「確かに見たよ…幽霊」
放課後…私と里奈は、寺島君のクラスに真相を聞きに行った。
「え?…寺島君、今何て?」
「だから、幽霊なら見たよ」
予想に反して、寺島君はアッサリ答える。
「見たって…どんな?」
「薄暗い用具室に…髪の長い…女の人」
「…そ、それで?」
「それだけ。驚いて逃げ帰ったから」
それ以上は何もないみたい…と私は興味を失いかけたが、真剣な顔をした里奈が、更に質問を繰り出す。
「何で一人で用具室に行ったの?」
「それが…手紙が机の中に入っていたんだ…」
「手紙?」
「『放課後に用具室で待ってます』って」
「え…それって、寺島君…幽霊に呼ばれたって事?」
「や、やめてくれよ!」
明らかに怯える寺島君…そりゃあ怖いわよね…でも
「何で…髪が長いだけで幽霊だと思ったの?」
「それは…」
そこで寺島君は一呼吸置いて、ゆっくりと続けた…
「この世の物じゃ無かった…肌は青白くて…髪の毛はボサボサで…」
「怖い…」
本当に怖そうに呟いた里奈の言葉に、
放課後で生徒が少なくなった教室が、
更に静かになった。
近くで帰り支度をしていた梨里杏ちゃんも、顔を青くして聞いている。
その静寂を…
「実は数年前から、文化祭の夜には4階の用具室に幽霊が出るって噂があるんだ!」
北野の大きな声が打ち壊した。
「…はいはい、どんな噂?」
「桜子ちゃん!反応がクール!!」
北野…あなたまで居たのね…。
呆れながらも話を聞く。
「それで?続きは?」
「…数年前の文化祭…まだ夜にキャンプファイヤーをしていた頃…」
「キャンプファイヤー?」
「文化祭最終日のメインイベントさ!今はそんなに遅い時間までやらないし…今年のメインイベントは風船を上げる事になったよ」
「あぁ…楽しみよね」
「それで!数年前…そのキャンプファイヤーの参加者が数人…見たんだ…」
「…何を?」
「暗い用具室の窓から校庭を見下ろす…女子生徒の姿を…」
おどろおどろしく語る北野に、里奈が私の肩を掴みながら…
「もう、マジでやめてよ〜」
と泣きそうな声で言った。何だか可哀想になって、話題を変える。
「日比野っ!今の話しを聞いて、何か分かる?」
さっきから近くに居るのに、全く存在感が無かった日比野に話しかけると、日比野は肩をすくめて頭を横に振った。
「心霊現象は専門外だよ」
「本当?ちょっとも分からない?」
「うん、ちょっとも分からない」
何だか日比野らしくない…
私はまた、胸がモヤモヤした。
コメント
7件
数年前にキャンプファイヤーに参加していた人が幽霊を見たことがきっかけなんですね……!!……というか、日比野くん最初からいたんですね😅柏木さん含め誰も何も言わないからいないのかと……💦 日比野くんでも心霊現象の謎は解けないんですね……。今回はちょっと難題、なんですかね……🤔💭
うわぁぁぁ…!!!めっちゃ好きです!!!!