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15cmの身長差

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15cmの身長差

10 - 第10話

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2025年06月08日

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仕事が終わった後、いふはリラックスした様子で料理をしていた。

その時、初兎が少し照れたように言った。


「まろちゃん、目閉じて」


「また急に?…料理してるのに?」


「お願い、すぐ終わるから。いいから、閉じて」


そう言われて、半信半疑で目を閉じた。


しばらく何も動きがない。

その間、いふの心拍がわずかに早くなる。何か、予感がする。


やがて、ほんの少しだけ初兎の柔らかな息が顔にかかる。


(……もしかして)


そう思った瞬間、初兎がつま先立ちで顔を近づけてきた。

そして、なんとか届きそうな距離まで来たけれど、やっぱり――


「…届かない……っ」


「だから言ったじゃん、届かないって」


いふは目を開け、初兎のぎこちない顔を見つめる。

肩が震えて、必死に身を乗り出しているその姿が、どこか愛しくてたまらない。


「いい加減にして、俺がしちゃう」


「えっ?」


言葉が終わる前に、いふはぐっと身をかがめて、初兎の顔を両手で挟んだ。


「え、ちょっ――」


その言葉を遮って、いふは初兎の唇を強引に奪った。


一瞬、初兎は驚いたように固まったが、すぐにその温もりに身を委ねた。


いふは手を初兎の髪に絡めて、さらに深く、優しく唇を重ねた。


「――ん……」


その声に、いふの胸が高鳴る。

初めは軽いキスだったけれど、すぐに二人の間には切ないような、甘い空気が広がった。


「…ふぅ…」


唇を離すと、初兎はうっすらと目を開け、顔を赤くした。


「まろちゃん、キス……」


「届かないからって、反則だろ?」


「は?!」


初兎があたふたしている間に、いふはにっこりと微笑んで、


「お前が頑張ってるの、かわいすぎて我慢できなかった」


「だからって、いきなりすぎやろ……!」


「……次は、初兎から俺にキスしに来ていいんだぞ」


「無理って分かってるでしょ!」


初兎は顔を真っ赤にして恥ずかしそうに顔をそむけた。


でも、心の中では――

さっきのキスが、やっぱり嬉しくてたまらなかった。

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