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「洸くん、弦くんの『お母さん』は今日で卒業です」
十年前。洸くんの高校の入学式の日、俺は元宮さん、空、洸くん、弦くんと囲んでいる夕飯の席で、そう言い放った。
いつものように「また冗談やろ?」と少し疑いながらニヤついていた空。
「何事なん?」と、ご飯を食べるのをピタッと止めて真顔で俺を見つめる元宮さん。
マイペースにご飯を食べ進めながら、チラチラとこちらを伺う弦くん。
そして、驚きすぎて目を見開いたまま、完全にフリーズしている洸くん。
四者四様のリアクションに、あの時は思わずふふっと笑い声が出てしまった。
自分なりに、ずっと考えて出した結論やった。
俺が大好きだった元宮さんは、空を選んだ。
……俺はこの家族に、本当に必要な存在なのだろうか、と。あの二人がいれば、一般の家庭と同じように、父親の役割も母親の役割もすべて担えている。そこに、なんの関係もない俺が居座り続けるのは、どこか違う気がしていた。
でも。
「俺は、新先生がおってくれたらええんよ」
ただただ、俺の事が大好きな洸くんがいた。
休日のソファで、俺にもたれて甘えながらそう言った彼の顔を見たとき、俺は気づいた。
俺のせいで、この子は休日に友達と外へ出かけようともしない。好きな子の話も、恋人ができたという話も聞こえてこない。
お兄ちゃんの弦くんはあんなに伸び伸びと青春を謳歌しているというのに。
俺の存在が、この子の未来を狭めている。俺はこの家にいてはいけない存在なんやろな。
この愛おしい家族から綺麗に離れるために、俺はその場ででっち上げた様々な夢を意気揚々と語り、大都会へと逃げた。
ruruha
ライラ からぴち・シクフォニ♡