店を出てとぼとぼと歩きながら、どうして……と思う。
どうして彼は、私をまた誘ったの?
どうして初顔合わせで、終わりじゃなかったの?
あれで終わりなら、お互いにもう傷つくようなことだってなくて……。
彼に癒やしを与えてあげてって菜子さんにも言われていたのに、私はまたあんな対応しかできずに……。
どうして、どうして……と、頭の中には負の感情ばかりが次から次へと浮かんでくる。
どうして──私だって、本当はもっとあの人と、親しくなれたらと感じているのに──。
だけど、ちっともうまくいかなくて、会う度に気持ちが離れていくみたいで……。
彼の誘いかけの言葉が、ふと蘇る──『私とカフェに行くのは、嫌だろうか……』
「嫌なんかじゃ……」あの時、答えたことを、もう一度口に出してぼんやりと呟く。
嫌なわけじゃないのに……ただ今回の一件で、今度こそ彼との接点を見失った気がして……。
そう思い至ると、今までこらえていた涙が、頬をつたい落ちた──。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!