テラーノベル
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ガン、ガン、ガン、ガンッ!!
窓ガラスに無数の顔が張り付き、鋭い音を立てて引っ掻き始める。玄関のドアの向こうでは、偽物の雄大が叫んでいる。
夢「ひっ……!」
その時、夢のスマホが激しく震えた。ディスプレイには**「雄大」**の文字が光っている。
雄大(本物)「夢! 聞こえるか!? 外に出るな! その部屋からは絶対に出るな!」
夢「ゆ、雄大!? どこにいるの? ドアの外に、あなたの声を真似た何かがいて……!」
雄大(本物)「俺は今、エントランスの下にいる! 上を見上げてる! アイツらは……あれは『間の住人』だ!」
夢「まのじゅうにん……?」
雄大(本物)「詳しい話は後だ! 俺のマンションの隣人から聞いた話で、信じられないかもしれないけど……アイツらは境界線に現れる! 隙間を通って移動するんだ!」
ベランダのガラスのヒビが、さらに大きく広がっていく。
夢「じゃ、じゃあ、あの玄関の向こうにいるのは……」
雄大(本物)「ああ、多分そうだ。俺が帰る途中に、俺の声と姿をコピーしたんだ。夢、聞いてくれ、アイツらは**『境界線を跨ぐ』**ことができない!」
夢「境界線……?」
雄大(本物)「部屋の中と外、マンションの敷地と外、公道と私有地……。はっきりとした『線』を越えられないんだ! 夢の部屋の中は、まだ安全な領域だ!」
夢「で、でも、窓が割れそう……」
雄大(本物)「割れても、室内に入り込むには、一度体の半分以上を中に入れる必要がある。そこが境界線になる! 隙間から手を伸ばすことはできても、侵入は簡単じゃない!」
(ガンッ!!)
玄関のドアが大きく凹む。
雄大(偽物)「夢〜、開けてくれよ〜。怖いよぉ……」
声が泣き真似に変わった。夢は、雄大がそんな声を絶対に出さないことを知っている。
夢「雄大(本物)! 私、どうすればいいの!?」
雄大(本物)「今、警察に連絡した! すぐに来てくれるはずだ! それまで、とにかく部屋の真ん中にいろ! 境界線から離れろ!」
夢は言われた通りに、部屋の真ん中のソファの後ろに隠れた。
窓の外からはガリガリと引っ掻く音。玄関からはドンドンと叩く音。
部屋の中は安全なはずなのに、四方八方から狙われている感覚に、夢はパニックになりそうだった。
夢「ねえ、雄大(本物)……あなたの隣人って、なんでそんなこと知ってるの……?」
電話の向こうで、雄大が息を飲む音がした。
雄大(本物)「……その話も後でいいだろ。とにかく、もうもう少しで警察が来る!」
夢はスマホを握りしめ、ガタガタと震えながら、助けが来るのを待つしかなかった。
つづく
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