テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「りょうかー早く」
「へ?ぁ、はいはいっ」
一斉にみんなが僕を見た気がして視線が痛く感じるくらい。
もちろん付き合っているのだからなんの問題もないけど、あくまで普段はりょうちゃん、としか呼ばない彼にドキドキする。
「涼架、それ取って」
「りょうかぁ、もういっかいやり直し!」
昨日までは普通だった。
別に喧嘩とかもしていないし、いつも通りだったはず。
今だっていつも通りだ。
「涼架、今日も家来てよ、明日一緒の仕事でしょ?」
「ん、ぁっ、もちろん、いくー」
「なに、変な声出して」
いつも通り笑う。
いつも通り過ぎる元貴。
けど僕の名前を頑なに今日は涼架、と呼んで崩さなくてそのたびに嬉しいのにみんなの前でなんだか恥ずかしい。
「涼架、ちょっとだけ待っててて、一緒に帰ろうね」
「ふぁっ、はぁーい···」
やっと帰れる。
1日中これでなかなか慣れれなくてほっと息をついた時に、隣でいた若井がブハッ、と吹き出してそこからずっとヒィヒィ笑っている。
「え、なに?なんかあった?怖いよ」
「いやっ、今日ずっと我慢してたから!元貴おかしいでしょ、どう考えても···嫉妬がすごい」
嫉妬?
なんのこと???
わけがわからない僕の横で若井は涙目でお腹を抱えて笑っている。
「わかるように言って!」
「だから、りょうちゃんドラマの共演者に最近呼び捨てにされてたことない?前は涼架くん、だったのに涼架って。それ知っちゃったみたいよ」
「あぁ···えっ、それで?そんなことで?!」
「そんなことで、なのが元貴っぽいというか···わかりやすすぎて···はぁーぁ、笑った、じゃ、先帰るねーお疲れ様!」
いやいや···えぇ?
確かにドラマの共演者同士みんな仲良くてそんなこともあるけど···元貴だって2人きりのときは名前で呼んだりするし、特にベッドの中では···ってそんなこと考えて思わず顔が熱くなった。
「お待たせ、りょうか···って、顔赤いよ?」
「気のせいだからっ、大丈夫!」
付き合ってしばらく、そして出会ってからなんて本当に長い時間を過ごしているのにまだまだ元貴にはドキドキさせられて···そんな人は彼しかいないしのに嫉妬なんて···嬉しい、でしかない。
出来るならいつも余裕そうな元貴からその心境を言葉にして聞きたいなんて、高望み過ぎるだろうか。
家に帰っていつも通りお風呂を済ませてベッドに潜り込む。
静かな部屋に元貴の声だけが響いてとても心地良い。
静かに少し低めにゆったりとした喋り方も夜にぴったりのトーンでウトウトしてしまうほどで、その手は僕を抱きしめて背中を撫でるから余計にだ。
「りょうちゃん、眠い?」
「···ぁ、うん、ちょっとだけ···ふふ」
笑った僕になんだよ、と元貴が顔を寄せた。
「やっといつも通りになったから。今日ずっとくすぐったくて。名前皆の前で涼架、なんていうから···嬉しいけど、照れちゃった。もしかしてそれって···やきもち···とか?」
「はぁ···わかってるんだったら止めてよ、共演者とやたら仲良くすんの。サウナ行ったりして話とかさ、俺マウント取られてるのかとおもったよ」
むぎゅっと頬を両手で包まれる。
その目は意外にも真剣で強くてこれ、ほんとに嫉妬してるんじゃ?と嬉しくなる。
「廉くんのこと?あれは2人きりじゃないし、別に男同士だし···」
「あのねぇ、こっちは可愛い可愛い恋人が裸の付き合いしてるってだけでおかしくなりそうなんだけど?この身体が他の人にも見られてるなんて」
「いや、別に僕の裸なんて廉くんからしたら1ミリも興味ないと思うし触られたりも目線を感じたこともないよ!」
「興味なんてあったら相手が誰だろうと許さないけど?それに廉くんなんて···聞きたくもない」
「ん···ぁ···」
「可愛い声だけ聞かせて」
元貴の柔らかい唇が僕の唇を塞いで息が苦しくなるほどキスをされる。
その間にも服の中に差し込まれた手が僕の肌を優しく撫でた。
「ぁ···もとき···本当に本当に何にもないからね···その、浮気とか」
「りょうちゃんが浮気するなんて思ってないよ、けどそれとこれとは別。ここも、ここも俺のだから···」
「ぁっ···元貴···んっ、ぁぁ···っ」
胸も、お腹も、柔らかく撫でられて優しく舐められて僕はすぐに元貴のことしか考えられなくなって、思わず自分で下着をずらしてしまう。
「こっちも触って···ここも全部元貴のだから···」
「うん···全部俺の。俺の涼架」
元貴が呼ぶと自分が特別になったようなそんな気がする。
だから元貴に呼ばれるのが一番好きだ。
涼架、涼架って何度も呼ばれながら元貴が少し余裕がないような表情で僕を愛してくれるのが大好きだ。
「おはよう若井、おはよう、りょうちゃん」
「あれ、呼び方戻ってる」
若井がくくっ、と笑いながらそう言って僕と元貴を交代に見た。
どうやら昨日ので満足したらしい元貴はいつも通りに戻っていて、少しほっとする。
「嬉しいけどちょっとドキドキしたからね、良かったかな」
「ふーん、ヤキモチは一旦落ち着いたんだ···いてっ」
小さく僕にそう言って元貴に軽く叩かれてる若井を見て笑ってしまう。
「そうみたい···ねぇ、元貴くん」
「「えっ?」」
元貴と若井が綺麗にハモって僕を見る。
「あれ、くん付けで呼ばれたかったんじゃないの?」
廉くん、って呼ぶのが気になってたようだからてっきり元貴もそう呼ばれたいのかと思ったんだけど···。
「いやいや、あれはそういう意味じゃ···」
「元貴くん!いいね、今日は元貴くんって呼んじゃお 」
「若井もそう思う?いいよね、新鮮だし。元貴くん?」
「もう好きにして···」
そういいながら少し照れてる元貴を見て若井と僕はまた笑ってしまう。
ヤキモチやきの元貴も照れてる元貴もやっぱり大好きで仕方ない。
コメント
15件
何で呼び方変わるだけで、こんなにドキドキするんだろうね?たまらんわ😆

涼架呼びがまず尊い 嫉妬する大森さんが第二に尊い 君付けするりょうちゃんが第三に尊い 総じて尊くて幸せでした。ありがとうございます