から話そっか」
「聞きたいこといっぱいありすぎるけど」
「だよな」
透子に伝えたいことがありすぎて、どれから話せばいいのか悩んでしまう。
「ってか、REIジュエリーの新ブランド社長って・・・うちの会社は?」
すると、透子からまず最初に話を切り出してきた。
確かに透子にとっては、それが一番理解出来ていないとこだよな。
「ん?辞めてないよ」
「辞めてないの!?」
「うん。本来のこっちの会社は社長も無事に戻って来たから、ちょっと休んでた状態って感じかな。とりあえずこの新ブランド立ち上げるのに時間かかるし忙しくなるから、しばらくそっちに専念させてもらってただけ。でも新ブランドも落ち着いたから、一度そろそろ戻ろうと思ってる」
「えっ、そんな兼業みたいなこと許されるの?」
「まぁ。そもそもそうさせたの親父だし」
「えっ!?」