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#夢小説
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#stxxx
「錬金術、やっぱり駄目か〜…」
鳥と犬の頭を小さな台に乗せ、本通りに絵を書き文字を読んでも、何も起こらなかった。
あんちゃんを召喚しようと簡単な黒魔術もやってみたけど、やっぱり無理っぽいよね。
空は青く、眩しかった。もう朝というのに、私の体はだるく、今にも倒れそうだった。
………えーちゃんを止めに行こう
ーーーーーーーーーーー
きっと、分からないけど、えーちゃんは戻る。それを止めなければいけない。面倒くさい。やりたくない。でも、私にはえーちゃんしかいない。とんだ感情論だけど、考えるなんて人生には、少なくとも、今の私には邪魔でしかない。
えーちゃんがどこにいるのかは私にも分からない。でも候補はある。私達は2人であそこを出た。1人ずつの住居を貰ったのだ。恐らくそこにえーちゃんは行ったのだと思う。でも、間に合わない。時間はない。
ーーーーーーーーーー
「ねえ君、そういや名前は?」
「……無い」
「えぇ!!なんで無いの?!」
「別に、いらないし…知らないし…」
「何それ勿体ない!!あたしが決めてあげようか?!」
「大丈夫だよ。コールしたらどうせ使わなくなる」
「そうだな、君は…」
「…君は、Cグループには相応しくない!」
「そう、君は…!Aグループ!!だから!」
「君はえーちゃんだよ!!」
夜の月に照らされた君は、白く反射し輝いていた。糸のような髪が、風で揺れ動く。緑やら茶色やら、他の生物が触れに触れ合った、薄汚れた葉は大きな音を立てながら横へ落ちていった。あたしの髪も邪魔になって、右手で髪束を耳にかけると、君は笑っていた。
「変なの。」
その時、何かキラキラしたものが、いた。
凄く長い間、目を閉じられずに、えーちゃんを見ていた。足の砂利がころりと何処かへ行き、知らない石ころがあたしの靴で止まった。
どき、どき、と。心臓が動いていて、なのに首は動けなくて、
あたし、この人の事、好きだ。
確かにそう思って、我に返って、あたしもぎこちなく笑ってみせた。見られていたから。あたしの事も綺麗なまま見ていてほしかった。そこからはあまり覚えていない。何か会話して、その後別の寮で別れた。
ーーーーーーーーーーーー
最低限のものの用意をした。鍵は、もう戻らないかもしれないから、部屋へ置いた。ボロくて質素な靴を履いて、ドアに手をかける。
「…………………………」
「………………」
「えーちゃ……」
大きなカバンを背負ったAちゃんを見た。これは夢でもなく、事実で、愛情やら後悔やら安心やら、色々な感情がぐちゃぐちゃになって、もう何か分からなくて、逆に滅茶苦茶に壊したいという欲望さえも出てきてしまった。
「どうしたの……」
「分からない……」
「分からないから、戻ったの」
えーちゃんも私しかいないのかな。
そりゃ、そうか。、そうだけど。でも、
嬉しい、
えーちゃんは、私がいないと何もできないんだ。
その瞬間、私はえーちゃんを抱きしめていた。
「…行っちゃ駄目だよ。」
「うん、でも、…あんちゃんを殺せって言うの?」
「 、」
あんちゃんは、きっともう、……
…なんて言えば優しくいられるかな。
「……あたしは……あんちゃんよりえーちゃんの方が今は、大事すぎるよ…」
「そんなリスクが高すぎること、しなくても、……」
「でも……」
「……………」
「………っわ、わかった、分かった行かない…から」
「もう離れちゃ駄目だよ」
「うん、離れないから…落ち着いて」
「ごはん、私作るよっ」
「…うん。」
少し強引に押しのけられて、えーちゃんは早々に部屋へ入っていった。
ーーーーーーーーーーーー
あの夜、門から脱出したあたし、えーちゃん、あんちゃんは死に物狂いで草原を走っていた。追いかけられる立場としては、歩きや走りというのはとても不利で、いつ何処から何が起こり得るか分からなかった。
「はあっ!はあっ!はあっ!」
「っクソ、もっと急げ!!」
「ま、まってあんちゃ、はやいよ」
えーちゃんとあんちゃんの体力には大きな差があった。あんちゃんはえーちゃんの背中を押して、一緒に走ってあげていた。
足はズボンなおかげで怪我をせずに済んでいるが、腕に当たるのが違和感だった。
その時、ドン、と爆発音のようなものが聞こえた。
その後にあんちゃんがバタリと倒れ、えーちゃんが止まる。
「ぐ、ッ……」
「あんちゃん、大丈夫?!」
「……っ打たれた……っ」
「えっ……」
「動ける?ねぇ、!」
2、3秒黙った後、あんちゃんは話す。
「ごめん、あとで行くから、先行ってて」
「だめだよ!!!!一緒にいこ!!」
「…えーちゃ、行くよ!!」
「いやだよ!!!はなっしてっ!!」
「あんちゃん!!!死んじゃやだよおぉ!!!」
「死なないよバカ、隠れてるからさ」
「ここは草原だし、きっとあんちゃんは大丈夫。」
「でも、やだよ……」
「、…あたしたちだって死にたくないだろ!!!ここで全滅なんてまっぴらごめんだ!!!」
「…ほら、行くよ!!」
「うう、……………」
「……あんちゃん、ごめん…」
あんちゃんは、喋られなかった。いや、喋らなかった。あんちゃんは、泣きながら笑っていた。
その後は隣国にたどり着き、あたしたちは脱獄することができた。
皮肉なものだ。私達が作った武器で、あんちゃんが殺されるなんて。
美しい生を讃えるために死は存在する。今、もしかしたら生きているかもしれないあんちゃんと、もう一回話したい。
ーーーーーーーーー
「…あんちゃん!」
「あんちゃん〜」
「んー?なんだ?」
「私もあんちゃんみたいな強い人になりたい!」
「おいおいえーちゃんが強くなったら最強になるだろ〜?」
い゛ た …
「楽しいね」
「楽しいね」
たのしいねたのしいね
や さ ちゃ
ーーーーーーーーーー
「あ゛……が…………………………………………………………」
「は,」
何してんのあたし
「………かひュッっひゅっっひっ、い」
「…………」
「ごめんなさ、嫌、許してくださいっう、うぅう」
「………………、……」
あたしがやったの?
今さっきまで手に入れていたであろう力がジンと来た。
嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ、傷つけたくなかった。守りたかった。違う嫌だこんなのあたしじゃない
あのまま気づかなかったら、あたしはえーちゃんを、、…
「痛くないよ…、痛くないよ……痛くないよ……ね」
「うぅ、う゛、ぅ、ひゅっ、」
「ねぇやだ、ねえ、ねえ泣かないで、」
どうにかして、無かったことにならないかな。
これも夢ならな
「ご飯は?あ、あぁまだ食べてないのね。」
「食べさせたげるよ」
台所にある茶碗には2人分、米がよそわれていた
「え゛ぅ、う、んぐ、……う」
スプーンですくったご飯を無理矢理口に入れる。
死なれちゃ困る。
あたしはこんなにも醜くてどうしようもない人間なのに、えーちゃんはそれでも美しかった。宝石みたいな涙を流している彼女は、「自分で食べる」と、ようやく言葉を喋って、一人で黙々と食べ始めた。私はというと、食べ終わるまで、彼女を見ていた。
「もうこんな事しないでね」
「うん、ごめんね。もうしない」
「約束だよ?」
その夜は2人で一緒に寝た。疲れていることもあり、穏やかで静かで、幸せな夜だった。
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