辰哉Side
💜「……え、ここどこ?」
水晶玉のかけら危ないな〜と思って手にした瞬間、激しい目眩に襲われてその場に倒れ込んだところまでは覚えてる。
目が覚めると、俺は全方向がグレーのよく分からない場所にいた。天国でも地獄でもなさそうな、本当によく分からない空間。
💜「俺、死んだの?」
「突然の呼び出し、申し訳ありません」
聞き慣れた声がして振り向くと、そこには死んだはずのフリーズの姿が。
💜「……あ、俺死んだんだ」
「違います違います!あなたは死んでいませんよ」
俺の判断にフリーズが慌てて否定する。……なんか、雰囲気変わったなコイツ。
「どうしても、あなた様に伝えておきたいことがございまして」
💜「……なに?」
一定の間を置いて聞き返すと、フリーズはおそるおそる言った。
「あなたが持っている、2つ目の能力についてなのですが……私たち”coup d’etat”(クーデター)のボスと関係があるかもしれません」
💜「……え?」
俺の能力が、敵のボスと……?
「”coup d’etat”のボス、スーリルもあなたと同じ力を持っているんです。人と同じ能力を持つには本人の承諾、または継承が必要なはずなので、あなたが先に持っていたにせよ、ボスが先に持っていたにせよ、あなたはスーリルと強い関連が……」
💜「待って待って、何言ってるか分かんないんだけど」
遮って言うと、フリーズも不満げな顔を浮かべる。
「私かってよく分かりませんよ。敵であるあなたがその力を持っているだなんて」
💜「いや、嘘でしょ?それ。俺をビビらそうとして……」
でも俺をビビらすだけなら、こんな凝った嘘をつく必要はない。本気で、言ってるのか?
言葉を詰まらせた俺の様子を見て、フリーズはステッキについてる水晶玉で建物の幻影を作り出した。……学校?
「……気になるようであれば、○○小学校という今は廃校になった学校へ行ってみてください。そこに、私たち”coup d’etat”の資料が保管してありますので」
フリーズはそれだけ言うと、幻影を消してグレーの空間の奥に向かってさっさと歩いていく。
💜「ちょ!そ、それだけ?」
「……はい。伝えておかなければと思って」
あまり振り返らずにそう言うと、そのままフリーズは去っていった。途端、俺もまた激しい眩暈に襲われて意識を手放した。
🩷「……ざわ!ふかざわ!」
💜「ハッ!」
佐久間の声で目が覚めると見慣れた天井が見えて、俺たちの事務所に帰ってきたんだってことが分かった。
🩷「あ、起きた!おーいみんな!深澤が起きたぞー!!」
佐久間は俺が起きたのを確認するや否や、部屋の外に飛び出してみんなを呼びに行った。横を見ると、ラウールが能力で俺の診察をしてくれていた。
🤍「うん、体調にも問題はなさそう。よかった、ふっかさんが起きて」
💜「ありがとうラウール……」
🤍「ううん、俺は何にも。ここまで運んでくれたのは岩本くんだよ」
💜「照が……」
ここまで話したところで、ちょうど扉からみんなが入ってきた。
💜「ごめんみんな。急に倒れちゃって」
💚「何があったの?能力の使いすぎとかじゃないんでしょ?」
あべちゃんが軽く俺のことを分析して確認する。
💜「うん、実はさ……」
俺は、さっき倒れている間に起こったことを説明しようとして思いとどまる。
俺が敵のボスと同じ能力を持っているなんて、みんなに言ってしまってもいいのかな。まだ本当かわからない以上、心配をかけるわけには……
一瞬悩んだ末俺は、
💜「……フリーズに呼ばれたの。あなたたちと戦えて良かったって」
……みんなに、嘘をついた。
🧡「なんやそれ。わざわざ呼び出して言うことか?」
❤️「フリーズって礼儀正しかったところあるし、そういうことするタイプなのかも」
💙「いやあいつのフォローはいらないから……」
なんとか誤魔化せたみたい。バレないように、そっと息をつく。
💛「じゃあふっかも起きたことだし、聞きたいことを整理させてくれない?」
俺たちは部屋を出て、事務所で一番広い会議室に移動した。
💛「目黒とふっか。なんで勝手に行っちゃうの」
部屋に入った途端、ムスッとした表情を浮かべた照は俺と目黒を交互に見て言う。
💜「や、これね、俺が考えた作戦なのよ」
俺はあの時目黒に伝えたことと同じ内容を話した。
💜「みんなで行くより、数人の方がバレないんじゃないかなって。思ってたよりヤツが強くて、俺が倒れちゃったのは想定外だったけど……」
🩷「何バカなことしてんだよ、ちょっと間違えたら死んでたんだぞ?!」
俺の説明に佐久間が声を荒げる。
💜「うん、それはそう。俺の勝手な作戦にめめを巻き込んじゃったのは申し訳ないと思ってる」
🖤「ふっかさんだけの責任じゃないよ。断らなかった俺にも責任がある」
俺を庇うように出てきてくれためめ。すると舘さんも、
❤️「……それを言うなら、俺にも責任はあるよ。というか、俺のせいだと思うんだよ」
と、名乗りを上げてくれる。俺の口から言おうと思ってたのに、先に言われちゃったなあ……。
🩷「え?涼太に?」
❤️「うん。翔太にはもう少し早い段階で話そうと思ってたんだけど、俺、二人の作戦知ってたんだよ」
💙「あー、あの時言おうとしてたのって」
❤️「そう、このこと」
……さすがゆり組。共有しようとしていたとは。
💛「え、舘さんも知ってたの?このこと」
照が驚いて目を丸くしている。まあ、無理もないよね。
❤️「ふっかが連絡くれたんだ。混乱するみんなを支えてやってくれって」
💛「それ、いつ?もしかして、俺が気づいて慌ててた時にはもう……」
❤️「……うん、知ってた。ごめんね照」
💛「ねえふっか……!」
泣きそうな顔で俺を見てくる照。ここまでになるとは思ってなかったので、俺は慌てて言う。
💜「ごめんって照!もうこんなことしないよ」
俺の言葉に頭をかきながら、照は渋々言う。
💛「わかれば良いんだけどさ……」
💚「いや、照。こいつは分かってないと思うよ?」
🤍「うん、俺も思うな」
照の肩に手を添え、ひょこっと顔を出しながらあべちゃんは俺を茶化す。ラウールもニヤニヤしながらあべちゃんに便乗する。
💜「おーいあべちゃん!!ラウール!!そんなことないから!!」
🖤「あはっ!ふっかさん必死だ」
💙「やーい!照泣かせてやんのー!」
🧡「照兄泣かすヤツは俺が許さんで〜!」
💜「のわっ!ちょ、こーじやめろ!!」
必死に言ったけど、本気にはしてくれてなさそうだ。その証拠に、めめと翔太は笑ってくるし康二は俺を追いかけ回してくる。
俺はもう、みんなを巻き込むようなことはしない。情報共有も、相談も、必ずする。そう決めた。
でも今は……この力のことについては、もう少し、俺だけで調べさせて。
🩷「スーッ……俺たちSnow Manの無事と四天王の一人撃破を祝してっ!かんぱぁーい!!!」
☃️『かんぱーーい!!!』
その夜、俺たちの事務所では勝利を祝した宴会が行われた。
みんなで何も気にせず笑って騒げるこの時間が心の底から楽しくて、永遠に続いてほしいな、なんて思った。
このメンバーを守るためなら、この時間を続けるためなら、どんなことだってやってやる。
俺は、みんなのために戦い続ける。きっと、みんなも……
〈終わり〉
〜あとがき〜
ひいらぎです!
とんでもなく長いお話でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました‼️✨
途中、全く更新しない日ができてしまいましたが、こうして最後まで完走できたのは読んでくださる皆さんのおかげです😭
もしかしたら、いずれ続編が出るかも?なので、その時はまた読んでいただけると嬉しいです🙏
近々新作も出そうと思っているので、そちらもぜひよろしくお願いいたします🙇♀️
以上ひいらぎでした🙌
コメント
3件
長編お疲れ様でした🍵 これで終わっちゃうのは、すごい寂しいですけど、🥲 読んでてものすごく楽しかったです!! ふっかさんの能力の秘密がなんなのか知りたすぎてむず痒くてしょうがないですが!w 「もしかしたら?」を信じて続編待ってます!!🥹