※∑🕶だよ
※CPっぽくないよ
※彼、彼女表現あるよ
※超駄文注意
🌸春の眠りを愛しの貴方に
最近、シグキンの寝付きが悪い。いつもは九時半ぐらいに一緒に布団に入るが、しばらく寝返りをうったり、ため息をついていたりしているので就寝するのは決まって一時頃。次の朝シグキンの顔と顔を合わせれば、目の下に治らない濃い隈を拵えて「バチキン、おはよう」と朝食を準備しながらふわりと笑いかけてくれるのだ。
しかし最近それが悪化し、五時頃に少し眠りにつくも六時頃には目を覚ましてしまうほどにまでなってしまった。目の下の隈は日に日に濃くなっていき、何処かぼーっと考え事をしている事が多くなった。
バチキンがその事に気付いたのはつい最近。その日は蒸し暑い日で、異様に喉が渇いて、四時頃に目が覚めた。ぼんやりする頭でキッチンの方へと向かい、電気を付け、コップ一杯の水を汲む。光を反射する水を勢いよく喉へ流し込めば、喉が潤って行くのが分かった。ほぅ、とひと息ついて寝室に戻ろうした時にソファーの上に誰か居ることに気が付いた。アイマスクをしていて目元は分からなかった為、バチキンは興味本位でアイマスクを押し上げて見た。その沼は、シグキンだった。まぁ当たり前だろう、この家にいる沼はシグキンとバチキンしか居ないのだから。
閉じられたシグキンの目元は何時にもまして隈が酷く、最近は眠れていないのであろうことが良く分かった。バチキンがシグキンの目元を柔く撫でてみると、シグキンが薄く眠そうに目を開いた。
「あ、起こしちゃったバチ?」
「なんだバチキンか・・・どうした?」
シグキンが眠そうに目を擦り、体を起こす。バチキンはソファーの縁に頬を着いたまま、シグキンを見上げるようにして話を続けた。
「眠れないバチ?」
「あ?あぁ・・・最近悪夢が酷くてな・・・」
首元を擦りながら欠伸をするシグキン。その顔は何処か思い詰めているようで、そのせいで酷い悪夢を見てしまっているのだろう。
「そうバチか・・・じゃあ私と一緒に寝るバチよ!」
「え?」
バチキンはシグキンの手を引いて、寝室の方へと誘導する。シグキンは頭の上にはてなマークを浮かべてなんとかバチキンについて行く。寝不足のおかげであまり頭は動いていないようだった。
「ほら!寝るバチよ!シグキン!横になるだけでもいいバチから!」
シグキンをベッドに押し込み、その隣にバチキンも寝転がる。シグキンは驚いたような顔でバチキンを見つめている。バチキンはまるで子供でも寝かしつけるように優しい手付きでポンポンとシグキンの胸の当たりを布団の上から叩いている。
「バ、バチキン。俺眠くないんだが・・・」
「そう言っていつも寝ないじゃないバチか!」
バチキンは頬を膨らませながらシグキンにそう言う。シグキンは図星だった様で、気まずそうに視線を逸らして布団を口元まで持っていった。
「大丈夫バチよシグキン。シグキンを苦しめる悪夢は私が全部追い払ってやるバチよ。」
「バチ、キン・・・」
バチキンがシグキンの目元に手を持っていくと、シグキンはすぐに眠りに落ちてしまった。すぅすぅと静かに寝息をたてるシグキンの額にバチキンは額を合わせて眠りに着いた。
「おやすみバチ、シグキン。 」
「ん、んん・・・今何時だ・・・?」
頬に差し込む暖かい日差しでシグキンは目を覚ます。隣ではまだバチキンが寝息をたてて眠りこけていた。
「うわっ!?10時!?」
壁掛け時計に目をやれば、時計の針は10を指していてあれから大分眠っていたようだった。
「ん・・・シグキン・・・?」
「あ、バチキン。起こしちまったか?」
「ふわぁ・・・大丈夫バチよぉ・・・」
シグキンの大声で目を覚ましたのか、隣からのそりと体を起こし、大きな欠伸を一つするバチキン。目元を擦りながらバチキンはシグキンに聞いた。
「どうバチ?シグキン?よく眠れたバチか?」
「あ、確かによく眠れた気がすんな・・・」
バチキンはベッドからのそりと起き上がってきて腕をグイッと上にあげてストレッチをしている。シグキンもベッドから起き上がり、背伸びをした。
「これから夜、眠れなくなったら私に言うんバチよ!」
「へーへー」
「ちょっと!ホントに分かってるバチか!?」
シグキンはぐるぐると肩を回しながら寝室を出ていく。バチキンは何処か不満気にシグキンの後ろ姿を眺めていた。
「ほら、飯にしようぜ。今日は気合い入れて飯作ってやるよ」
「え!?本当バチか!?やったー!!」
朝食に釣られて、コロッと態度を変えてシグキンの後を追うバチキン。シグキンはバチキンには見えないようにふふっと頬を緩ませて「こういう日もあってもいいかもな」なんて考えていた。
それからシグキンは寝付きが少し良くなったらしい。
__𝐹𝑖𝑛.
コメント
2件
バチキンちゃん良い子……。可愛い……。 優しい世界すぎる^ ^ 好き。