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昼過ぎに寝たつぼ浦は夜になっても一切起きる気配が無い。青井は事務仕事をしようかとパソコンを持ってきたが結局手につかず、頭を悩ませながらボーッとテレビを見続けていた。
「…そろそろ何か食べるか、簡単にできるもんは……風呂どうしよ…いや、入ってる間に起きたらな。明日で良いか。」
寝る準備を済ませるとつぼ浦を抱きかかえて寝室まで運ぶ。ベッドに下ろすとうっすら目を開けた。
「…んぁ…だれ?」
「起こしちゃった?俺だよ。一緒に寝ような、おやすみ。」
「んー、おやすみ…」
抱き寄せて子供を寝かしつけるように背中をトントン叩くとまたすぐに寝息が聞こえてきた。ソファで寝てた時は少し苦しそうな表情だったのがいつもの安らかな顔に変わって安堵した。
「明日はちょっとでも元気になってると良いんだけどな…」
翌日青井が目を覚ましたがつぼ浦はまだスヤスヤ寝ていた。数えてみると20時間近く寝ている、流石に寝過ぎでは…もしこのままずっと起きなかったらどうしようと一瞬頭に過ぎったが1時間経った頃につぼ浦も起きた。
「おはよ、よく寝たな。」
「…んー…ぅん…」
「昨日の昼過ぎからずっと寝てたよ、休めた?ちょっとはスッキリした?」
「うぅ〜ん……アオセン…」
頭がハッキリしてくると確認するように青井の顔をぺたぺた触る。その手をギュッと握られ頭を撫でられた。
「体調はどう?」
「…昨日と変わんないかな。」
「お腹は?何か食べられそう?」
「んーん、いらない。」
「そっか…病院行く気ある?」
「そんな心配しなくて大丈夫すよ、怪我とか病気してるんじゃないんだから。」
「でも数日何にも食べないってなると点滴打ってもらわないと。」
「…じゃあ食べる。」
不満気な表情で答える。ほぼ無表情で暗い顔をしていた昨日と比べると少しずつ回復しているようで安心した。
「はい、熱測ってみて……昨日とほぼ変わんないか。…あれ待って今日何日だっけ…あ、まぁ…」
「今日なんかあるんすか?」
「ううん、なんにも無いよ。今日もずっと一緒。」
「なんで嘘つくんすか。」
「…あー…今日上官会議ある日なんだよね。」
「ぇっ……ぃってらっしゃい…」
発した言葉とは裏腹に、震えて消え入りそうな声で言った。途端に顔色が悪くなっていく。
「いや行かないよ、行く訳ない。今のつぼ浦置いてなんか行けない。」
「…ぃ、や……俺は大丈夫すよ、仕事なんだから行かないと。警察の皆の迷惑になっちまうと嫌だし。」
「大袈裟だよ、後で共有してもらえば良いだけ。…あのねつぼ浦、今お前は自分が思ってる以上に弱ってるの。誰に迷惑かかるとか考えないで、いつも通りの元気なつぼ浦に戻るまでもっと俺を頼って。」
「そんな…それこそ大袈裟すよ、俺は元気だし別に今からだって仕事できるし。」
「そうやって無理したり、我慢したりして自分を犠牲にするの良くないよ。俺にぐらい甘えてよ、恋人なんだから。」
「…なんでアオセンは俺のこと全部分かるんすか。」
「んー?なんでだろうね、つぼ浦だって俺のことなんでも分かるじゃん。だからほら、いっぱい甘えてワガママ言って。なんかある?」
「…じゃあ今日はアオセンと一緒にずっとベッドにいたい。」
「ずっとか、飯はどうする?」
「うーん…用意してここに持ってきて食べる。」
「良いね、そうしよ。じゃとりあえずキッチン行くか。」
胃に優しい物が良いんじゃないかと提案したが病人扱いはやめてくれと断られた。食べやすさと片付けやすさを考えパン数個とスナック菓子、飲み物を持って寝室に戻った。
「どれなら食べれそう?」
「これにする。」
「じゃあ俺はこれ食べようかな、いただきます。」
「…いただきます…」
つぼ浦は1番小さいパンを小さく口を開け時間をかけながらモソモソ噛み、水で流し込んでいる。美味しい?と聞けば一応無表情で美味しいとは返ってきた。
「食べた、ごちそうさま。」
「もう良いの?こっちも美味しそうだよ。あ、これ1口食べる?」
「ううん、もう腹いっぱいっす。」
「そっか、いっぱいか。もうちょっと待って。……ふぅ、俺もごちそうさま。手洗いに行こ。」
何をする訳でもなくずっとただベッドに寝て抱き合う。穏やかで暖かな時間が少しずつつぼ浦の心の傷を塞いでいった。
「なんでずっとベッドが良いの?」
「んー、なんかちょっと悪い事したくなったから。」
「なんだそれ、可愛いなwじゃあなんかもうちょい悪い事する?」
「なにするんすか…ここでお菓子食べるとか?」
「えっ!?…食べたい?食べちゃうか!」
顔を見合わせてクスリと笑ってから封を開ける。つぼ浦は1、2個だけだが自分から手を伸ばして食べた。
「あーあ、こんな悪い事して。アオセンが言い出しっぺすよ。」
「でもこれやろうって提案したのはつぼ浦だし、俺ら共犯だよ?」
「これはやられたぜ、極悪犯になっちまった。」
「極悪犯かぁw…良かった、元気出てきた?」
「まぁそうっすね、明日は出勤すっかー。」
「ダメ、まだ本調子とは程遠いでしょ。いつものつぼ浦に戻るまでゆっくり休んで。夕方か、ちょっと汗かいたから先にシャワー浴びたいな。どう?」
「…ん。」
立たせて、と伸びてくる手を引っぱってそのまま抱きかかえた。つぼ浦は戸惑いながら顔を赤らめている。
「いやここまでは頼んでないんすけど…///」
「俺がこうしたいの、文句は受け付けませーん。風呂行こっか。」