コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
この世界は太陽神、月神が朝と夜を見守っている。
しかしある時月神が亡くなり地獄の蓋が開いて悪魔がこの世に来てしまう。
そして子孫を残して世界で息をしているのだ。
悪魔は階級ごとに能力や角の形、差が大きいものは姿まで違う。
階級は全7位まである。
どうやらにいなの階級の種は第3位の「テアイカ族」、「暴食」の悪魔のようだ。
悪魔を捕まえ地獄に戻す為にエルフや魔法使いを派遣させたが、結局エルフも魔法使いも現在は子孫だけになり人間界は人外だらけとなった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
セイン「オレはセイン!悪魔と話すの初めてだ…!」
セインは驚いた顔で角をジッと見る。
にいなは照れるように角を触る。
にいな「私男の人と話すの初めてです…。」
セイン「…?!」
あまりにも衝撃で声が出なかった。
しかし、そうとなると彼女の住む環境に問題があると考えた。
足に貼られた絆創膏と巻かれた包帯。
靴を履いていない。
悪魔の少女。
セーラー服を着ている。
セイン「あっ…!!!」
あることを思いつき、憶測を立てる。
セインの心の中(そういえば今日の朝、ニュースで女子高生が自殺したっていう話が聞こえた。オレは生まれた時から同じ街に住んでたけど悪魔と話したことがない。てことは、その街には悪魔はあまりいなかったんじゃないのか…?そうなると、その女子校は虐めが多かったから、きっとにいなは“悪魔”っていう理由で虐められてそれで自殺したんだ。虐めって“目立つ”って理由だけで起こることもあるからな〜。経験者だから分かる!流石オレ!)
にいなはずっと無言で考え込むセインのことを見て少し焦りを見せた。
セインはいつの間にかにいなの頭を撫でていた。
にいな「え、えーと…。」
セイン「ああ、ごめん!ちょっと自分の世界に入ってた…。」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
セインは頭の中を整理して再び都会を歩くことにした。
しかし、まだ疑問が頭に浮かぶ。
“何故にいなは1番上にあるバスの中にいたのか”。
セインは気になってにいなに質問する。
セイン「なんであんな高いところにいたの?」
にいなは下を向きながら短いスカートを握る。
にいな「…ば、化け物がいたんです。とても大きくて、力が強くて…。見つかったら不味いと思ってバスの中に隠れたんです…。そしたら積み重ねられて………降りれなくなっちゃった………って感じです。」
その時唸る声が廃墟中に響く。
にいなはビックリしてセインにくっつく。
よく見るとにいなの足はブルブル震えてもう立てないようだった。
セインは急いで“乾燥した蔦”だらけの廃墟の中へ走って隠れる。
廃墟の瓦礫の下へと身を潜め、様子を窺う。
にいなは耳を塞いで目を閉じて冷たい汗を流した。
セインはにいなが怖くならないように距離をつめて肩を抱き寄せた。
瓦礫の小さな穴から覗くと、それは見たこともない異形な影が周りを見渡していた。
しかし、何故か何度も建物にぶつかっていた。
セインも恐怖で手が震える。
その時、エレノアの言葉を思い出した。
エレノアの言葉「ま〜た弱音吐いちゃって!男のくせにみっともないよ〜。」
セインの心の中(エレノア…)
セインは太陽神のネックレスを持って深呼吸をする。
セイン「オレ達を無事に帰らせて下さい主様…」
そして太陽神のネックレスを服の中へ入れてポケットに隠していたライターとスマホを持って立ち上がった。
にいな「セインさん…?」
震えた様子で上目遣いでセインを見つめる。
セインは今からすることをにいなに伝えた。
それを聞いてにいなは驚いて目が震えていた。
にいな「そ、そんなっ…!」
セイン「大丈夫だって!オレの手を握ってれば怖くない怖くない!」
差し伸べたセインの手を恐る恐るにいなは握る。
セイン「よし!作戦実行!」
セインは大きな声でエレノアの大好きな漫画の台詞を叫んだ。
セイン「ボクはここだ王女様ぁぁぁぁ!!!」
化け物「ヴォォォォォォォ!!!!!」
化け物は振り向いて四つん這いでセイン達を追いかける。
セインはスマホを置いてにいなの手を握りながら廃墟の建物から外に出る。
化け物はセイン達の足音の方へと耳を傾けながら後を追う。
セイン「頼むお願いだオレのスマホちゃん…!!!」
まるでセインの願いに応えるように朝のニュースの音楽が大音量で流れた。
セイン「よし!!!」
化け物はスマホの方へと耳を傾ける。
朝のニュース「続いてのニュース━━━。昨日未明━━━学校に通う女子生徒が倒れているのが━━━━━━━で死亡が確認されました。警察は、━━━━━━自殺を図ったものと見て、詳しく調べています。」
にいなの表情は徐々に崩れてゆく。
セイン「オレのスマホちゃんノイズだらけで何言ってんのかよく分かんないし壊れかけだからもうここで破壊してもいいよな!それに今回のアナウンサーはレリィじゃないし!」
そう言うとセインは手に持っていたライターで蔦を燃やし、廃墟を炎上させた。
ニュースの音で化け物は今いる廃墟が燃えているのに気づかない。
にいなは泣きそうになったのを我慢してセインの手を強く握る。
セインはにいなの手を引っ張りながら先程見たあの扉を探す。
化け物の唸り声はまだ聞こえる、が出てくることは不可能だろう。
周りを見渡しながらエレノアのあの光を探す。
その時、にいなは廃墟の上に指を差す。
にいな「なんであそこだけ光ってるの…?」
セインは上を見上げる。
それは、正にエレノアの光だった。
どうやらエレノアの光はにいなにも見えているようで、セインは安心した。
しかしその光のいる建物は、どの建物よりも1番大きいものだった。
光が消える前にセインは急いで建物の中に入る。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
階段を一段一段転ばないように気をつけながら登る。
やはりあの光に近づくと目がチカチカして意識が朦朧とする。
一瞬転びそうになったのをにいなが支えたのでセインは怪我をせずに済んだ。
その瞬間、セインの耳にニュースの声が一言だけ聞こえた。
朝のニュース「━━━━━━━━学校が炎上…」
━━━バキンッ
どうやらスマホは化け物に壊されたようだ。
セインの心の中(学校が炎上…?)
セインは再びにいなの学校のことで頭がいっぱいになった。
そのせいか、また転びそうになった。
にいな「しっかりしてくださいセインさん…!」
にいなの声でセインはハッとする。
どうやらにいなはとても心配しているようだ。
セイン「ごめんねにいなちゃん…!」
2人は引き続き建物の屋上を目指して階段を上る。
そして、遂に屋上に辿り着くことができた。
しかし、光は見当たらず、閉まりそうなカフェの扉だけがあった。
セインは急いで扉のドアノブを触る。
扉を開き、足を踏み入れる。
そこは紙に描いたかのような、子供がお絵描きをしたかのような真っ黒な夜空の牧場。
ランドレース種の豚が柵で囲まれていた。
しかし、やはりここも様子が可笑しい。
“その豚は、牛の噛み方をしていたのだ”。