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〜〜〜〜〜〜〜〜数分前 中央センター〜〜〜〜〜〜〜〜
啓次郎はユニフォームに着替えるため、更衣室へ櫻井と向かっていた。 その道中、啓次郎は櫻井に何度も質問をしていた。
「その金?って使い道は他にあるんですか?」
「はい。お金は食べ物や商品等に使えます。あとは世界を支配するために」
「支配?」
「まあ簡単にいうとこの世界のトップになり、ルールを変えられます。今はそのトップがいらっしゃらなくて争いが。前にいたトップのつくったルールが現在もあるといった感じです」
「世界を変えられる…すなわち、出られる?」
どの答えも櫻井はぶっきらぼうに言っていたが、啓次郎の心にはとある計画が生まれていた。
「争いっていつ?」
「あと、30分ほどで。時間ごとにあるんです。一日に2回ほど。その時は戦うんです。それ以外の時に争ったら違反です」
「ありがとうございます」
それから二人は更衣室へ行くまで黙り込んでいた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ゴーン!ゴーン!という鐘の音が鳴ると啓次郎はどこへ向かうのか走り出した。
啓次郎は高校時代、陸上部で全国大会までいった持ち前の脚力を活かし、走り続ける。
「誰か〜!助けてくれ〜!」
どこか遠くから助けを求める叫び声が啓次郎の耳に入る。
「北区 デンジャーレッド街」とかかれた看板を横切り、啓次郎は先程の叫び声のする方へ走る。コツコツと足音を鳴らしながら。
デンジャーレッド街というのはギャングやガラの悪い人などが多くいる治安の悪い街。そのため、デンジャーと呼ばれ、レッドは心境を表す色からきている。
「助けて〜!」
その声の近くに来た啓次郎は背負っていた銃を手に取り、構える。そして、声のする薄暗い路地裏の中へ入った。
「誰だ!」
銃を目の前に構えながら啓次郎はそう叫ぶ。
バン!
突然銃弾が啓次郎の耳の近くを横切った。
「助けて…」
そう言いながら路地裏の奥から人影が見えてきた。男だ。そして、段々はっきりと姿が見えてくる。そして、啓次郎の目の前に顔を近づけ、口を開く。
「新入り…」
半袖のユニフォームは黒色に染まっている。彼の体はげっそりと骨が見えるのではないかというほど痩せていた。そして、右目にバツ印があった。
「永島啓次郎…この世界を支配するのは俺様の役目だ…」
男は右手に持っている銃を啓次郎に向ける。
「死ね!」
そう大声で叫ぶ男は啓次郎に向かって弾を撃った。
バン!
そう発砲音が響きわたる。
「あぶね…」
啓次郎はその瞬間、後ろへ避け九死に一生を得た。しかし、右腕をかすってしまい出血していた。
痛めている右腕と左腕を使い、啓次郎は銃口を男に向ける。
バン!
「うおっ…」
男はその場で倒れる。
「はあ…これが争い?やばい…絶対死ぬ…」
啓次郎は急いでその場を離れ、デンジャーレッド街も出た。
中央区 中央センターとかかれた看板を見る。
「俺…赤になってないか…?」
啓次郎はあたりを見渡す。唐突に気づいたその異変を理解するのに少し掛かった。辺りの建物は真っ赤に染まり、銃やユニフォームも赤に染まっていた。世界を変えたい。それ一心でやっていたら殺すということも躊躇しなくなってしまったのかもしれない。人間というのは怖いものだ。
「ここにいたら殺される」
啓次郎はすぐにその場を去った。
「南東区 江戸街」そうかかれた看板の先は江戸の街を再現したかのようになっていた。古民家がなんこもあり、蔵もたくさんある。啓次郎はその地に足を進めた。あまり人はいなかった。いや隠れているのかもしれない。啓次郎は油断できない。たとえ初心者だからといって手加減はしない。全員本気でやってくる。
「拙者お命いただく」
背後から聞こえた声。啓次郎はすぐに反応することができなかった。背後の敵に。
「くっそ!」
死ぬのかもしれない。でも諦めることはできなかった。啓次郎はその場でしゃがんだ。
「拙者あ!!!」
攻撃をかわした後、啓次郎は背後を振り向く。するとそこには狂気じみた目をした。あの侍がいた。
「お侍さん…」