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#azure
ゆゆゆゆ
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#bl注意
ゆゆゆゆ
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ゆゆゆゆ
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FORSAKENを支配する神、スペクター。
生存者の絶望も。
殺人者の狂気も。
そのすべてを糧として生きる、冷酷無慈悲な存在。
誰かを救うことなど決してない。
ただ奪い、喰らい、絶望を味わうだけ。
そんな彼にも。
どうしても我慢できない衝動があった。
「Mowl~~~~!!」
神殿中に響き渡る大声。
「Mowlはどこだい~~~~!?」
勢いよく私室の扉が開かれる。
赤いシルクハットを被ったスペクターが、妙に輝く目で部屋へ飛び込んできた。
ソファではMowlが優雅に紅茶を飲んでいた。
ティーカップを静かに置き。
猫耳がぴくりと震える。
「……。」
嫌な予感しかしない。
立ち上がると、マントの乱れを整え、黄色いリボンを軽く撫でる。
モノクルを指先で位置を直し、深々と一礼した。
「お呼びでしょうか、スペクター様。」
「本日はどのようなご用件で。」
「またアズール殿の帽子をキャットタワーへ改造なさるのでしょうか。」
「違うよ。」
スペクターはにこりと笑う。
笑顔は完璧。
だが目はまったく笑っていない。
「今日はね。」
「生命エネルギーが足りない。」
「……生命エネルギー。」
「うん。」
スペクターは真剣だった。
「今日の参加者たちさ。」
「協力して仲良く脱出しちゃったんだ。」
「苦しみが足りない。」
「絶望が薄い。」
「栄養不足だよ。」
ゆっくり。
一歩。
また一歩。
Mowlへ近付いてくる。
「あ。」
Mowlも気付いた。
「充電させて。」
「物理的に。」
「……。」
「え。」
逃げようとした瞬間だった。
ひょい。
「わっ。」
信じられない速度で抱き上げられる。
そのまま。
ふかふかのキングサイズベッドへ。
ぼふん。
押し倒された。
「スペクター様、お待ち……っ」
服を捲り上げられ。
お腹の白い毛が露わになる。
「はぁぁぁぁぁぁっ!!」
ずぼっ。
ものすごい勢いで。
スペクターの顔がお腹へ埋まる。
吸う。
というより。
掃除機だった。
「すぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」
「最高!!」
「この香り!!」
「お日様の匂い!」
「高級ササミ!」
「ちょっとだけマタタビ!」
「全部混ざってる!!」
「生き返る!!」
「ふにゃぁぁぁぁぁ……!」
Mowlの体が沈む。
ベッドへ。
さらに沈む。
まだ沈む。
「お、お慈悲を……!」
「胴体が……!」
「マットレスと……!」
「融合しております……!」
ぎしっ。
ぎししっ。
ベッドが悲鳴を上げる。
しかし。
スペクターは止まらない。
「ん~~~~。」
「幸せ。」
「Mowlのお腹最高。」
「もふもふ。」
「柔らかい。」
「癒やされる。」
ぐりぐり。
すりすり。
顔を押し付け続ける。
「首骨が……。」
「みしみしと……。」
「非常によろしくない音を……。」
「奏でております……。」
「ですが……。」
Mowlは必死に耐える。
猫の本能が叫ぶ。
引っかけ。
逃げろ。
噛め。
しかし。
理性が押し返す。
(私は紳士。)
(私は忠臣。)
(スペクター様の愛を受け止めるのも仕事。)
(引っかいてはいけない。)
震える前脚を持ち上げる。
そして。
優しく。
スペクターの頭を撫でた。
「……ご満足。」
「いただけておりますでしょうか。」
スペクターは嬉しそうに笑う。
「うん!」
「大満足!」
「Mowl大好き!」
さらに。
すりっ。
すりすり。
ぐりぐり。
「ふぎゃっ。」
猫頭が。
完全に。
ベッドの隙間へ埋まった。
数十分後。
充電を終えたスペクターは、すっかり上機嫌だった。
「元気になった!」
「今日はゲームの難易度を三倍にしよう!」
鼻歌交じりで部屋を出ていく。
ぱたん。
扉が閉まる。
静寂。
部屋の中央には。
人型の大きな穴がベッドに残っていた。
数秒後。
ずぼっ。
穴の底からMowlが這い出てくる。
「……ふぅ。」
胸の黄色いリボンはしわしわ。
マントはぐちゃぐちゃ。
モノクルは九十度ほど曲がっていた。
そこへ。
おそるおそる扉が開く。
「Mowl殿……?」
ノスフェラトゥだった。
「先ほどから部屋の中で骨が砕けるような音が……。」
「ご無事ですか……?」
Mowlは何事もなかったようにマントを羽織り直す。
モノクルを真っすぐ整える。
背筋を伸ばし。
優雅に一礼した。
「ええ。」
「問題ございません。」
「スペクター様より。」
「深い愛情を賜っただけにございます。」
ノスフェラトゥは目を丸くした。
「いや。」
「厚みが半分くらいになってません?」
Mowlは静かに咳払いをする。
「……コホン。」
「少々。」
「整体へ行ってまいります。」
そう言って歩き出す。
ぴしっ。
……ぽき。
一歩。
……こきっ。
二歩。
……ぼきぼき。
背骨が盛大に悲鳴を上げている。
それでもMowlは最後まで姿勢を崩さない。
紳士として。
優雅に。
気高く。
まるで何事もなかったかのように神殿の廊下を歩いていくのだった。