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宮舘Side
☃️『それSnow Manにやらせてください!2時間SP〜!!』
💜「今回はなんと!京都で街ブラをしますー!」
☃️「やった〜!」
俺と翔太と康二が妖怪になると決意してから、数日後。俺たちSnow Manの9人は、番組のロケで京都にやってきた。
俺たちの妖怪化はどんどん進行していて、何もしなくても街中にいる妖怪の姿が見えるようにまでなってしまった。襲われるかと心配していたけど、ほとんどの妖怪は俺たちの姿を見ると逃げ出していく。キュウビ・鬼・天狗はそれだけトップクラスの妖怪なんだなぁと実感した。
ロケは順調に進んでいく。
1日目の撮影が全て終わり、俺たちは空いた時間でお土産を買うことにした。
🤍「うわぁ〜!どれにしよう!」
💚「ちょっとみんな、あんまりはしゃぎすぎないでね?!」
京都ならではのグッズ店が並ぶ通りにはお忍びで来ている。はしゃいで走っていくみんなに向かって阿部が言ったけれど、聞こえているかはわからなかった。
普段なら俺も一緒になってはしゃぐところだけど、今日は体のこともあるので大人しくしておくことにした。
💛「……みんな、大丈夫かな」
苦笑いを浮かべて照が言う。
❤️「まあ大丈夫じゃない?もう子供じゃないんだし……」
💚「いやいや2人とも。みんなは子供だよ?」
阿部の言葉に3人同時に吹き出した。
💛💚❤️「「「アハハハッ!」」」
❤️「……じゃあ、俺たちも行こうか?」
💛「そうだね。時間もあんまりないし」
バラバラに散ってどこに行ったかわからなくなったみんなの後を追って、俺たちもお土産探しをスタートした。
👵「おや、お前さん、良いものに目をつけたねぇ……」
おばあさんのそんな声が聞こえてきて、俺は阿部を振り向いた。
💚「これって、そんなに良いものなんですか?」
阿部が手にしていたのは、ネズミ色の重そうな鈴だった。
👵「そうじゃよ。今のお前さんたちには特に役立つものだと思うんじゃがねぇ」
そう言って、おばあさんは阿部を見ていた俺の顔を見つめる。“今の俺たちに“って……嫌な予感を覚えながら、俺は商品を探すフリをしながらおばあさんの説明に耳を傾けた。
👵「この鈴は、『視える鈴』と言ってねぇ。普段は目に見えないものを視えるようにしてくれる鈴じゃよ」
普段は見えないものを、視えるように?!それってもしかして、俺の妖怪化している姿も含まれるんじゃ……
💚「そうなんですね……あれ、でもこれ、全然鳴りませんよ?」
そう言って阿部が鈴を振るが、確かに鈴から音が出ることは無かった。
👵「そう。ほとんど鳴ることはないのじゃ。だからこそ、時折鳴るその一瞬だけ視えるようになるのじゃ……」
一瞬だけ、視えるように……それも、いつ鳴るか分からないなんて……。怖くなった俺は、店の入り口近くにいた照に、
❤️「ちょっとトイレ行ってくるね」
と言って逃げるようにお店を出た。
少し離れた路地に入り、焦る気持ちを整える。
『視える鈴』……あれを勧めるおばあさんは、きっと俺の姿に気づいていたんだろう。
さすが京都、といったところか。どこにいても油断ならない……
この姿のことは、絶対メンバーにバレてはいけない。最期の日が来るその時まで、必ず隠し通さないといけない。定められた運命のことで、みんなに無用な心配をかけさせる訳にはいかない……
これは翔太と康二とも決めたことだ。みんなに心配はかけない。
大きく息を吸って、はく。何度か深呼吸をして、速くなった心臓の鼓動を抑えた。その時だった。
👦「あれぇ?あんた……」
路地の奥から声が聞こえて思わず顔を上げる。そこには、うっすらと笑みを浮かべた少年が立っていた。大きい帽子をかぶっていてその顔はよく見えない。
いつの間にこんなところに……ここに入った時、誰もいないように見えたんだけどな。
少年はゆっくり俺に近づいてくると、言った。
👦「あんた、ただの人間じゃないよね?」
❤️「……なんのことだかさっぱりです」
少年から僅かに妖気を感じて少し後退りしながら、俺は平然を装う。
👦「嘘ばっかり。……もしかして、妖怪だったりする?」
❤️「……え?」
俺の反応に少年はクスクスと笑うと、大きな帽子をとって俺に顔を見せた。
👦「なら僕と一緒に来てよ」
❤️「ひっ……!」
少年の顔には目がひとつしかない。一瞬で一つ目小僧だと分かった。
逃げようとしてもその大きな瞳から目を逸らすことができず、体が動かない。これもなんとなく、この少年の妖術なんだろうと察しがつく。それに少しずつ、自分の妖力が高まってきていることがわかる。これ以上、この本物の妖怪と一緒にいたら、俺……!
❤️(まずい、こんなところで妖怪になるなんて嫌なのに……!)
絶えず笑みを浮かべ続ける一つ目小僧が、俺に少しずつ詰め寄ってくる。頭をフル回転させて解決策を考えていると。
🧡「舘さん!!」
不意に、聞き馴染みのある声と同時にグイッと俺の手が後ろに引かれた。
❤️「康二……!」
🧡「逃げるで!」
俺はそのまま康二に手を引かれ、人の波へ姿をくらませた。
❤️「ありがとう康二。康二が来てくれなかったら、今頃俺どうなってたか……」
🧡「どういたしまして!良かったわ、舘さんの身に何もなくて」
❤️「どうして俺があそこにいるって分かったの?」
🧡「なんか、妖力の高まり?的なの感じてさ。だてが危ない!って思ってんよね」
❤️「そうだったんだ……」
💙「涼太!」
康二と話していると、息を切らしながら翔太が走ってきた。
💙「ごめん、遠くまで行ってて来るの遅くなった……大丈夫だった?涼太」
翔太も来たことで確信がついた。どうやら、俺たちは同じタイミングで妖力を得たからか、共感覚のような力もついているみたいだ。
❤️「うん、大丈夫だよ。ありがとう、わざわざ」
翔太は俺の腕や肩を持って体の無事を確認すると、ふう、と大きく息をはいた。
💙「良かった……涼太の身に何かあったら、俺……ぁ、なんでもないっ!」
頬を少し赤らめて後ろを向く翔太。
何?その反応……
🧡「おやぁ?しょっぴーもしかして……」
💙「康二、何も言うな!!……じ、じゃあ、俺はもう戻るからな!妖怪には近づくなよ!!」
翔太は早口でそう捲し立てると、康二ちょっと来い!と康二の手を引いて大通りに戻っていった。
💚「あ、いた!舘さん!」
翔太と康二が去ってすぐ、反対方向から阿部と照が走ってきた。
💛「はぁ、もう、どこ行ってたの?」
💚「トイレにしては遅いから、心配してたんだよ!」
❤️「あぁ……ごめん、2人とも」
阿部の手には小さな袋が握られていて、さっきの店で何かを……いやきっと、あの鈴を買ったのだろうと察した。
💚「舘さんは何かお土産買えた?」
❤️「まだ何も……」
💛「じゃあもうちょっとだけ寄って帰ろう!」
💚「俺ね、ここに来る途中で舘さんが好きそうなの見つけたんだよね〜」
そう話しながら、俺たちはまた通りを散策した。
その間、俺はこの2人だけじゃなく、メンバーみんなに大事なことを隠しているという罪悪感を抱えつつも、もうあまりこういう時間を過ごすこともできないのだろうと、寂しい気持ちになった。