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「先輩。実は、晃一さんの浮気相手。もう素性はだいたい洗えているんです」
コーヒーカップを受け皿へ置く。
しのちゃんは私の覚悟を確認していたのだろう。どれほど復讐への決意を持っているのか。その程度によっては隠していた情報、それがこれなら話されるのだと、その瞳でわかった。これは狼のものだ。眼鏡すら不要になったところに成長を感じる。
「すみません。先ほどまでは試すような真似をしていました」
「いいわ。私を想っての事だったのでしょう。……それで、話してくれる?」
しのちゃんは一瞬微笑んで、語り始める。
「はい、相手は高月玲奈。晃一さんにとっては、同じく人事部で五つ上の先輩。都内のアパート在住で、あと半日もらえれば住所の特定も可能です。現在、晃一さん以外に交際相手などはいなく、独り身。
料理が趣味のようで、ネット上に自身のアカウントに上げていたものは、かなり美味しそうでした。本当に美味しそうでした。めちゃくちゃ美味しそうでした」
「なるほどね……。そんなに美味しそうな料理だったの……?」
「はいっ、それはもう!」
冗談じみたニュワンスで聞く。するとかなり本気に、今にもヨダレを垂らしそうな勢いで答えられた。私が若干引いていると、そこに追い打ちをかけるようにしのちゃんの顔が近づいてくる。
「……一度、ご馳走様してもらってはどうでしょう?」
「……え、あ。はい!?」
「ご馳走様してもらいましょう!」
「冗談、よね……?」