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大学生パロ(大2×大3)
朝の空気のにわかな騒々しさが、阿部の意識を眠りから引き上げた。
瞼を開くと、何やら屈み込んでごそごそしている恋人の背中が見えた。んん、と眠気が残る声を漏らしながら目を擦れば、それに気づいた目黒がこちらを振り返る。
「おはよう。ごめん、起こしちゃった?」
「んー……いや、起きた……」
「そっか。おれは一限があるからもう出るね。朝メシ冷蔵庫に入れてるから」
「うん」
少し慌ただしげに言う彼に、掛け布団から手を出してちょい、と手招きをする。意を汲んだ目黒は腰を上げ、ベッドの枕元までやってくると、そのまま自分を仰ぎ見る阿部の顔に自分の顔を近づけてきた。彼はもう家を出発しなくてはならないから、触れるだけのキス。
唇が重なった瞬間、昨夜の余韻がとろとろと尾を引いている体の奥がかあっと熱くなって、そのまま目黒の服を引っ掴んで舌を突っ込みたい衝動が湧いてきた。けれど彼はすぐに顔を離してしまった。名残惜しく思うのが素直に出てしまったか、こちらの表情を見た目黒が目を細める。
「……そんな顔しないでよ。行きたくなくなる」
「だったらサボっちゃえば」
「必修だから落とすと留年だよ。阿部ちゃん責任取ってくれる?」
「ふふ、冗談だって」
甘ったれた言葉に小さく笑んだ目黒は、「また昼休みにね」と言いながら阿部の頭を撫で、そのまま部屋を出て行ってしまった。
ひとり残された阿部はベッドに寝転んだまま、部屋の壁に掛けられた時計を見る。あと十五分で大学の一限目が始まる時間だ。自分は二限目からだから、たっぷり九十分は猶予がある。普段の阿部ならこんな時間までだらしなく眠りこけることは無い。それもこれも、今しがた出ていった一つ下の恋人のせいだ。
はあ、と息を吐いてから、寝返りついでに枕に顔を埋める。枕カバーにも、シーツにも、いま身に着けている目黒の服にも、しっかりと染みついている家主のにおい。阿部が所属しているサークルの新歓イベントにやってきた新入生の目黒とたまたま隣り合い、会話が盛り上がって連絡先を交換したのがきっかけで、二人は親しくなった。学部は違えど懐いてくれた目黒は、顔が良く、声も良く、背が高くて、性格も良い。非の打ち所と言ったら勉強が苦手だというくらい。あまりにもいい男すぎて、阿部たちの大学のみならず近隣の他校にまでその名前は知れ渡っている。そんな彼が緊張を露わにして「阿部くんのことが好きです」と告げてくれたのを、昨日のことのように思い出せる。
「ん……」
鼻腔を満たす目黒のにおいに、体の奥の熱がぶり返してくるのを感じた。昨夜の濃密な時間を思い起こす。久しぶりに二人揃ってアルバイトも他の用事も無かった日で、阿部は実験終わりの足で目黒の家を訪れ、彼が作った夕食を二人で食べるとひたすらセックスに耽った。特に示し合わせたわけではなかったが、そんな気分になったらしい目黒が腰に手を回していやらしく撫でてきて、その手つきに誘われるままにキスしたらその場で押し倒された。リビングのソファ、寝室のベッド、バスルームにトイレまで、家じゅうのあちこちで交わった。途中で空腹を覚えたのでキッチンでカップラーメンに湯を注いでいたら、それが彼の何を刺激したのかその場で行為に及ばされてしまい、出来上がったのはすっかりスープを吸い切ったぶよんぶよんの不味い麺だった。それに文句を言えば目黒がお詫びに彼特製のチャーハンを拵えてくれたので、阿部はころっと機嫌を直したし、そこからまた数ラウンド立て続けにセックスした。発情期の獣もかくやの夜だった。
思い出せばたちまち秘部が疼いて、阿部はそこへ指を伸ばす。ほぼ一晩中ずっと目黒のものを銜えっぱなしだった後孔はその名残でかまだ柔らかく、指一本など簡単に入ってしまった。
「ふぅ……んっ……」
顔を枕に押し付けながら、指を奥へ突き入れ、もう片方の手を服の中に潜り込ませて乳首に触れる。その感覚に、昨夜目黒に施された愛撫の感触が重なる。昨日の彼はずいぶんとねちっこかった。前戯だけで何回イかされたかわからない。さんざん乳首を捏ねられ吸われてそれだけで達したし、シックスナインの体勢で目黒の肉棒を口淫している間に尻の穴を舐め回され、舌と指で解すついでに前立腺まで刺激されて何度か飛んだ。そのくせ目黒のほうは遅漏にも程があると言いたくなるほどで、阿部の口の中でパンパンに漲ったものは先走りを零しこそすれどびくともせず、そのまま剛直に跨った阿部は容赦の無い突き上げであっという間に絶頂まで追い詰められ、ソファや床に潮を撒き散らした。
「はぁ、あっ……あ……ぅん……っ……」
息を吸うたびに目黒のにおいが強く香って、口の中に唾が湧く。いつもはセックスの前に必ずシャワーを浴びるのに、昨日は珍しくそれをすっ飛ばして行為に至ってしまった。一日着けていた下着越しに硬くなった目黒の性器を撫でて嗅ぎ、そのまま布の上から口で食んでやると、ますます大きさも硬度も増して、滲み出る我慢汁が下着の色を変えた。それを脱がせてやれば勢い良く飛び出した屹立が阿部の顔に当たり、いっそう濃く雄臭が匂って、たまらず舌を伸ばした。
普段よりも強い彼のにおいがいっそう興奮を催し、阿部は半ば夢中で目黒のものをしゃぶった。それに煽られた目黒も阿部の体を隅から隅まで味わい尽くした。唾液で肌がべとつく感覚すら性感を呼び起こし、体のあちこちを吸われて甘く噛まれる、その痛みまでもが愛おしかった。
「あ……あっ……」
後孔を犯す指が二本、三本と増えて、窄まりを押し広げる。
目黒はどんなに高ぶり逸っていても、決して阿部を粗雑に扱わない。秘部に触れる時は殊更注意深く、阿部を傷つけまいとしているのが伝わってくる。一本ずつ慎重に指を挿れ、それが十分に収まり動くことを確かめてから解しにかかる。目黒の手指の動きはどんな時も丁寧で繊細だ。だから、ごくまれに彼の手つきに性急さが滲む時、無性に昂揚する。優しく細やかに動く目黒の手に、もっと乱暴に扱われたくなる。それだけ自分を欲してたまらないことの表れのように思えるから。
「あ、あっ、はぁ、あ……っ……!」
指先が奥のしこりを擦り上げ、阿部の腰がびくんと跳ねた。その刺激がもっと欲しくて、さらに指を押し当てる。ぐ、と突くたびに快感が溢れて全身を襲う。
体の中、しかも排泄器官を他人に弄らせるのは、最初それなりに抵抗があった。男同士のセックスに関する知識を得てなお、挿入しなくてもお互いに肉茎を扱けば気持ちいいのだからそれで足りるのではとさえ思っていた。その考えを覆されたのは、初めて目黒と裸になって触れ合い、彼の手が触れたところから自分の体が溶け落ちていくような悦楽を覚えてからだ。抱き締められ、撫でられるだけでこんなに蕩けてしまうほど気持ちいいのなら、彼のものを受け入れて得る快楽はとてつもないのではないか。そして何より、「阿部くんが望まないなら挿れなくてもいい」と口では言いながらしっかり勃起している目黒が可愛らしくて(本人が聞いたら拗ねるかもしれないが阿部は心からそう感じた。思えばあの頃、目黒はまだ阿部のことをくん付けで呼んでいた)、それならば一肌脱ごうと決心した。
果たしてその決心は実を結び、今や阿部の尻の穴は凶器じみた目黒の怒張をすっかり呑み込んでしまえるし、阿部自身も己の性器を触らずとも後ろだけで絶頂に至る体になった。その快感の凄まじさといったら、このような自慰でさえ半ば無意識に後孔に手が伸びるほどだ。そんな悦楽を得られるようになったのも目黒が根気強く阿部の体を拓き、阿部が気持ちいいと感じられることを最優先してくれたからで、そういう面倒な男の体をしている自分を抱きたいと望んでくれる彼に、愛されてるなあ、と思うのだ。
そこがいい、気持ちいい、と言えば、目黒はその箇所を寸分違わず狙い撃ってくれる。その刺激に声を上げて善がる自分を、情欲でぎらつく彼の双眸がじっと見つめてくるのが、たまらなく好きだ。焼け焦げそうなほどに熱い視線で射抜かれると、どうしようもなく高揚する。目黒の頭も体も心も、他のものが入り込む余地なんて無いくらい、自分でいっぱいになっているのが伝わってくる。こちらだってそうなのだと、彼にも伝わっているだろうか。
「は、あっ、蓮、れんっ、いく、っあ、いくっ、いっ、あぁあ―――……っ……!」
愛しい男の名前を紡ぐと同時に、限界まで膨らんだ快楽が体の奥で弾け、阿部は絶頂へと上り詰めた。怒濤となって押し寄せる快感の波に揉まれながら、背中を仰け反らせ、ピンと伸びた足の爪先でシーツを引っ掻く。びくっ、びくん、と断続的に全身が跳ねて、指を銜え込んだ窄まりがきゅうう、と甘やかな収縮を幾度も繰り返した。
しばらく余韻が続いて、ようやく波が引いていき、阿部は秘部から指を引き抜いた。気が付けば下着の内側がべっとりと濡れて、緩く持ち上がった屹立に貼り付いている。どうせこの後シャワーを浴びて着替えるのだし、まあいいか、と息を吐いた。
「……蓮が、欲しいなぁ……」
言葉にするとますます彼が恋しくなる。すん、と鼻を鳴らして息を吸えば、枕から漂う目黒のにおいが優しく擽ってきて、阿部は枕に顔を埋めたまま目を閉じた。
Fin.
io
105
#AI
コメント
1件
おお……第1話からすごい密度ですね。冒頭の朝のキスシーン、あの「昨夜の余韻がとろとろと尾を引いている」という表現、もうその一文で二人の濃密な夜が一気に立ち上がってくる感じがして、すごく好きです。阿部くんが一人残されて、枕の匂いに誘われるように♡♡♡に耽る流れも、彼の目黒さんへの執着というか、愛しさが生々しくてドキドキしました。目黒さんの「必修だから落とすと留年」って冷静な台詞とのギャップも良かったです。続き、ぜひ読みたいです。