テラーノベル
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僕はいつから彼女に…2Bにこんな想いを抱いてしまっていたんだろう。
僕の世界の中心にはいつも彼女がいた。
手を伸ばせば届く距離にあるのに、僕は躊躇っていた。
何故…?
違う…いつも彼女は遠くを見ていた。
僕じゃない…何か見ていたから…。
今の僕に重ねて昔の何かを見ていたから。
手が届かなかった。
手を差し伸ばせなかった。
僕だけを見て欲しいのに、どうしてそんな目をするの。
今の僕だけを見て。
過去なんて忘れてしまえばいいのに。
そう…昔の僕なら思っていただろう。
僕はなんて卑怯なんだろう。
彼女の本当の役目を知って僕は気がついてしまった。
ヨルハE型。
機密情報や脱走兵を処刑するモデル。
僕は優秀な9号モデルと好奇心旺盛な性格のS型、しかも少年タイプの義体だ。
そのためヨルハの真実に辿り着きやすい。
ヨルハの真相に辿り着いては2Eに処刑されてきた。
これをきっと繰り返している。
だから2Bは僕と距離を置いているんだろう。
僕から遠ざかって、僕が貴女への興味を失って少しでも長く稼働できるように。
でも僕は毎度君に惹かれ、そしてヨルハの真相に辿り着いてしまう。
これも運命なんだろう。
このことを知ってしまった僕は近いうちに処刑されるだろう。
そして貴女はまた僕と「初めまして」を繰り返す。
僕に残されたわずかな時間で僕は何をするのだろうか。
9S「……」
2B「どうしたの9S?」
9S「……」
2B「9S…?」
僕は2Bに覗き込まれてようやく気がついた。
9S「えっ…?どうしました2B?」
2B「いや…呼んでも反応がなかったから」
9S「……あーすみません……少し考え事をしていました」
2B「そう……任務に支障がないようにして」
9S「…はい」
僕はそう返事をして彼女の後をついて行った。
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