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鷹槻れん

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鷹槻れん

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#恋愛
水無月 京
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#オフィスラブ
草原草原

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あのあと社長とふたりで碁会所に戻ってみると、祖父と辰巳さんは私たちを見るなりニヤニヤと意味深な笑みを浮かべていて、最初から仕組まれていたのだと嫌でもわかってしまった。
まるで不意打ちのお見合いみたいなものだ、と家に戻ってから不満を口にしてみたけれど、祖父は一向に取り合ってくれない。
互いの孫同士を会わせてみたら、すでに社長と社員だったという思いもよらない接点があったことに、これもすべて“縁”だとふたりで大いに盛り上がっていたらしい。私はまだいいけれど、社長に迷惑がかかるのは心苦しい。
祖父たちがこれ以上暴走しないようにと心の中で願い続けて十日が過ぎた。
「今度店舗に貼る予定の新しいポスターができたんですけど、見てみます?」
仕事中に声をかけてきたのは、私より一年後輩にあたる女性社員の天野さんだ。
彼女とはデスクが隣なのだけれど、テキパキと的確に動いてくれるのでとても助かっている。
「うん、見せてほしい」
我が社は商品アピールのために、真凛という二十歳の女性モデルを起用している。
顔がかわいいのはもちろんのこと、明るく元気いっぱいな印象がブランドイメージに合うという理由で彼女が選ばれているのだそうだ。
天野さんが筒状のポスターを広げ、私から少し離れてこちらに向けて見せてくれた。
ポスターの中の真凛さんは我が社のブランドのアミュゾンで全身コーディネートされている。白いパーカーの右肩の部分が自然にずり落ちているのだけれど、中に着ている淡いピンクのノースリーブのインナーも抜群に似合っている。
下は黒のハーフパンツで、足元はスポーツサンダルだ。さすがモデルだと見惚れてしまうほどのスタイルの良さがうらやましい。なんてスリムなのだろう。
カメラ目線ではないからか、バーベキュー広場にいる彼女がとても活き活きとした様子で写っていた。髪型をポニーテールにし、満面の笑みを浮かべていて、撮影ではなく本当にアウトドアを楽しんでいるかのよう。
「真凛さんは相変わらずかわいいですね」
「本当になにを着ても似合うもんね」
彼女はパッチリとした二重の瞳が印象的で、顔は驚くほど小さくて愛らしい。
「最近はテレビでの露出も増えましたし、さらに人気が出そうですね」
天野さんに言われ、そういえば先週も深夜のバラエティー番組に出ていたのを思い出した。
番組内でもにこにこと笑い、コメントを求められてもそつなくこなしていたから、彼女ならタレントとしてもやっていけそうだ。
「香椎さん、ちょっといいかな?」
オフィス内に戻って来た伊地知部長が明るい笑みを浮かべて私を手招きした。
白のインナーに濃いグレーのパンツスーツ姿の部長はとても凛々しくてカッコいい。
「店舗の照明について以前私と話したことがあったよね? あのときの資料、まだ持ってる?」
一ヶ月ほど前に、伊地知部長と雑談を交わしているときにそんな話をした覚えがある。
通常業務とは関係ないが、私が日々勉強する中で素敵だと感じた店舗用の照明の資料を見てもらったのだ。
「参考資料としてノートパソコンに保存しています」
「じゃあそれを持って、今すぐ隣の会議室まで来てちょうだい」
どうしてわざわざ会議室に移動するのだろうと少々不思議に思ったけれど、じっくり話をするためなのかもしれないとすぐに頭を切り替えた。
照明については以前にも興味を示してくれていたが、今になって詳しく聞かれることになったのは意外だ。
「照明ですよね。えっと……これです」
会議室の椅子にふたりで横並びで座り、パソコンを開けて画像データを伊地知部長に見せた。
「あのね、その前にあなたに話があるの」
微笑んではいるものの、複雑な表情をして私の顔色をうかがう伊地知部長を目にした途端、背筋に嫌な予感が走った。
なぜだか、なにかまずいことが持ち上がっている気がしてならない。
「どうされました?」
「正式発表はまだだけど、実は私、社内異動で商品部を移るの」
会議室に移動したのはこの話をしたかったからだと納得をしてうなずいた。
会社は組織だから異動はつきものだけれど、部長が交代するとなると部署の雰囲気が一気に変わるだろうと商品部の今後を案じてしまう。
「どちらの部署に行かれるんですか?」
「店舗運営部。私は商品装飾展示技能士一級の資格を持ってるし、元々そっちの仕事が専門なのよ」
コメント
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第九話、読みました!前回の碁会所の“縁”回収に続いて、今回はオフィスの日常と伊地知部長の異動という新しい展開が。照明の資料を前に「その前に話があるの」って笑顔で言われた時、香椎さんと一緒に私も「来たな…」と身構えました。部長が持つ専門資格や、店舗運営への異動理由がしっかり設定されているところに、世界観への信頼感が増しますね。これから商品部の空気がどう変わるのか、そして社長とのあの縁がどう作用するのか、続きが本当に気になります!