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stxxx . nmmn . 天使もの注意
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僕は、中途半端に
この子達の魂から手を引いたら
この子達の行くところは
なんて言い訳を並べて判断を先送りしてきた
わかっている
僕じゃ幸せに出来ないことくらい
僕が手を引かない限り、
この子達は報われないだろう
でも、でもさ、こんなの初めてだったんだ。
桃「 …青、手を引かなくていい 」
「 俺を地獄に落としていいから、青は 」
[ 青は ]のあとに続く言葉なんて、
今回で三回目。さすがに覚えてるよ
桃「 青は、生きて 」
知ってたんだ。
僕は知った上で、君を落とし続けて
殺し続けたのに懲りてないんだよ
『 …桃、という人間 』
桃「 …なんですか 」
『 お前には悪くない提案をしよう 』
桃「 なんでしょう 」
『 これ以上、輪廻転生は出来ないが 』
『 一度限り、条件付きで生まれ変われる 』
桃「 条件付き、ですか 」
『 条件は簡単だ 』
桃「 貴方が言うことは毎回難しいんですがね 」
『 …天使の加護を持って生まれ変われる 』
桃「 …それでも俺達は断ります 」
「 俺は、青以上の天使を知りません 」
『 所詮、青は出来損ないだ 』
桃「 知りませんよ。そんなこと 」
「 俺は青といたいんです 」
僕だって、桃くんと一緒にいたい
でもね僕じゃ君を救えないし
幸せにすることなんて出来ないんだよ
それこそ黄赤なら出来ただろうね
《 神の子 》なんて天使と悪魔に謳われた僕は
魔王様の言う通り、出来損ないなんだ
そんなこと、君の魂が一番感じとっているし
君自身が分かっているはずでしょ
桃「 青は、案外 卑屈な考え方をします 」
「 今だって頭の中はパンク状態でしょう 」
『 そうみたいだな 』
桃「 俺が飛び降りた時、確信したんです 」
「 ” こいつは俺の全てだったんだ ” って 」
『 過去形、か 』
桃「 飛び降りた時点で俺の記憶は戻ってた 」
じゃあ、なんで最初にあんなこと
あの時に僕を殺す選択肢だってあったのに
なんで僕を。
桃「 俺は、青がいるだけでいいんです 」
「 青が出来損ないなら、俺はゴミですし 」
『 お前の魂は実に高貴なるものだ 』
『 その魂に口を出す者なら私が容赦しない 』
桃「 じゃあ俺が口を出す 」
「 俺は、何百年経っても青以外の天使は全員大嫌いだ 」
『 …お前、… 』
桃「 だから、青 」
「 心配しなくていいからさ、俺と… 」
青「 いい加減にしてよッッ゙!!! 」
僕は、つい叫んでしまった
何百年も胸の中に、魂の中に
しまい込まれていたであろう
三人の本音を今、この場で聞いて呆れた
僕以外の天使が大嫌い、だって
嬉しい感情なんて一切ないし
僕以上に素晴らしい天使は何十人だっている
そんなヤツらをまともに見てない君が
僕が一番いい天使なんて、ふざけてる
桃「 …他の天使は、紫達が見た 」
「 その上で青がいいんだよ 」
青「 僕は、所詮ッ゙…!! 」
僕には、秘密があった
誰にも言ったことないような
僕と神だけが知ってるような秘密が
桃「 紫達は真っ暗な部屋にいる時に、青の記憶を勝手に見た 」
青「 は、ッ゙…? 」
『 …それは聞いたことが無いな 』
桃「 お前になんかに青が言うと思うかよ笑 」
「 …お前は、誰かを…不幸にする為だけに存在してるんだろ 」
青「 っ、… 」
あぁ知られてしまった
僕はもう ” 天使 ” としてここにいられない
僕は、もう。
桃「 …魔王、提案がある 」
『 聞こう 』
桃「 俺の来世も青に… 黄や赤達に…出会えるようにしてくれ 」
『 …それが、お前らの望みか 』
桃「 次の人生で死んだ時には、俺の魂なんてお前らにくれてやる 」
「 だから、ただ一つだけ 」
脳内に直接喋りかけていると思っていたのに
魔王は案外近くにいて、
桃くんは恐れずに魔王の間合いに入って
魔王の胸ぐらを掴んで、こう言い放った
桃「 …俺の魂に、いちばん楽しい記憶を植え付けろ 」
「 それが守れなかったら、俺はお前の手のひらの上には行かない 」
強い目線を魔王に送り付けた
僕はそれを見ているだけだった
『 …いいだろう 』
桃「 …ありがとう 」
「 ってことだ、青 」
桃くんはいつもの無表情に近い表情になって
振り返って僕を見る
僕は体が動かなかった
桃「 …来世もよろしく 」
「 きっと、来世も記憶ないだろうし 」
呑気に話す君に、僕は怒りを覚えた
青「 …っ、どうして桃くんは 」
「 いつだってそんなに強気なんだよ゙!! 」
僕の目尻に熱が籠ったのが分かった
視界がぼやけてるから、たぶん軽く涙も出てる
桃「 …紫と、橙が強気だから 」
「 だから俺も強気なんだと思う 」
普通、前世がどんな性格だろうと
魂がどんなに同じだろうと
似た性格にはならない
そういう風に決まってるから
なのに君たちは三人とも
全く同じじゃなくとも、どこかしら似ていて
どこかしら普通の人間とは違う
” 自分 ” を持ってる
黄「 …桃くん、お迎えです 」
桃「 …天使がお迎えとか…俺、生きに行くのに死ぬみたい 」
黄「 赤の方が良かったですか? 」
桃「 いや、黄の方が祝福をもたらしてくれそうだから別にいいや 」
桃くんは黄くんと普通に喋りながら
下の方へ向かって行って、
だんだんと見えなくなっている
そんな桃くんの背中を見てるだけは
僕の心が許してくれなくて
また、引き止めるように声をかけた
青「 …行か、ないで…! 」
桃「 …また、来世でな 」
桃くんはニカッと笑って、
下の方に歩いて行った
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コメント
1件
感動でめっちゃ涙出ました😭✨ 続き待ってます!!