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葛葉side
キスをされてからというもの
叶の距離が一段と近くなった
[近い、ひっつくな!はなれろ、]
『 いいじゃ〜んべつに』
暇さえあればべたべたとひっついてくる
『 なに?照れてるの?くーちゃん』
[は!?てれてねーし!]
『 かわいぃね〜』
すげぇ腹立つ
こんな距離感になってからまた数年が経過していた
叶は18歳になった
まだまだガキの癖に生意気なんだよこいつ
『 ねぇ〜葛葉そろそろ僕のこと好きになった?』
[は?好きじゃねぇし!ていうか俺はお前みたいなガキのことなんか好きになんないの!]
『 え〜僕もうそんなにガキって年齢じゃないよ』
いやいやまだまだガキだろ
18年なんて吸血鬼からすればほんの一瞬だ
[まだよわっちーからガキだよ]
『 葛葉よりは強いよ』
吸血鬼よりも強い人間がいるかよ、
[あーはいはい]
軽くあしらったその瞬間
ガバッ
突然叶に押し倒され、腕を押さえられた
[え、は]
『 こんなことだってできちゃうよ』
[なんっ、は、なせ]
叶は俺の両腕を片手で押さえると
『 ほら葛葉解こうとしてみ?』
と煽ってきた
グググッ
っ、こいつ力強っ
グリグリと腕を振っても上にあげようとしても
びくともしない
『 ね?葛葉ガキじゃないでしょ』
[っ、たかが力が強いだけ、だろ、]
『 残りの手でこんなこともできるよ』
スルスル
[ひゃっ、!]
叶が俺の服の中に手を入れ、お腹に指をそわせる
[ど、どこさわってっ、ゃ、やめっ、んぁ⁉︎]
思わず変な声が出てしまい顔が熱くなる
すると叶が俺の耳に顔を近づけた
『 もっと先までしてあげよっか?』
耳元で低い声が聞こえ全身が震える
こいつは俺が思っていたよりもずっと
ガキじゃないのかもしれない
叶は俺のズボンに手を伸ばす
[ゃ、やめっ、ゃめろぉ]
必死に抵抗してもびくともしない
叶の体が、大きく感じる
少し、怖い
『 な〜んてね!』
[…は]
『 冗談だよ、これでわかったでしょ?僕が子供じゃないって、』
[…、]
『 葛葉?』
[今すぐでてけ!!!!!]
『 わーごめんて』
叶を強引に館の外へと追い出す
びっくりした。叶が別人に見えて
力…あんなに強いのか
前まではあんなに小さかったのに
気がついたらあんなに大きくなっていた
それに、人間のくせに吸血鬼に力で勝つなんて
人間は思ってるより弱くないのかもしれない
そう心の中で思った
押し倒された日から
なぜだか少し叶と接するのが難しくなった
どうしてだろう
話していても前より、少し距離をとってしまう
『 ねー葛葉ーこれって、』
スッ
[!、ぁーそれはなぁ…]
不意に叶距離を詰めてきた瞬間
思わず体を離してしまった
『 …』
流石にあからさまな俺の行動がバレてしまったのか
叶はとても不機嫌そうな顔をした
どうしてこんなふうになってしまうんだ…?
自分でもなぜ避けてしまうのか、
それになぜ近づかれるとあんなに…こころが、
原因はなんだ?
あの日、叶が思っているよりも脆くも、弱くもないことを知って
それで…?
わからない
押し倒されたことに俺は腹がたったのか?
だから近づくと胸がざわざわするのか?
うん、きっとそうだ
そうに違いない
なーんだ!そんな簡単なことか!
よかったよかった
自分の心の中で半ば暗示をかけるように繰り返した
心のもやもやには目を向けずに。