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ある日の放課後
紫色の制服を身に纏った一人の生徒が慌ただしく廊下を駆け抜けていた
目指す先は学園中の生徒たちが集まるホール
そして――
バンッ!!
勢いよく扉を開け放ちその生徒は大声で叫んだ
駿太「皆!! 速報ーー!!」
一斉に視線が集まる
駿太「生徒会長がお見合いするらしい!! しかも許嫁ができるんだって!!」
その瞬間、ホール全体がざわめきに包まれた
柊斗「は!? どういうこと!?」
颯斗「ちょっ、詳しく聞かせろ!」
駿太「まあまあ、落ち着いて!」
……と言いつつ、誰よりも興奮しているのは近藤本人だった
ことの発端は、近藤駿太が校長室の前を通りかかったときのこと
生徒会長である佐野勇斗が校長室へ入っていくのを目撃した近藤は何となく気になりこっそりと後を追ったらしい
そして、扉越しに聞こえてきた会話に耳を澄ませていると――
どうやら校長は佐野を自分の孫娘とお見合いさせ最終的には許嫁にしようと考えているらしい
駿太「……ってわけ!」
舜太「ふーんなるほどなぁ。まあ、勇ちゃんからしても悪い話やないんちゃう?」
誰かがそう口にするとあちこちからさまざまな意見が飛び交い始めた
雅哉「え、でも生徒会長って好きな人いるんじゃないの?」
柊斗「あれだけ仁人くんにベタベタしてんのに?」
楓弥「許嫁ってことは結婚前提ってこと!?」
ホールはあっという間に大騒ぎになった
そんな喧騒を少し離れたホールの隅で静かに眺めている人物がいた
吉田仁人である
すると、隣にいた同級生であり親友でもある古川毅が吉田の肩に腕を回した
毅「……いいのか、仁人?」
仁人「……何が?」
毅「生徒会長取られちゃうかもしれないぞ?」
仁人「は? なんで? 俺には関係なくね?」
毅「…………」
古川は絶句した
……本当にこいつはどこまで鈍感なんだ
学園中の誰もが知っている佐野の恋心
それを本人だけがまるで理解していないのだからもはや笑うしかない
毅(……ちょっとかわいそうだな)
そんなことを考えながら古川はそっと吉田から目を逸らした
すると、ちょうどそのとき
勇斗「……ん? 皆、何してんの?」
話を終えたらしい佐野勇斗がホールへとやってきた
その姿を見つけた瞬間ユーキがすかさず近寄り勇斗の脇を肘でつついた
ユーキ「おい勇斗、 お見合いするって話ほんとなの?」
勇斗「え? ……うん」
ユーキ「……は?」
勇斗「いやだから、お見合いすることになったっぽい」
その言葉が落ちた瞬間
ホールが爆発した
「「「えええええええ!?」」」
シューヤ「マジで!?」
潤「ちょっと待って、仁人さんは!?」
遼介「これ、学園一の大事件じゃん!!」
驚きと興奮が一気に広がり生徒たちの能力が次々と発動し始めた
悠「うわっ、止まんない!!」
壁を走り始めた柏木悠はそのまま勢いを増し壁から降りられなくなっている
悠「誰か止めてぇぇぇ!!」
その近くでは――
拓弥「おい!? なんで俺こんなデカくなってんだよ!!」
誰かの能力の影響を受けた草川拓弥がみるみる巨大化していた
931
1,151
ゆき
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拓弥「ちょっ、天井近いんだけど!?」
一方
太智「……え、待って。俺、今どうなってる?」
気づけば塩﨑太智の姿が一枚の肖像画へと変わっていた
さらに、山中柔太朗の能力の影響を受けた生徒たちが次々と宙に浮かび始める
誰もが驚き誰もが騒ぎ誰もが能力を使う
収拾がつかない
まさに、カオス
勇斗「え、ちょ、皆!? 落ち着いて!!」
生徒会長の声など誰にも届かない
仁人「…………」
その光景を眺めていた吉田のこめかみがぴくりと動いた
仁人「……いい加減にしろっっ!!」
その瞬間だった
――ピタッ
まるで、世界そのものが息を止めたかのように
ホールに響いていた喧騒が一瞬にして消え去った
壁を走っていた柏木は動きを止め巨大化していた草川は元の姿に戻り肖像画になっていた塩﨑も元の姿へと戻った
宙に浮いていた生徒たちも次々と地面へ降りていく
発動していた能力が一斉に解除されたのだ
それだけではない
ホールを満たす空気がずしりと重くなり、目眩を感じ始める生徒もいる
生徒たちはその場から動くこともできずただ呆然と立ち尽くしていた
そして、その中心にいるのは――吉田仁人
吉田は小さく息を吐いた
仁人「……はぁ」
いつもと変わらない声
いつもと変わらない表情
けれど、その顔色は明らかに悪かった
仁人「驚くなとは言わない。けど、能力は使うな」
静まり返ったホールに吉田の声だけが響く
仁人「自分の能力くらい、ちゃんと制御しろ」
そのとき
吉田の鼻から一筋の血が流れ落ちた
勇斗「……仁人?」
佐野が異変に気づいたときには吉田の身体がわずかによろめいていた
それでも吉田はぐっと足に力を込め倒れそうになる身体を踏みとどまらせた
仁人「……この話はおしまい、解散」
それだけ言い残すと吉田は何事もなかったかのようにホールを出ていった
誰も、すぐには動けなかった
いつも勇斗に追いかけ回され怒鳴り呆れ時にはふざけ合っている吉田仁人
そんな彼が学園中の能力者を一瞬で黙らせた
その事実を誰もが目の当たりにしたのだから
そして何より
佐野は吉田の背中をただ見つめていた
勇斗「…………仁人」
初めて知った吉田の知らない一面
その圧倒的な力と能力を使った直後に見せた苦しそうな姿が佐野の脳裏に焼きついて離れなかった
― 吉田仁人の能力 ―
詳細不明
相手の能力を無効化しさらに対象の身体の自由を奪うほどの力を持つ。 ただし、能力の出力を最大限まで引き上げると身体に大きな負担がかかる
コメント
3件
コメント失礼します!このお話ちょー大好きです!特に今回登場人物が多くて読んでてワクワクしました!

続き気になります(((o(*゚▽゚*)o))) 🩷さんの好意に💛さんは気づいてないの?
わあ……! 第7話、一気に仁人くんの深いとこ見えちゃった感じがしてぞくぞくしました…! 普段は勇斗くんに振り回されてるだけの子かと思ってたら、学園中の能力者を一瞬で黙らせるなんて…鼻血出してふらついてるところも含めて、すごく気になる。仁人くんの能力の代償、これからどう描かれるんだろう。このギャップ、めちゃくちゃ好きです…!