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『拝啓、私の神様へ』
変わったファンレターだと、その字を見て皆思った。
放課後のワンダーステージ。着ぐるみさんが休憩時間に持ってきてくれたのは、ファンの方たちからのファンレター等だった。箱いっぱいに詰まった手紙達は、どれもカラフルで見ているだけで楽しくなる。その中で、一際目立っていたのが白い封筒。このファンレターだった。
「神様……?誰への手紙なのかなぁ」
「とりあえず司はなし」
「何故だ!?!?」
「ふふ、もしかしたら司くんもあるんじゃないかい?」
誰に当てたモノなのか分からない為、全員で一緒に読むことにした。綺麗な字が、ファンレターをより神秘的なものへさせている。
『拝啓、私の神様へ
今回も素晴らしいショーを有難うございます。
舞台上でスポットライトに照らされる貴方様は、私の目には少々眩しすぎました。それでも、貴方様の細かい動作一つ一つを、しっかりと目に焼きつけることができたのは、これ以上ないくらい幸せなことでした。
また舞台上にて、貴方様に会えるのを楽しみに待っています。』
そんな文章の隣に、小さく花の絵が描かれていた。
「類くん類くん、このお話なぁに?」
「睡蓮じゃないかい?多分、睡蓮の花言葉をとってきたんだろうね」
「花言葉?」
「睡蓮を代表する花言葉は「純粋」「清純」「信仰」という言葉なんだ。これら睡蓮の花言葉は、泥沼から生えるけれどその泥に染まらずに、清らかな花を咲かせることが由来となって、「純粋」とか「清純」という花言葉でイメージされているんだよ。」
「「純粋」と「清純」はわかったけど、「信仰」はどっからきたの…」
「睡蓮の「信仰」という花言葉の由来は、西洋ではキリスト教の教えの中で仁義と愛のシンボルとされていて、古代エジプトでは生命力や復活のシンボルとしてミイラの上にのせたり、建造物の装飾に刻んだりしていたことが由来となっているといわれているんだ。仏教でも睡蓮は穢れない菩薩の純粋な心を象徴する花とされているよ。信仰するものの清らかさを睡蓮に重ね合わせ「信仰」という花言葉で印象づけられているんだ。」
「凄い!類くんはなんでも知ってるね〜!」
「ふふ、昔読んだ図鑑に書かれていてね」
「だとしても凄いな…なるほど、だから睡蓮の絵か」
「…この人も、よく睡蓮の花言葉なんて知ってたね」
綺麗な形を保って花を開かせた睡蓮の絵。美しい姿には『信仰』という言葉が、よく似合っていた。