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#聖女
桜井正宗@オートスキル1巻発売
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#探偵
橘靖竜
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「この戦いの結果、蛇脈は勢力を拡大させると同時に龍脈勢力は退くこととなり──月二夜さーん、起きなさーい」歴史科の先生
「──ふぁ…」月二夜
「クスススス…」周りの生徒達
…しょうがないじゃん、興味のない話なんか聞いてても眠くなるだけなんだし。
お昼はいつも誰も来ない階段を上った先の屋上の扉の前でお弁当を食べている。
「またこれか」月二夜
最近よく…なんか、よく分からない具材が入ってたりする。
食べ物ではあるけど、私の口には合わない。
ついでに最近暑くなってきて、お昼になっても食欲が湧かない。
私は今日も一口も通さず弁当箱を閉じた。
この頃はやっと食欲が湧く部活動前に食べることが増えてきている。
教室に戻って午後の授業まで寝てよっと。
私はいわゆる陰キャと言うやつ…。
友達はいないし、連絡先を交換している相手もお父さんとお母さんのみ。
もちろん学校でも絡む相手もいないし、絡んでくる人もいない。
「きりーつ」生徒A
「はっ…」月二夜
「おいもう帰りのホームルーム終わるんだぞ、今更起きてどうする」先生
「クスススス…」周りの生徒達
「周りの生徒にノート見せてもらえよー、あとずっと寝てたし欠席にしといたから、ちゃんと家で寝てきなさい」先生
…起こしてくれたっていいじゃん、それとも何回も起こそうとして反応なしだったってやつ?
それに家でもちゃんと寝てるんだけどなぁ…。
やっぱり美味しくない…。
一応生命維持のためにお昼の弁当を食べるが、中々箸が進まない。
その時も結局半分以上残して弁当箱を閉じ、ジャージに着替え部活動に向かう。
「ほんとに女なのかな…」部員A
「脚バキバキだし、気味悪いっていうか…」部員B
「髪結って可愛い子ぶって逆に面白いよね、ちょっとビジュアルがいいぐらいで…」部員C
「走ることにしか脳なさそー…」部員D
「こら君達、サボってないで少しは動いたらどうだ」顧問
「だってあいつ一人で良くないですかー」部員A
「月二夜さんは…なんか、趣味でだけでやってるらしくて、大会には絶対出ないって言い張るんだよ…だから君達にも頑張って欲しいんだけど」コーチ
「なにそれウケるw結局やる気ないならサボりと一緒ですよねw」部員B
「そうじゃなくてだなぁ…」コーチ
陰キャは陰キャでも、私は憎まれやすい陰キャらしい(地獄耳)。
「ただいま」月二夜
「おかえりなさい、もうご飯もできてるしお風呂も沸かしてるから先に入ってしまいなさい、あとお弁当も出してちょうだい、あと──」月二夜の母親
お風呂…服を脱ぐ時点からあまり好きじゃない。
なぜか脱衣場に全身鏡あるし、嫌でも自分の体が見えてしまう。
女のくせに未だ胸はぺたぺただし脚は筋肉で凄く太いし、脚の筋肉に栄養吸われた。
女としての魅力なんて微塵もない体を自分に見せつける鬱な時間だ。
「私もお父さんも入るんだから早く上がっちゃいなさいねー」月二夜の母親
うるっさいな
ゲ○タンみたいなダンスのように速攻で全身洗って乾かして着替えてやった。
「いただきます…」月二夜
またこれか…最近これを見る度に食欲も箸も止まってしまう…てかこれなに…。
思わず謎の食材を箸先でツンツンする。
「そういえばさっき先生から連絡来たけど、ちゃんと寝てるの?」月二夜の母親
「寝てるよ」月二夜
「また学校で寝てるようならスマホ没収するからね」月二夜の母親
「だから寝てる言ってるじゃん…食欲無いし、そんなに早く寝て欲しいならもう寝る」月二夜
言うてフィルターかけられてるからSNSもゲームも出来ないし、ガラケー同等のスペックのスマホで何をすればいいんだ。
仕方なく手をつける程度の課題も今日は全くやる気が起きない…いいや、明日学校で済ませよ。
…明日…明日また…牢獄に閉じ込められるような一日を過ごすのか…。
床に就き、カーテンも閉め切り豆電球も付けずほぼ何も見えない部屋の天井を眺めながらいつも夢も希望もないことを考えている。
正直、生きている気がしない。
私はなんでこの世に生まれたの、なんで私は皆と違うの、なんで誰も私を見てくれないの、月二夜で良いって言ってくれないの、私って…生きてる意味あるのかな…。
「こんな時間にどこに行くんだ月二夜…」月二夜の父親
あれ…どこ…ここ。
いつの間に私は家を出ていたのだろう。
見覚えのない…静かな田舎に来てしまっていた。
広い畑、静かな杉の森、虫達の鳴き声、不思議と落ち着く。
空が少し明るい、きっと私は記憶が無い間家を出て何時間も歩いていたのだろう。
足がおぼつかない、頭が回らなくなってきた。
そういえばほとんど食べてなかったんだっけ…。
自分で用意した非常用のバッグ…持ってきてたのか…水も非常食もその他色々もそれなりにある…あったところで何日生きられるだろう…。
考えただけで、水すら喉を通る気がしない…それ以前に力が入らずキャップが開かない…。
もはや何を考えればいいのかも今の私には検討もつかない。
私の肉体は必死に「生命維持」と叫んでいる。
わたしの魂はその肉体の叫びに無関心。
突然私の体に物理的衝撃が走る、倒れた。
静かな森の中、雑草と土の香りがやけにはっきりと感じ取れる。
ついでに肌に這う小さな虫たち…普段はちょっと苦手だったりするけど、今はなぜか心地いい。
〈解説〉
・弦ノ崎 月二夜(ツルノサキ ツキ)
…女性、誕生日7月7日、年齢17歳、身長165cm。
…最寄りの高等学校に通うちょっと変わった女の子、何をするにもあまり良い印象は持たれない。
…暑いとすぐ眠くなる。
…足が異常に早くほぼ強制の形で陸上部に入部される、推薦されることも多々あるが「面倒くさい」と流している。
…自分はストレスは抱え込もうとする、母親はちょっとアレなタチ、父親はあまりはっきり言わない内気な性格、周囲との噛み合いも悪く最近は特に病み気味であった。
コメント
1件
第2話、読み終わりました。月二夜さんの「生きている気がしない」という言葉が、すごく胸に残りました。屋上で一人お弁当を広げるシーンや、鏡に映る自分の体を直視できずに急いで洗い終える姿、学校でも家でも「ちゃんと寝てる」と嘘をつく様子…どれも、彼女のからだの内側にじわじわと溜まっていく疲れと孤独が伝わってきて、切なかったです。最後、森の中で倒れて、虫の這う感触がなぜか心地いいと感じる逆説的な安らぎ。この描き方、とても繊細で好きです。続きが気になります。