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ひと通り片付けを済ませた僕は、ベッドで横たわりながら考えていた。どうすれば1人でも多くの人の役に立てるのだろうか。
ずっと考えていた。そして、ひとつの答えを導き出した。
「旅へ出よう」
きっと、ここにいても出来ることは少ない。そして、困ってる人、助けを求める人はこの県だけじゃない。この国のどこでも、この世界のどこでも助けを求める人はいる。だが、お金や時間面を考慮すると世界を回るのは不可能だろう。でも、この国の中なら手を差し伸べることが出来る。旅に出ると決めた僕は、急いで支度し、明日に備え眠りにつくのだった。
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翌日の昼過ぎ。旅に出るにあたって必要のない家を売った。
「これで晴れてホームレスだ。だが、これで僕はれっきとした旅人だ」
胸を張りながら、僕は歩き出した。 そして、目の前にひとりの人間が現れる。
「ふふ、また会ったね」
美しい短髪の黒髪。紛れもない昨日出会った少女だった。
「!?」
「君は!?」
「私はシロ。訳あって本名は名乗れない」「それで、なんの用ですか?」
「私を君の旅に連れてって!」