小説「スクールINゲーム」
第2章第1幕開幕…!
これまでのあらすじ
とある家に引きこもっていた少年。そこにあるグループのGINEに友人「赤名美琴(あかなみこと)」、「坂田陽菜(さかたひな)」から学校にある“ゲーム”を取り入れるらしいという“話題”を耳にした。
そこで引きこもっていた少年、通称引きこもり少年はその“ゲーム”とやらをする為に二年ぶりに学校に通う。
だがしかしその“ゲーム”は生徒会長「花坂充(はなさかみつる)」の考えたデスゲームであった。
“ファーストステージ”はかくれんぼであり、参加者は40500人、範囲は渋谷全てというとても広い場所でかくれんぼをした。
だが“嫌な追加ルール”のせいで“ファーストステージ”は20000人の脱落者が出てしまった。
引きこもり少年は生徒会長に恨みを持ち“セカンドステージ”に挑むのであった…
第2章第1幕「ゲームを楽しめ」
第6話前編【ケイドロってした事ある?】
「大丈夫?引きこもり少年?」
陽菜が心配そうに前から屈んで引きこもり少年の顔を伺っている。
「大丈夫だって、それとその呼び方やめてくれよ。」
引きこもり少年はそう言うとグッと立ち上がりあるところを見て棒立ちした。
「あれ、“どっち”に行く?陽菜。」
そこには残りの20500人がしっかりとわけられる門があり、その門には「泥棒」と「警察」と書かれていた。
「警察に少し行っている人が多いね…“守る側と捕まえる側”で楽そうだからかな…このままだったら泥棒側になるかもしれないよ!」
陽菜がそう言うのも分かる。そう、次なる“セカンドステージ”はケイドロである!
ケイドロ。みんなも小学校の頃か中学校の頃一回はやった事あるのでは?ルールは至ってシンプル!警察側は泥棒側を捕まえて特定の場所の牢屋に集め全ての泥棒を捕まえたら勝利。泥棒側は捕まえられた泥棒をタッチして逃がしたり、警察から逃げたりして終了の時に1人さえ泥棒が捕まってなかったら勝利。このシンプルなルールと楽しさで子供たちには人気の“ゲーム”である。正に「シンプル・イズ・ベスト!」である。
「俺は泥棒側に行こうかな。」
引きこもり少年は決意した顔でそう言うとそれに対し陽菜は驚きの顔をして言う。
「嘘でしょ…逃げるの結構疲れるよ?なんなら守ったりして勝った方が良いでしょ!」
陽菜が言っていることも確かに良い。だが引きこもり少年はある話を美琴から聞いていた。
「さっきの“ファーストステージ”は俺たち“プレイヤー”ではなくてまるで“鬼側”を脱落させるようなルールだった。だからこのケイドロでも何か“警察側”に仕掛けてくるかもしれない…警戒しろよ。」
美琴から聞いたこの話。確かに有り得る。だがあの生徒会長だ。次は“泥棒側”に何かを仕掛けてくるかもしれない。どちらに仕掛けてくるか分からない以上どうする事もできない。なら逃げてればいいだけの“泥棒側”に行った方がまだマシだ。
「俺は何がなんでも“泥棒側”に行くぞ。だから陽菜、美琴、お前達も来い。」
そう言って引きこもり少年は「泥棒」と書かれた門へ歩いていった。
「……なぁどうする?陽菜。アイツは“泥棒側”に行ったけど。」
美琴は最後の選択を陽菜に任せる事にした。
「私は……」
陽菜は少し沈黙して深く考えて美琴の質問に答えた。
「私は“警察側”に行く。」
それを聞くと美琴は受け入れたように何も反論を言わず
「分かった。“警察側”に行こう。」
そう言って美琴と陽菜は「警察」と書かれた門へ歩いていった。
引きこもり少年は「泥棒」の門をくぐった先で陽菜と美琴を待っていた。
「アイツら遅いなぁ…まさか“あっち”に行ったのか?」
待っている間にプレイヤー全員が「泥棒」と「警察」で別れた。
するとアナウンスが鳴り出し久しぶりの声が耳に入った。
「どうもどうも皆さんお元気ですか?生徒会長です!」
その声を聞くとプレイヤー全員が生徒会長に対し暴言を吐き出す。
「おっと…そんなに言わなくてもいいじゃないですか…そして次なる“セカンドステージ”は皆もやったことある“ケイドロ”です!ルールは至ってシンプル!泥棒逃げる!警察捕まえる!守る!以上!頑張ってね!」
そう言ってアナウンスは途切れた。
「おい。あの生徒会長ルール適当すぎだろ。」
「まぁ仕方ねぇな。」
「勝ってやるよ!」
「もうヤダ…早く家に帰りたい……」
色んな声が聞こえる中“セカンドステージ”は始まった。
泥棒10250人。
警察10250人。
平等な人数で始まった“ケイドロ”は後々色んなトラブルを引き起こす。
次回
第6話後編【ケイドロの警察】
お楽しみに