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「……ん」
柔はまだ頭がぼんやりしているのか、何度か瞬きをして天井を見つめていた。
「…頭いた」
昨日より少し顔色はましになっているけど、まだ頬は赤い。
俺はどうやら床に座ったまま、壁にもたれて寝てしまっていたらしい。
「…しゅん?」
「……んー?」
寝起きだからなのか、いつもよりずっと無防備な顔をしている柔がこっちを見ていた。
「おはよ、柔」
「…おはよ」
「…てかなんで…、いるの?」
「え?」
「……なんで、いるの?」
柔はなんでか分からず、とぼけたような顔をしていた。
「昨日、柔が泊まってって言うたやん」
「…嘘、俺そんなこと言わないし」
「言うてたで」
「…いや、言ってない」
「「今日泊まってって?」って」
俺がそう言うと、柔の動きは止まってみるみるうちに耳まで赤くなった。
「……忘れて」
「それは無理やわ」
「お願い」
「なんでそんな必死なん笑」
「…恥ずかしい」
俺から顔を隠したかったのか、柔は目元まで布団を被った。
「もうやだ……」
「何がやねん」
「だって昨日変だったんでしょ?」
「まぁ…ちょっと」
「じゃあどれくらい?」
「結構やね」
「最悪」
「でもしんどかってんやろ?」
「ならしゃあないやん」
「でもしゅんはずっと覚えてるんでしょ?」
「そりゃ覚えてるわ」
「忘れて、おねがいだから」
「それは無理やなぁ」
「おねがい、しゅん……」
「はいはい、忘れたことにしとく 」
「…ありがと」
そう言いながら出てきた柔の顔があまりにも弱々しくて、僕は思わず笑いそうになる。
「とりあえず、熱測ろ」
「まだいい…」
「熱測るだけやん」
「昨日より上がってたら嫌じゃん」
「子どもか笑」
体温計を渡すと、柔はそれを渋々脇に挟んで、俺の肩に寄りかかってきた。
「…体温どう?」
「柔が自分で見てみ」
「…やだ、しゅんがみてよ」
「はいはい」
37.8
「…うわ、まだあるじゃん」
「昨日よりちょっと下がったけど、これじゃまだ休まなあかんな」
「学校…」
「行きたいかもしれんけど今日は休み」
「無理して倒れたら困るやろ?」
「…うん」
「ほんなら決まり」
「俺も今日は休むわ」
「え?」
「昨日からここおったし、もう遅いしな」
「いや、しゅんは学校行って」
「なんで?」
「俺のせいで休みになるじゃん」
「別に俺はええよ」
「…ありがとう」
「今日1日、一緒にいてくれるの?」
「居るよ。何よその顔、嬉しいん?」
「…ちょっと」
「…しゅん、おれのここいて」
「うん」
「…よかった」
それだけ言うと、安心したのか柔は俺の服を掴んだまま目を閉じた。
しばらくすると寝息が聞こえてきた。
いつもなら絶対見られることのない柔の姿をたくさん見られたから、学校を休んだのもなんだか悪くない気がした。
コメント
1件
うわあ…熱出した柔くんが無防備で可愛すぎるんだけど!?笑 普段とのギャップがすごい。しゅんのツッコミと甘やかしのバランスもいいな〜。「忘れて」「それは無理やわ」のくだりで思わずニヤけたわ。学校休んで一緒にいてあげる決断も、しゅんの人柄出てて好き。8話、良いもの読ませてもらいました🔥