コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
津永と付き合って10日。放課後一緒に帰る約束をした。友達、いや、彼氏と帰るなんて初めてだ。
友達と帰ることすら何年ぶりだろうと思うのに、彼氏と、だなんて。何を話そう。どう接しよう。頭の中が津永でいっぱいになった。
「おい東!授業中だぞ!!」
「す、すいません。」
いつも真剣に取り組んでいるはずの授業も今日は全く頭に入ってこない。あいつのせいだ、でも、それでも好きだと思ってしまう。どうしたものか。みんなが笑っている中、津永は優しく微笑んでくれた。まただ、吸い込まれる。放課後が待ちきれなくなってしまった。
放課後になり、津永は僕に向かってウインクしてきた。すごく可愛い。いつも1人で帰っている道を今日は彼氏と。津永は沢山話しかけてくれた。こっちを見つめながら。僕は極力目を合わせなかった。目を合わせてしまうと、緊張でなにも話せなくなるから。
「今日、俺の家、寄ってく? 」
「え?悪いよそんな」
「別に気使わなくてもいいじゃん、付き合ってるんだし」
「お前が良くても親御さんに迷惑だろ」
「俺、一人暮らしなんだよ、親は昔死んでな。 」
「なんか悪い。」
「だから、寄っていってよ。」
「津永がいいなら。」
一気に汗をかいてきた。緊張からだろうか。
必死に手汗を服で拭った。それを見ていたんだろうか。
「手、繋ご。」
「あ、うん。」
津永の手は僕よりも大きくて暖かかった。僕は今なんて幸せなんだろう。
「ここ、俺の家。」
「デカ。」
津永の家はとても広く、ここで1人で住んでいるというのがとても信じられなかった。
それでも机の上はぐちゃぐちゃでインスタントのゴミが散らかっていた。
「俺の部屋、こっち。」
「ベッドでかくね。」
「まぁな。」
「ねぇ、東、キスしていい。」