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ベンダー・アドベンチャー
第二話:ハンバーガー宇宙人!?
謎のゲートを抜けたあと、二人は未来都市の外れにある、どこか古びた街に降り立っていた。
空にはネオン看板が浮かび、道路の上を車が飛び交っている。
「ふぅ……なんとか逃げ切れたね」
リナは安心したように息をつく。
一方ベンダーは、腹のあたりを叩きながら不満そうに言った。
「逃げ切れたのはいいがよ……
俺は腹が減った。冒険には燃料が必要なんだ」
「燃料って、お酒でしょ?」
「当たり前だ。あとハンバーガーもな」
その言葉を聞いたリナの目がキラッと光った。
「じゃあさ、ハンバーガー食べに行かない?」
「おっ、話が早いじゃねえか。
よし、行こう。おごりならなお良しだ」
「……未来のお金だけどね」
二人は街の奥にある、やけにレトロなハンバーガーショップへと向かった。
看板にはこう書かれている。
『ギャラクシー・バーガー』
しかし、店の前に立った瞬間、リナは違和感を覚えた。
「……ねえベンダー。なんか、この店……変じゃない?」
「変?どこがだ。
ハンバーガーは見た目が怪しいほど美味いもんだ」
店内に入ると、客は一人もいない。
なのに厨房からは**ジュウゥゥ……**と肉を焼く音だけが響いている。
「いらっしゃいませぇ……」
奥から現れたのは、笑顔がやけに張り付いた店長だった。
白い帽子にエプロン、いかにも“普通”だが――
リナはゴクリと喉を鳴らした。
「(この人……未来のデータに載ってない……)」
「注文は?」
「ダブルチーズバーガーに、ポテト山盛り。
あと酒。できれば樽で」
「当店ではアルコールは――」
「じゃあ持ち込みで」
ベンダーが勝手に酒瓶を取り出した瞬間、
店長の目が不気味に光った。
「……やはり、あなたがベンダーですね」
「お?俺ってそんなに有名か?」
次の瞬間――
店長の体がグニャリと歪み、
顔が割れるように開いた。
中から現れたのは――
ハンバーガーそのものの姿をした宇宙人だった。
バンズが頭、レタスが触手、パティが胴体。
「なっ……!」
「うわぁ!?ハンバーガーが歩いてる!」
「正体を現したな、バーガー野郎!」
ハンバーガー宇宙人は低い声で言った。
「我はバーガリオン星人。
とある組織の命令により――
ベンダーとリナをここで消す」
「やっぱり追ってきたんだ……」
リナは歯を食いしばる。
「ちっ、世界を滅ぼす組織ってのは、
ハンバーガーまで使うのかよ!」
「抵抗は無意味だ。
この店そのものが、戦闘用要塞なのだから」
突然、壁が動き、
フライドポテト型ミサイルが発射された!
「うわぁぁ!!」
「くそっ!」
ベンダーはミサイルを素手でつかみ、そのまま噛み砕いた。
「……塩が足りねえな」
「そこ!味の感想いらない!」
リナは持っていた小型装置を取り出し、床に投げた。
「未来式スタンフィールド!」
電撃が走り、バーガリオン星人の動きが一瞬止まる。
「今よ!ベンダー!」
「任せとけ!」
ベンダーは厨房に飛び込み、
巨大な業務用グリルのスイッチを最大にした。
「熱々が好きなんだろ!?
なら、焼き直してやるぜ!」
「ぐあぁぁぁ!
パティが焦げるぅぅ!!」
最後はリナが非常用ゲートを開き、
ベンダーがハンバーガー宇宙人をその中へ蹴り飛ばした。
「さよなら!
二度と人を食べ物で騙さないで!」
ドォン!
店は爆発し、跡形もなく消え去った。
静かになった通りで、二人は立ち尽くす。
「……結局、ハンバーガー食えなかったじゃねえか」
「命が助かっただけでも良しとしようよ……」
その時、地面に一つだけ残っていた。
――普通のハンバーガー。
「……食べる?」
「当たり前だ」
ベンダーは一口かじり、満足そうに笑った。
「悪くねえ。
どうやらこの旅、退屈しなさそうだな」
リナも少し笑って言った。
「これからもっと危険になるよ。
でも……一緒なら、きっと大丈夫」
こうして二人は、
謎の組織に追われながらも、
奇妙な絆を深めていくのだった。