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#転生
コシ
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耀聖(ようせい)
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『偽りの無能、真の覚醒〜転生皇女はすべてを奪い返す〜』
ローゼマリー様……死んで、ください……」
感情の消えた虚ろな真紅の瞳で、リンが神速のステップを踏み、私の心臓を目がけて闇の暗殺ナイフを突き出してくる。
横からアルベルトお兄様が「ローゼマリー!」と叫んで防御結界を展開しようとしたが、私はそれを左手で制した。
「お兄様、結界は不要ですわ」
「な……っ!? 何を言っているんだい、ローゼマリー!」
私は背中のまばゆい白銀の薔薇の翼をそっと閉じ、無防備なドレスのまま、真っ直ぐに迫り来るリンの刃の前に身を晒した。
傷つけずに倒す方法がないのなら、すべてを受け止めるまで。
ザクッ――!!
鈍い音が玉座の間に響き渡る。
リンの突き出した鋭い刃は、私の右肩の少し下、鎖骨のあたりへと深く突き刺さった。
薔薇の刺繍が施されたドレスが、私の鮮血によってジワリと赤黒く染まっていく。
「が、はっ……」
「ローゼマリーィィィッ!!!」
お兄様が絶叫し、狂気的な魔力で魔王を今すぐ消し飛ばそうと動く。しかし、私は流れる血を無視して、目の前でナイフを握ったままピタリと動きを止めているリンの、その華奢な両手を優しく包み込んだ。
「リン……、届いて、ちょうだい……。私を暗闇の底から救い出し、いつもおっとりとした笑顔で支えてくれたのは、他の誰でもない、あなたよ……」
「あ……、あ、う……?」
私の血がリンの白い手を汚していくのを見て、彼女の虚ろな真紅の瞳が、僅かに細かく小刻みに震え始めた。
「私を殺せという魔王の命令なんかよりも、あなたと過ごす、あのお茶会の時間の方が、私にとっては遥かに尊い価値があるの。……戻ってきなさい、リン。私は、あなたの入れてくれた紅茶が、もう一度飲みたいわ……っ」
私の紫の瞳から、一筋の涙がポロポロとこぼれ落ち、リンの手元へと落ちていく。
その涙が触れた瞬間、私の全身を包んでいた神々しい『白銀の魔力』が、濁流のような光となって、リンを縛る魔王の黒い鎖へと一気に流れ込んだ。
リンを傷つけずに、呪いだけを完全に相殺して消滅させる。
そのためには、神薬によって得た世界の外側の力を、すべて都合よく使い果たす必要があったのだ。
バキバキバキィィィンッ!!!!
「ガはっ!? あ、あああぁぁぁぁっっっ!!!」
リンの身体を縛っていた洗脳の呪詛が、私の白銀の光によって、悲鳴をあげながら跡形もなく完全に消滅した。
それと同時に、私の背後に羽ばたいていた神聖な白銀の翼が、光の粒子となってハラハラと完全に霧散していく。
限界突破していた神の領域の魔力は、今の私の肉体から完全に消失した。
けれど、後悔なんて一片もない。
「……はっ! ろ、ローゼマリー様……っ!? 私、私は一体何を……っ!」
理性の光を取り戻したリンが、私の負傷した肩を見て、驚愕と絶望に顔を真っ青に染めてガタガタと震え出した。
「ふふ、お帰りなさい、リン。……泣かないで、かすり傷ですわ」
私は右肩からナイフを抜き、指先からいつもの、覚醒したばかりの元の紫色の魔力をほんの少し灯して、傷口を一瞬で凍らせて止血した。
チートな神の力はなくなった。けれど、私自身の魂の根源にある最強の魔力と、お兄様、そして洗脳を打ち破ったリンの絆は、何一つ失われていない。
◇
「バ、バカな……! 私の最高密度の洗脳呪詛を、自身の神魔の力を全て使い捨ててまで相殺したというのか!?」
玉座の奥で、魔王ディルクが信じられないものを見るかのように、血の瞳を見開いて絶叫した。
「ククク……ハハハ! 愚かな娘め! 自ら最大の武器であるあの白銀の力を失うとはな! これで世界の理の外側の力を持つのは、この私だけだ! お前たちに、もう勝ち目など万に一つもないわ!」
魔王が再び6枚の翼(うち2枚はリンに焼かれたが、闇の力で不完全に再生している)を広げ、圧倒的なプレッシャーを放ち始める。
しかし、私たちは誰一人として絶望していなかった。
「ローゼマリー、本当によく無事で……。よく頑張ったね」
アルベルトお兄様が私の隣に並び、愛おしそうに私の髪を撫でた後、その瞳に悪鬼羅刹のような冷徹な輝きを宿して魔王を睨みつけた。
「我が妹を、これほど傷つけた罪……。魔王よ、100年前のように封印などという生ぬるい真似はしない。君の存在そのものを、僕のすべての魔力をもって、この世界から完全に消去してあげよう」
「ローゼマリー様、このリン、一生をかけてこの大罪を償います。まずは……あの薄汚いネズミの首を、私自身の新しい魔法で、文字通り一瞬で微塵切りにして差し上げますわ」
リンが立ち上がり、その両手に神聖な光と薔薇の魔力をこれまでにないほど激しく燃え上がらせた。
洗脳を自力で打ち破ったことで、彼女の光魔法の出力は、以前の数倍へと跳ね上がっている。
「ええ、行きましょう、お兄様、リン」
私は前に進み出た。
白銀のチート能力はなくなり、ここからは正真正銘、私たちの本来の力だけでの真っ向勝負だ。
けれど、一度は私を裏切った前世の世界をひっくり返し、ここまで上り詰めてきた私たちの絆と技術は、そんな安っぽい闇の力ごときに負けるはずがない。
「奇策も、チートも、もう終わりよ。魔王ディルク、私たちの本当の『最強の力』を、その醜悪な身体に刻み込みなさい!」
私が不敵な、最高に美しい強者の笑みを浮かべた瞬間、
3人は同時に地面を蹴り、
魔王の待つ玉座へと向かって真っ直ぐに突撃するのだった。
コメント
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りるらさん、第28話読了です。 リンを洗脳から救うために、ご自身の神域の力を全て犠牲にされたローゼマリー様……その決断、本当に美しかったです。「かすり傷ですわ」と泣くリンを優しく包む姿に、涙が滲みました。 そしてチートを失ってもなお、お兄様やリンとの絆と本来の力で真っ向勝負を挑むラストが熱い! 次話、3人の本気が炸裂する決戦、心待ちにしています🔥